【学習サポート】
[社会福祉援助技術論II?地域福祉論]
夏期スクーリングを終えて
教授
三浦 俊二
春の段階で,夏のスクーリングの予定を立てたわけですが,8月の暑い時期にスクーリングかと正直に思いました。私は夏に弱く,どうなるのか心配だったこともありました。ところが,ふたを開け,夏になってみれば冷夏でした。そうしたなかで,8月の最初は東京の東洋大学で「社会福祉援助技術論II」の講義を行いました。続いて,お盆過ぎには仙台の本学で「地域福祉論」を講義させていただきました。私としては比較的涼しい気候のなかでスクーリングができたことにホッとしております。
また,6月頃からスクーリングが自分のなかで意識され,教科書を使うのではむずかしいかと思い,悩んでいました。教科書は国家試験を考えている人にとっては必要な教材(国家試験にはこの教科書から出る問題も多いため)ではありますが,言い回しがむずかしく理解しにくいかと思いました。そこで,レジュメづくりに入ったのです。しかし,そこでも悩みました。みなさんの出身地は関係ありませんが,年齢,職業,勉強を離れてどのくらいたつのだろうかなどが,私のなかでの悩みでした。しかし,志を立てて,勉強をしようとするみなさんです。みなさんの志に期待したいという希望をもってレジュメを作成しました。
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ところで,スクーリングを行っての結果ですが,私の教え方が悪かったのか,悩んでいます。今回は,みなさんとのかかわりのなかで耳障りなこともあると思いますが,感じたことを少し話させていただこうと思います。
特に,社会福祉学科の学生諸君は,社会福祉士や精神保健福祉士の国家試験受験資格取得や福祉科の教職免許取得などを意識している方が多くいることと思います。そうしたなかで,スクーリングに参加し,講義内容を理解するには参加前の予習は欠かせないものです。何故かといえば,学年があがり,内容が専門的になってくれば,用語なども専門的になってくることになり,覚えなければならないこと(暗記も含めて)も増えてきます。特に,「社会福祉援助技術論II」の内容は社会福祉調査であり,この科目のなかで使われている専門用語は万国共通であり,意味も決まっています。極端な言い方をしますと,人によって,考え方によって意味が異なることはないのです。しっかりと用語と意味を重ね合わせて理解しなければなりません。覚え方はアバウトでは絶対にだめなのです。用語と内容を対応させて正確に覚えることが必要です。
ただ,むずかしいかなと思う部分があります。社会調査そのものが,みなさんの日常生活のなかでなじみが薄く,5年に一度の国勢調査票を記入したり,巷のさまざまなアンケートに協力したことがあっても,その資料がどのように整理され,報告?使用されるかなどということを意識したことが今までなかったのではないでしょうか。また,質問に答えることがあっても,この質問の仕方,内容は適切か,この質問の意図は何かなど意識されたことはありましたか。「無作為抽出? 有意抽出? それって何?」……といった感覚ではなかったでしょうか。もう一度,私の講義で使用したレジュメを見返してください。そして,教科書と照らし合わせてください。
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社会学などでは「常識は疑ってかかれ」といわれます。普段使っている言葉のもつ意味と専門用語のもつ意味は同じなのでしょうか,それとも違うのでしょうか。私の経験のなかでも専門用語を覚えるのにとても苦労させられたことを思い出します。
「社会福祉援助技術論II」は社会福祉調査法であり,基本的には社会調査です。専門用語や表現?内容に中途半端などないところがつらいところです。また,「地域福祉論」における理念なども同じです。一つひとつをしっかりと内容と専門用語を対応させて理解するようにしなければなりません。しかし,地域福祉の理念も理念であって,社会の現実と異なります。この理念と現実の間に問題点や課題が含まれているといえるのではないでしょうか。
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スクーリングに費やした時間を無駄にしないために,私の方も何をしなければならないかを考えたいと思います。みなさんもスクーリングの復習をし,これからもいろいろな科目のスクーリングを受講される方々は,予習を欠かすことがないようにがんばってください。
最後にひとつだけいわせていただきますと,社会福祉に従事する者にとって共通した用語を知らなければ話は通じません。共通語つまり専門用語をしっかり理解してほしいと思います。コミュニケーションを図るということは共通した理解を育むことではないかと思うからです。