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【学習サポート】

[教育原理] 夏期スクーリングを終えて

寺下 明
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 「恋人に会う嬉しさは放課後の生徒の喜びだが,別れのつらさは始業のベルの憂鬱」と,シェークスピアは『ロミオとジュリエットの悲劇』のなかで書いています。スクーリング(学校へ行くこと)は,シェークスピアの時代から,生徒にとっては重荷であったようです。
 しかし,通信教育部の皆さんにとって,最初のスクーリングは,とても楽しかったようです。授業がとてもよかった,もっと話を聞きたかった,実験で考え方の基本を学んだという声が多くありました。キャンパスや交流会で共に学ぶさまざまなひとと出会う機会がありました。学習を進めるうえで,人生をゆたかにするうえでも互いに励ましあい,学びあう学友もできたことでしょう。アドレスを教え合っている場面も多く見かけました。意味のあるスクーリングではなかったでしょうか。
 学習する時は,たいへんな体力を必要とします。スクーリングで,長時間イスに座っていたことを思い出してください。座っている能力,すなわち,「座力」というのがあるのを新聞のコラムで知りました。日本にはなかった言葉なのだと思います。調べてみますと,英語よりもっと古いヘブライ語で,「コーアハ?イェシヴァー」というのだそうです(池田裕『旧約聖書の世界』)。かの地のひとたちは,小さいころから『聖書』の勉強で座力を鍛えられてきたのでしょうか。優れた学者や芸術家が輩出する一因かもしれません。考えさせられます。
 これから大切なことは,自宅に戻った時に,いかに一人ひとりが自分に勝って,学習に打ち込めるかということだと思います。スクーリング以外,通信教育は,まず座して学ぶ,独学?独習が基本になります。毅然とした学習が求められます。そのことが皆さんの知性に磨きをかけていくことでしょう。困難に直面したときは,ご相談ください。さまざまな状況を克服して,継続して学ばれることを期待しています。きっと,「学習の根は苦く,実は甘い」という逆説的な成果がもたらされることでしょう。

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