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VOL.44 JUNE 2007

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[OB MESSAGE] 精神保健福祉援助実習から得たこと

通信教育部OB(精神保健福祉士) 申 貞順さん

●1 実習開始前

◆なぜ精神保健福祉士の取得を目指そうと思ったのでしょうか?

 2年生最後のスクーリングの帰りに,偶然ご一緒した某先生とのエレベーターの中での一分に満たない会話から,精神保健福祉について学んでみたいとの思いを抱き,3年生の一年間は精神保健に関する科目にどっぷりとつかりました。もともと児童精神領域に興味があったこともあり,その現場で彼らと時間の共有ができたら,との思いが精神保健福祉士資格取得のきっかけになったように思います。

◆資格指定科目の単位修得で苦労したことは何ですか?

 指定科目は2年生まではまったく手つかずであったので,3年生の内にいかに演習までこぎ着けるかに焦点を絞って,年度始めに学習計画を立てました。精神の科目は重複している部分も多いため,学んだ内容を次の科目と関連づけながら学習していきました。個人的には「どっぷり浸かった」という表現がぴったりだと思うのですが,一つ知るごとに考え過ぎて夢にまでみるような,そんな日々だったように思います。在学中レポート単位取得において唯一「不可」をいただいたのが「精神保健福祉論I」の1単位めでした。先生のコメントを参考にもう一度学びながら,精神障害を語るに欠かせない人物(先生)との出会いがあり,大きな収穫を得ることができました。不可にめげず,学び返すことで新たな知識を得ることができます。

◆単位を修得するにあたり,工夫された学習方法はありますか(普段の学習の様子等)?

 卒業までの4年間に実行してきたことは,年度初めに一年間の学習スケジュールを立てて,それに従い勉強を進めていくということです。大学から提示された年間スクーリングの予定,試験日,自分の予定とにらめっこしながら,スクーリングの予定に合わせて科目ごとの学習期間,試験予定日を設定し,4単位科目であれば1カ月,2単位科目であれば半月を目処に学習を進めてきました。終わった科目に赤ペンで○を付けるのが快感になりました(笑)。ホームページにある,学習計画?実績(月別)(科目別)の両方を大いに活用させていただきました。

◆実習開始にあたり不安に感じたことはありましたか?

 実習は2週間ずつの分割で,7月初めから2週間を精神科クリニックのデイケアで,9月の初めから2週間を小児精神病院で行いました。体験実習での2日間で精神的に疲労困憊した苦い記憶があったため,前半のデイケア(体験実習先)実習においては最後まで乗り切れるのかが不安でした。しかし,実習の準備過程(事前指導,学習のしおり作成など)で,自分の実習目標が明確になるにつれ,その不安も減少していったように思います。

◆実習で特にどんなことを学ぼうとしましたか?

 実習を通して,自分の適性を客観的に観ることに重点を置きながら,デイケアでは「精神障害者」と呼ばれている「人」とふれあうこと,小児精神病院では,小児精神疾患や小児を取り巻く支援のあり方について学びたいと思いました。

●2実習中

◆実習中どのようなことに悩み,あるいは苦労し,どのようにそれを克服しましたか?

 特に悩み,苦労と感じた事はありません。毎日が新しい発見の日々でとても充実した日々でした。強いて言うなら,自分自身と向き合うことで自分を掘り下げる作業が精神的に苦痛でしたが,それなくして利用者さんと向き合うことは難しいとの思いから,実習の日々がその日々でもあったように思います。

◆社会人として本学通信教育で学び精神保健福祉士を目指す学生へのアドバイスは?

 私自身においては,社会人経験が長くなるほどに上手に社会を渡る「術」が知らず知らずのうちに身に付いており,自己を振り返る機会を逃してきたように思います。デイケアでの実習では,現役の大学生の方が一緒でしたが,涙を流しながら思い悩む姿をみながら,初心に返ることの大切さを学ばせていただきました。「初心」に返り,学ぶ姿勢を持つことは実習中においても,大学の学習においても貴重ではないかと思います。

◆実習先での様子はどうでしたか(実習プログラムや患者,指導員との関係)?

 デイケアでの実習では,実習のすべての時間が利用者との共有時間でした。利用者さんも「実習生慣れ」しているせいか,自分から病状について話してくれ,今やりたいこと,今後の希望についても話し合うことができたと思います。理由のひとつとしては,私の配属が「ヤングフロア」だったため,若い世代(と言っても10代?40代含む)が中心でこれから社会復帰を考えるような方たちが多かったため,関わりを持ちやすかったのだと思います。実習中,あるプログラムの最中に幻聴が聞こえてきて,座り込んだ利用者さんを目の当たりにして,いつもは病気を感じさせない人だっただけに,生活の隅々で私には考えも及ばない苦痛を感じているのだということに衝撃を感じました。このことから,実際のふれ合いなくして,彼らの苦痛を知ることはできないということを実感しました。
 小児精神病院では,ほとんどの行動を指導員と共にしながら,マンツーマンの指導をいただけました。初診時の予診,他職種?他機関との連携の場,家族支援の場,電話相談の場などへの同行,カルテ開示による病態について,患児とのかかわり方についての指導など,毎日が学びの連続でした。実習希望先として,ねばり強く働きかけ実現した小児精神病院で,スペシャリストから指導をいただけたことは自分にとって大きな財産となりました。

◆実習中,時に印象深かったこと,また,今思い返して,反省点等はありますか?

 小児精神病院において,発達障害など予備的な知識は入れておいたのですが,より広範囲な知識と彼らを取り巻く社会資源についてインプットされていたならば,今回の実習成果が数倍になったのではないかと思います。実習準備は大変ですが,関連知識をもって臨むことは実習の成果につながるので,たくさんの時間を注いで欲しいと思います。そして実習計画を立てるとき,あまり欲張りすぎないことが大切だと思います。

●3実習後

◆実習を終えての感想は?

 前半の実習を通して「精神障害者」と呼ばれる人たちとの接触を通して自分と向き合い,後半の実習を通して小児精神病の病態や支援のあり方について学ぶことができて,実りある実習期間であったと思います。実習に出る前は,精神保健福祉士と心理職との精神領域での役割におけるアプローチの違いについてあやふやであったのが,実習期間を通して自分なりに整理ができたことが大きな収穫であったし,精神保健福祉士として踏み出せたら,との希望を確固とさせる4週間でありました。「学びたい」「わかりたい」との貪欲な気持ちと,学ばせてもらっているのだという謙虚な気持ちをもって実習に出たならば,必ず収穫があると思います。

◆資格取得後の予定は?

 大学卒業を機に,これまでの仕事から離れ福祉職としての再就職を目論んでいます。が,経験もない「中年のおばさん」にまで仕事が回ってくる程福祉業界は甘くありません。新たに福祉職を目指そうと思うのであれば,ボランティア経験など時間が許す限り実績を積んでおくことをお勧めいたします。

※下記は,申さんの2?3年次の「学習計画表」です。「学習計画表」の様式は『学習の手引き』に記載されているものを利用されています。実際にどのように単位を修得されたのか参考にしてください。

◆申さんの学習計画(2年次)

学習計画(2年次)
※クリックすると拡大して表示されます

◆申さんの学習計画(3年次)

学習計画(3年次)
※クリックすると拡大して表示されます

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