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VOL.21 AUGUST 2004

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[障害児教育I?II]
障害児教育I?IIのレポートを読んで思うこと

教授
北岡 侃

 先日,ある会合で会った友人が,「家内が通信教育でお世話になっています。45歳を過ぎてから始めたので本人には苦労も多いようですが,張りのある生活をしているような感じがします。我が家では,家内がレポート作成に集中している時や科目試験の前には,私が食事,洗濯,掃除の多くを受け持たされることになり,なかなか大変なものです。でも,本人がそれに生き甲斐を持ち,学び続けている姿を見て子どもたちも協力しようという気持ちが出てきて,家庭が何となくまとまってきているような気がします。私も料理が好きになりました」と話していた。本人も家族の温かい協力に感謝していることでしょう。皆さんのレポートを見ながら,同じようなご家庭もあるのではないかと推察しております。苦労を喜びに変えられることは素晴らしいことですね。
 通信教育で障害児教育について学んでいる皆さんは,年齢も職業も生活環境もさまざまです。職業で見ても,現在教職にある方もいるし,福祉施設で働いている人もいます。家事をしながら学んでいる人もいれば,民間企業で働いている人もいます。家庭環境で見ると,家庭生活を営んでいる人も単身生活をしている人もいます。また,障害児に接する機会という観点から見ると,障害児の教育や療育に携わっている人,障害のある子を育てている人,障害児とほとんど接する機会のない人とさまざまです。それで,レポートの記述内容も大きく違ってくるわけです。
 レポート課題集の内容と一部重複するところがありますが,次のようなことに十分気を配りながら学んでいって欲しいものです。

◆1 障害児の実態や障害児教育の実際を知る

 実際に教育現場で障害児教育に携わっている人のレポートは,より現実的?具体的な記述がなされています。障害児の施設に勤務している人たちも,障害児の教育の在り方に言及しているものが多いし,障害児を育てている方も,自分の子どもの受けている教育を通して教育の在り方を考えて記述しているものが多く見られます。障害児とほとんど接する機会のない人のレポートは,観念的,抽象的なものが多いようです。参考書の抜き書きにとどまっていたり,古い文献を参考にしていて,現実とそぐわないものになっているものもあります。しかし,そのなかにあって,障害児教育に関する講演会や公開講座等を頻繁に受講し,その内容を踏まえて具体的に記述しているレポートもあります。
 障害児の教育を正しく理解し,今後の在り方を考えるためには,実際の場で障害児と向き合うことです。できるだけ現場から学ぶということに心掛けて欲しいと思います。地域にある特殊教育諸学校の運動会や文化祭に行ってみるとか,小中学校の運動会や文化祭等で特殊学級の児童生徒の活動を参観するなどはできることと思います。また,特殊教育諸学校のなかには,学校公開日として,地域社会の人に授業風景や施設設備等を公開する学校もあります。また,障害児と触れ合う場を設定している学校もあります。そんな機会には是非出かけてみると良いでしょう。

◆2 障害児教育の大きな変革の流れを知る

 現在,障害児教育の大きな転換期にさしかかっているので,その動きに関する情報にも常に目を向けていくことが大切です。「1%の特殊教育から10%の特別支援教育へ」と言われているように,今まで教育制度面から見て,適切な教育の対象として目を向けられなかったLD,ADHD,高機能自閉症等の児童へも適切な教育を行っていこうとしているのです。
 その基本的な視点としては,(1)障害の種類と程度に応じる教育から個の教育ニーズに対応する教育へ,(2)幼児から社会自立まで一貫した生涯教育という視点の重視,(3)小中学校における特別支援教育体制の確立の3点と言えます。
 また,特別支援教育への転換とは,(1)子どもの視点に立つ,(2)出来合いのものから注文のものへ,(3)多様な選択肢と柔軟な選択可能性,(4)指導効果の上がる教育,ということです。そして,評価が先生方一人ひとりに問われるということになります。どの先生も障害児および障害児の教育についてわからなければ教員をやっていけないという時が早晩くるように思います。これによって,小中学校も大きく変わっていくことになります。ある人のレポートに,「学校が変わるということは,先生方の意識の変革が一番である」ということが記されていました。私も全くその通りだと思います。特別支援教育に関する書物も数多く出版されております。インターネットでも情報が流されております。多くの情報を収集し,読んで考えていきたいものです。

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