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VOL.55 NOVEMBER 2008

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[老年心理学] 「老年心理学」レポートについて

講師 吉川 悠貴

 「老年心理学」を担当しております,吉川です。
 受講されている皆さんからのレポートを,毎回楽しみにしています。多くの皆さんは,テキストや他の文献を綿密に調べ,丁寧なレポートを作成されており,その努力には頭の下がる思いです。
 ただし,「老年心理学」だけではありませんが,レポートを作成されるにあたっては,大変苦労されているという声もよく耳にします。そこで今回は,「老年心理学」のレポート作成の際にお考えいただきたい点を述べさせていただきます。
 といっても,申し上げたいことはただ1つです。それは,レポート課題で要求されていること(レポートに記載すべきこと)がどのようなものであるのかを確認していただきたい,ということです。
 「老年心理学」では,下表のようなレポート課題を設定しています。

表 「老年心理学」レポート課題
1単位め  加齢に伴う感覚や知覚の変化,精神運動機能や記憶の変化についてまとめ,それらの変化が実際の生活にどのような影響を与えていくのかについてまとめなさい。
2単位め  高齢者の知的機能の変化がどのように現れてくるのかについてまとめ,知能の加齢による変化が実際にはどのように起こってくるのかについて解説しなさい。
3単位め  高齢期に多く見られる認知症の特徴についてまとめ,具体的にどのようにかかわっていくことが大切なのかについて述べなさい。
4単位め  人間に必ず訪れる死の問題をとりあげ,人間的な生と死とはどのようなものなのか,また身近な人の死への対応はどうあるべきなのかについて論述しなさい。

 課題をみておわかりのように,「老年心理学」では,どの課題においても共通して求めていることがあります。それは,(1)テキストや講義で学んだ内容を課題に沿って整理していただくことと,それをもとに(2)現実の具体的な生活との関わりや受講生の皆さんの意見などを述べていただくこと,です。レポートを読ませていただく中で,この求めている点をあまり考慮されていないものが見受けられることがあります。特に目立つのは,せっかくテキストや講義の内容をしっかりと整理されているのに,生活との関わりや意見についてはあまり述べられていない場合です。同様に気を付けていただきたいのが,テキストや講義の内容について整理されたことと,生活との関わりや意見が分断されている場合があることです。
 「老年心理学」のレポート課題をこのような形にしたのは,単に教科書的な知識を一方的に受け取るのではなく,できるかぎり身近な問題として理解していただき,その中で皆さんそれぞれの考えを持っていただきたいと考えたからです。高齢期の問題は,誰もがいずれは自分,あるいは家族や身近な人のこととして,さらには社会の問題として,直面せざるをえないものです。そのような問題について,単なる教養としてではなく,心理学の立場から,皆さん自身が実感を持ってとらえ直していただく機会になれば,と考えています。その意味では,研究論文で求められるような,文献を多数引用し比較検討しながら論理展開する複雑な考察である必要はありません。皆さんそれぞれが,実感を伴った理解をされ,ご自分の意見を明確に持たれたことがレポートに示されていれば,これに勝るものはないと考えています。テキストや講義から得た知識が,実際の生活の理解にどのようにつながっているのか,という観点からレポートの構成を考えていただけるとうれしいです。
 上記のことをお考えいただき,レポートを作成される際にはもう一度課題が要求する内容を確認していただきたいと思います。もちろん,多くの皆さんからはこの要求にお応えいただいており,そのようなレポートを読むことは,私自身にとっても学びとなっています。今後も,皆さんから充実したレポートをいただけることを期待しています。

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