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VOL.42 MARCH 2007

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[社会福祉援助技術現場実習]
社会福祉援助技術現場実習について(医療機関を希望する学生へ)

助教授 山川 敏久

 平成18年4月に,社会福祉士の実習施設に医療機関(病院,診療所,介護老人保健施設)が追加されました。このことにより,若干ではありますが実習施設の種別,選択肢が増えたことになります。みなさんの中にも,医療機関で実習を希望したいという学生もいると思います。ここでは,医療機関で実習を考えている学生の方に,すこしでもお役に立つようなことを,お伝えしたいと思います。
 病院,診療所は医療法上で,介護老人保健施設は介護保険法上で規定されている施設であり,近年においては,健康管理や健康増進から,疾病予防,治療,リハビリテーションに至る包括的?継続的医療を行っており,小児から高齢者まで様々な人が利用しています。このような医療機関において,社会福祉の専門家として医療ソーシャルワーカーが,患者や家族のかかえる経済的,心理的,社会的問題(総合して生活問題)の解決,調整を社会福祉の立場から援助し,社会復帰の促進を図ります。

 ここで,社会福祉施設等で行われている現場実習と,医療機関で行われる現場実習を比較して考えてみますと,社会福祉施設等では,社会福祉法の分野別(高齢者施設,児童施設,障害者施設,その他)等に分かれています。そこで行われている社会福祉援助活動や援助技術は異なるということはありません。むしろ社会福祉の分野や機関の特徴や実情によって,必要とされる知識や技術の使い方が異なることはあるでしょう。
 医療機関は,社会福祉法に基づいた社会福祉施設ではなく,医療法に基づいた施設であり,疾病の治療が最優先されます。医療機関には,医師や歯科医師をはじめ,看護師,薬剤師,診療放射線技師,理学療法士……等,多くの国家資格(約25種類前後の専門資格)を持った専門職の人々が働いています。このような専門職の人々と連携を取りながら,医療チームの一員として,社会福祉の立場から患者や家族を援助していきます。ここでの社会福祉援助活動や援助技術は変わりませが,医療機関の多くの専門職をはじめ,他の関係機関についても理解しておかないと,連携もとれませんので事前に把握しておくことが大切です。

 医療機関における医療ソーシャルワーカーの役割は,社会福祉の立場から患者や家族のかかえる生活問題を援助します。その業務については,平成元年に医療ソーシャルワーカーの業務指針が厚生省(現厚生労働省)より通知され,医療ソーシャルワーカーの業務範囲,方法等について指針を定め,医療ソーシャルワーカーの標準的業務を定めたものがあります。当然,医療機関で現場実習を希望している学生の方は,この医療ソーシャルワーカーの業務指針を十分に理解していく必要があります。さらに,これまで学習してきた社会福祉士科目に,医療福祉に関連した学習が必要となります。
 以下の本は最低限読んで,現場実習に望んでほしいと思います。
 ?(社)日本医療社会事業協会偏『保健医療ソーシャルワーク原論』相川書房
 ?大本和子?笹岡眞弓?高橋恵理子編著『新版ソーシャルワーカーの業務マニュアル』川島書店
 ?NPO法人 日本医療ソーシャルワーク研究会『医療福祉総合ガイドブック』医学書院

 皆様の実りある現場実習になることをお祈り申し上げます。

※医療機関?老健での実習要件については,『学習の手引き2007』p.104を参照してください。

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