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【学習サポート】

[児童福祉論] 夏期スクーリングを終えて

助教授
千葉 喜久也

 私は,いつも通信の講義が始まる前日は,講義の準備と緊張でなかなか眠りにつくことができません。仕事の休暇をとり,家族の協力を得て大学まで来られる皆様の期待を裏切るような講義だけはしたくないとの思いが,自然と身体を緊張させるのです。
 そして,今回のスクーリングも受講生の真剣な眼差しと豊かな人生経験から来る真摯な態度は,講義をしている私を熱くさせ,休憩時間も忘れさせる3日間でした。また,休み時間や昼休み時間も惜しんで質問に来られる皆さんの思いに接して,私自身が忘れかけていた新鮮な感覚とたくさんの元気をいただいた気がします。
 さて,今回の講義の組み立ては,子ども虐待を切り口として,「子ども家庭福祉の理念と実際」を学習することでした。具体的には,子どもを取り巻く現状を理解し,児童福祉の新たな理念としての保護から自立(自律)へ,子ども最優先の考えについて説明をさせていただきました。また,児童福祉法改正や児童虐待防止法などの説明を通じて児童福祉機関の実践を紹介をさせていただきました。
 では,今回受講されました皆さんの感想をご紹介するなかで,講義の様子を感じ取っていただきたいと思います。

●受講生の感想より

 熱い授業でした。千葉先生の子どもに対する想い,児童福祉へ捧げる情熱がひしひしと伝わってきました。私は児童福祉に対する知識が全くないままにこのスクーリングを受講しました。講義の中で数多くの発見がありましたが,最も印象に残っているのは「児童福祉とは子どもの命を守り育てること。それを達成することで社会のモラルが崩れたとしてもそれで良い。まずは子どもの命が第一,崩れたモラルはもう一度社会が作り直せば良い」という千葉先生の言葉でした。私が長年疑問に思っていたことでもあったため,その答えをすっきりとした形で提示されたようで,小さな感動を覚えました。

 教員をしていることもあり,いじめと不登校の部分では自分の日頃の実践が間違っていなかったことを確信し,安心しました。「いじめられる側には何の問題もない」「いじめた側のケアが全くされていない」「不登校はパターン化できない。ケース?バイ?ケースである」??先生のおっしゃられたこと,まったくその通りだとおもいます。私は現在,校務分掌で生活指導部に所属しており,今回の講義の内容は大変興味深いものになりました。3日間にわたる講義,お疲れ様でした。そしてありがとうございました。私は「先生」と呼ばれる立場にありますが,まだまだわからないことだらけの若輩者です。何か困ったことがあったときには千葉研究室ホームページを訪れたいと思います。よろしくお願いします。

 教員をしている関係上,スクーリングを受ける度に各先生の観察をついしてしまいます。千葉先生の講義は,視聴覚教材の活用について改めてその威力を確認できました。ビデオやパワーポイントはもちろん,学生を使っての説明(歩いている子どもを大人が追い越す),九九の説明,ギター演奏付きの歌など,学校に戻ってから試してみたい色々なアイデアをいただきました。また,自分自身もそうなのですが,常にマイクを向け,感想や意見を求めるという対話形式の講義にもとても好感が持てました。

 児童福祉論の講義が始まる前日,図書館で大学紀要を読んでいて,たまたま先生の「浜崎あゆみのA Song for×××」に関する論文を拝見いたしました。私も生徒にすすめられて浜崎あゆみの歌詞を何度も読んだことがあります。先生の論文を読んで,また一段と理解が深まりました。

 児童養護施設に勤めているので,自分でも虐待?児童相談所の役割,非行等理解していたのだが,改めて知ることも多く,ためになる3日間でした。子どもは全員“愛されたい”と思っていることをビデオを通して感じ取れました。特に,アメリカの取り組みを日本でも取り入れれば,日本の児童福祉もより良いものになるのではないだろうか。しかし,そのまま取り入れてもだめだと思うので,様々な国の取り組みを参考にし,考えて変えていこうという思いを一人一人が持ち,立ち上がっていくことも必要なのだと思いました。

 今回の講義の中で,一番印象に残ったのは,「子どもの視点に立って考え,子どもにとって有害な行為であれば,それは虐待になってしまう」ということです。親からすれば子どもの為にと思い,良かれと思って行っている行為が日常でも多く見られると思う。親自身の意識の中で,「良い子に育てよう」という思いが強いために,「ああしなさい。こうしなさい」と言っては,子どもを束縛しているように思いました。子育ての中で大切なことは,生活や遊び,人間関係の中で生きる力や自立というのを身に付けていけるような子どもを育てることや,人間の基盤となる心や人としてのあり方を子どもを受け入れ,愛情を注いで育てることなのではないのかと思いました。

 児童養護施設に入所している子どものほとんどは,虐待を受けている。その子たちを,無条件で受け入れることの大切さを改めて感じることができました。子どもの悪いところや(大人でも同じことが言えると思うが)あら探しをし「この子は○○○ができないから駄目」といような言葉を発している大人や親が多いと思う。そのような発想ではなく,子どもの良いところを見つけ,その芽を取り除かないように伸ばしていくという考えに切り替えて子育てをする(また,日常にとらわれず子どものためを考え,どのようにしたら良いかを考える)という親の意識改革が澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】なのだと思いました。
 私自身も,施設内において,どのようにしたら子ども達がより良い生活が送れるか,を考えさせられました。今後も,子どもの立場に立って考え,物事を行える(進めていける)ようにしていきたいと思いました。

●おわりに

 今回も受講されました皆さんから,たくさんの励ましとお礼の感想文を寄せていただきました。本当にありがとうございました。限られた時間での講義であるため説明不足のところや期待していた内容が聞けなかったなど,ご不満なところがいろいろあったと思いますが,そのことより「スクーリングに出席して良かった」と話してくださる皆さんの優しさに感動しました。秋田弁で聞き辛かったにもかかわらず「先生いいです」と言ってくださった皆さん。本当にありがとうございました。
 働きながら学び続けることは大変なことです。でも皆さんならできると思います。辛かったり,苦しくなったら思い出してください。自分がこれまで一番楽しかった時のことを,そして元気を出してください。
 通信制の皆さんの,今後のご健闘を期待しております。本当におつかれさまでした。いつの日かまた再会できることを楽しみにしております。

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