With TOP > VOL.42 MARCH 2007 > 

VOL.42 MARCH 2007

【学習サポート】

【現場から現場へ】

【5月科目修了試験のご案内】

【春期スクーリングIII?V

【通信制大学院コーナー】

【4月新入生の方へ】

【お知らせ】

【卒業と資格?免許状取得のために】

【3月卒業者からのメッセージI

【ひろば】

【現場から現場へ】

[シリーズ?現場実習]
実習のススメ?自分らしく充実した実習にするために

通信教育部OG(精神保健福祉援助実習受講生)
小木曽眞知子

◆実習前のこと

●なぜ精神保健福祉士の取得を目指そうと思ったのか

 前職(保育士)の時に精神に障害を抱えた保護者と数多く関わったことがきっかけです。当時は精神疾患についての知識がなかったので,対応に苦労しました。と同時に人の「心の中」に興味を持つようにもなりました。ちょうど仕事も10年の節目を迎え,「新しい事にチャレンジしたい」という気持ちがありました。それならば大学できちんと学びたいと思い,精神保健福祉士を目指そうと思いました。

●資格指定科目の単位修得で苦労したこと

 最初は聞き慣れない(例えばICFなど)言葉に戸惑いを感じました。レポートは,前職の経験(とにかく書類が多かったので)から「書く」ことには苦労しませんでしたが,阿部正孝先生の「精神保健福祉論II」で3回再提出をもらった時はさすがに苦労しました。しかし,再提出をいただくことで教科書をもう一度読み返してみたり,書く構成を考えてみたりとじっくりと取り組むきっかけとなりましたので,結果的には再提出の科目もあって良かったと思います。ただ,自分の場合社会福祉士の科目も同時に進めていたので,この2年間はレポートに追われていたように思います。

※ICF=International Classification of Functioning, Disability and Health,新国際障害分類の意

●単位を修得するにあたり,工夫した学習方法(普段の学習の様子等)

 「レポート提出は科目修了試験の受付に間に合うように」を徹底的に心がけました。機関誌『With』の試験ハガキを,まだできていない科目の分まで申し込み,期限までに必ず仕上げるよう自分で自分を追い込んでいきました。あと,市をまたいで「図書館利用カード」を作り,カード3枚を使って一度に10?15冊の文献を3科目分ほど借り,要点を押さえて読むようにしていきました。自分は「この日はやる」「この日はやらない」と日によって決めていましたので,やるときには平日(日中は仕事なので主に夜)は3時間ほど,休日は5,6時間レポート作成にあてていました。基本的に日曜日はやりませんでした。私は12時を過ぎると集中力がなくなるので「その日のうちにやることはやる」と決めやっていました。

●実習開始にあたり不安に感じたこと

 私は3年の12月の体験学習時に今の職場(精神障害者社会復帰施設:現在は地域活動支援センター)にお世話になり,そのまま縁あって1月から常勤職員として働いています。ですから実習時には「勤務先実習」となってしまいました。ですから特に不安なことはありませんでしたが,職員としての視点ではなく“学生としての視点”を常に心がけていこうと思っていました。

●実習では特に何を学ぼうと思ったか

 精神に障害を抱えている人たちが,地域での生活を送る上で「何が」問題なのか,今必要としていることは何なのか。今後どう生きがいを持って生活していきたいのか,そのために精神保健福祉士として何が必要なのか,どう関わっていったら良いか,ということを日々の生活や会話などから学ぼうと思いました。

◆実習中のこと

●実習中どのようなことに悩み,あるいは苦労し,どのようにそれを克服したか

 「勤務先実習」でしたので,自分が職員なのか学生なのかメンバーさんとの「距離」の置き方に苦労しました。あくまでも「学生」としての実習なので,期間中は学生証を名札にして,事務所には極力入らないようにして(実習時間中は)メンバーさん達の輪の中で過ごすようにしました。そうすることで最初は職員として接していたメンバーさんたちも「今は学生さんだよね」とか「学生さんにだから話すんだよ」と実習生として接してくれるようになりました。

●社会人として本学通信教育で学び精神保健福祉士を目指す学生へのアドバイス

 通信教育の学生の多くの方は社会人として働いている,あるいは働いた経験がある方たちだと思います。それゆえに「うちの職場では○○なのに」「このやりかたは△△ではないか」と思われることも多いと思います。実習先では年下の方や資格のない方などが担当指導者になることもあるでしょう。しかし,「郷に入れば郷に従え」とあるようにあくまでも私たちは「実習生」であるということを忘れてはいけないと思います。

●実習先での様子はどうだったか(実習プログラムや患者,指導員との関係)

 現場1カ所だけではどうしてもマンネリ化してしまうので,私の場合施設と連携している所は片っ端から「見学?体験」させていただくようお願いしていきました。そうすることでメンバーさんたちの施設以外での「顔」に触れることができ,同時に「○○では△△だったよね?」などと話も弾むきっかけとなりました。指導員の方(同僚)とは,1対1で話をする機会を作って頂き,おひとりおひとりの精神保健福祉士になったきっかけや仕事に対する思いをじっくり聞くことが出来,とても勉強になりました。

●実習中,特に印象深かったこと

 実習期間が終了するときに「もう職員さんに戻っちゃうの?」「まだ学生さんでいて」と言われました。理由を聞くと「たくさん話ができるから」「そのほうが親しみが沸くから」等でした。その言葉は私をはじめ職員が,日々の仕事に追われ普段の話を聞く姿勢が足りなかったのでは……と考えるきっかけになりました。

◆実習後のこと

●実習を終えての感想

 日々の実習記録を書くのは大変でしたが,メンバーさんたちのさまざまな顔を見ることができて良かったと思います。実習後もできるだけメンバーさんとの時間をとるよう心がけるようになりました。事務仕事が滞るようにはなりましたが……。

●資格取得後の予定

 10月から相談支援事業に関わるようになり,精神分野だけではなくほかの障害も理解していかなくてはならないと痛感しています。精神保健福祉士はもちろんのこと,社会福祉士にも挑戦し,「社会福祉のスペシャリスト」になることが私の目標です。欲も出てきて,いつかは大学院にも挑戦したいです。

◆これから実習をめざす方への応援メッセージ

●精神保健福祉実習で関わる実習先はせいぜい1カ所ないし2カ所程度だと思います。そこでの実習が「精神保健福祉」のすべてではないことを忘れないでほしいと思います。病院?社会復帰施設?保健所など種別で違うのはもちろんですが,病院は病院ごとに,施設は施設ごとにその場所ならではの特色があると思います。実習をすることで「こんなはずではなかった」「こんな所は私には合わない」「私は精神保健福祉士に向いていない」と感じたとしても,それはあくまでも「その施設」で合わなかっただけであって,ほかの所では意外と「私に合っている」こともあると思います。広い視野で精神保健福祉に目を向けて欲しいです。

●私は「実習生」と「実習指導者」の両方を経験しています。通学生だけではなく,通信教育学生の受け入れも行ったことがあります。「実習指導者」としての立場から言えば,何でも意欲的に取り組む実習生は好ましく感じます。その代わり,施設?職員?方針に対してすべて否定的,あるいは攻撃的な実習生に対しては,こちらもその人に対し良い印象は持てないものです。もちろん,「社会人として」「実習生として」自分の思いを指導者あるいは日誌に訴えてもらうことは悪いことではないと私は思っています。しかし,必ずしも指導者すべてがそのような考えの持ち主ではない……のです。

●「実習」まで来た人たちは,つらいレポート?試験を乗り越えた根性のある人ばかりです。実習中,もしつらいことがあっても今までの根性を思い出して乗り越えていって欲しいと思います。1カ月後には必ず何かを「得る」はずですから。

1つ前のページへこのページの先頭へ