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VOL.15 DECEMBER 2003

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[社会福祉援助技術] スクーリングを終えて

講師
君島 昌志

 10月18日(土)?19日(日)新潟を会場として,社会福祉援助技術演習Iのスクーリングを行いました。スクーリングの講師役は今回が初めての経験です。事前にレポートを添削していましたが,実際,どのように演習形式で授業を進めていったらいいのか,あれこれ悩みながら準備し,新潟に向かいました。まさに予想どおりでしたが,受講生のみなさんは真面目で集中力があって,真剣なまなざしで取り組む姿にはとても感心させられました。

 授業はあまり机を使用せず椅子だけで車座になって,社会福祉援助技術の方法論のひとつであるグループワークを実際に体験しながら進めました。特にロールプレイを多用して,だれもが利用者と援助者それぞれの立場になって,利用者理解について一緒に考えていきました。
 利用者理解のためには,最初に援助者として必要とされる知識や技術を学びたいと考えるのが受講生の気持ちかもしれません。しかし,今回の授業では,まず,利用者の側に立つような場面を意図的につくり,援助者からの働きかけに対して利用者としてどう感じたか,どんな気持ちになったか,一人一人の「気づき」から考えていくことを大事にしました。そして,ロールプレイの後,車座になって感想を述べあい,他の受講者の感想を聞くことで,また一人一人受けとめ方が違うことがわかったりして,さまざまな価値観があることが理解できたと思います。
 また,感想を述べあうなかでも,「一般的には」「社会では」といった言葉を枕詞にせず,まず自分がどう感じたかを「私」を主語にして発言してもらうようにしました。そして,批評されたりせず,最後まできちんと聞いてもらえるなかで,援助者のあり方について,認識がいっそう深まっていったのではないでしょうか。
 さらに,利用者理解を学んでいながらも,しだいに自己覚知につながっていったことと思います。ロールプレイを通して,自分自身と真正面から向き合うこととなり,等身大の自分が見えてきて,なかには,ちょっと苦しくなってしまった人もいるかもしれません。しかし,利用者など他人を理解するためには,ありのままの自分を知り,まず認めることから出発することはとても大事だと思います。等身大の自分を認めることができるようになって初めて,他人を認めたり肯定したりできるようになるのだと思います。「共感的態度」「受容」「個別化」など,援助技術の基本的な知識や技術は,言葉ではなんとなく理解できますが,実際には,心から共感されたり受容されたりする体験がないと,実際には難しいのです。

 今後,さらに社会福祉援助技術を学んでいく上で,知識や技術を体系的に学ぶことも大事ですが,日常生活においても,他者とのかかわりを大事にし,センス?感性を研ぎ澄ませておく努力が必要です。それは教員も同じだと思います。お互いに頑張って学びあいましょう。

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