保育士課程の概要

保育士についての紹介と、保育士になるための本学でのプログラムについての概要です

保育士とは

「保育実践演習」での模擬保育「ゴムひもを使った運動遊び」
「保育実践演習」での模擬保育「ゴムひもを使った運動遊び」
保育士は、児童福祉法第18条の4で「専門的知識及び技術をもって、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行う」と規定される国家資格です。保育士は、共働きの保護者に代わり、子どものお世話をしたり、一緒に遊んだりする仕事と思われがちです。しかし、子どもが安心して周囲の人や環境との関わりを深めながら、様々な遊びや生活体験を通して、「これは何だろう」「どうしてこんな風になるんだろう」といった興味や、「もっと知りたい」「もっとやってみたい」という関心を広げながら、新たな資質や能力を獲得するための成長を育む専門職です。

このように、保育士は、子どもの発達過程を踏まえながら、子どもが生活をする環境を通して、専門的知識?技術をもとに子どもに対する保育を行います。それに加え、子育ての孤立化や地域社会の希薄化が進む昨今では、子育てに関する保護者からの相談に応じること、及び、地域の子育て支援を行うことが、保育士に求められる澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】な役割となっています。

また、保育士の活躍の場は、保育所だけでなく、児童養護施設や乳児院、母子生活支援施設、障害児施設、児童相談所、障害者支援施設といった福祉施設?機関にも及びます。こうした施設において、保育士は、児童虐待や子どもの貧困、家庭内暴力(ドメスティック?バイオレンス)、子どもの障害等、家族の力だけでは解決が難しい課題を抱えた家庭に対する支援を行う専門職でもあります。

すなわち、子どもに対する保育(ケアワーク)だけでなく、保護者に対する相談支援(ソーシャルワーク)、子育て支援を行う専門職といえます。

社会福祉学科では、保育士資格に加え、ソーシャルワークの専門職である社会福祉士の国家試験受験資格を取得することができます。その為、子どもの保育に関する知識や経験を積みながら、相談援助の専門職としての知識や経験の両方を積み上げることができるという特徴があります。

履修方法

指定保育士養成施設で保育士資格を取得する場合、所定の科目を履修?修得する必要があります。加えて、卒業後、保育士として保育施設等で勤務をする前に、登録手続きを行う必要があります(登録手続きについては、4年次の11月頃にお知らせ致します)。
なお、社会福祉学科における保育士課程の履修定員は、澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】資格規程第2条により、各学年50名です。また、本学では、社会福祉学科に加え、教育学部 教育学科でも保育士資格を取得することができます。その為、本学保育士課程では、保育士課程のゼミや実習指導は社会福祉学科、教育学科合同で実施することにより、異なる学科の学生同士が互いの学科の特徴をいかし、刺激を受けながら切磋琢磨できることも特徴の一つです。

本学における保育士養成の基本方針

①実習を核としたカリキュラム

 実習を核に編成されたカリキュラムにより、保育実習指導とゼミ活動がリンクされているため、全ての保育ゼミが共通のプログラムで学び合い、合同発表会を行うことで成果を共有するなど、組織的な学びを行います。

②PDCA型学習

 「計画(P)→実践(D)→評価(C)→改善(A)」というPDCAサイクルの仕組みが、保育実習指導やゼミ活動の各種のプログラムに組み込まれており、実践のリフレクション(振り返り)を軸とした学びを日常的に行っています。

③ダイアローグ(対話)

「保育実践演習」という科目で「遊びの指導案」を作成し、  模擬保育で実践し、振り返りを行い、実習につなげる
「保育実践演習」という科目で「遊びの指導案」を作成し、  模擬保育で実践し、振り返りを行い、実習につなげる
 言語化する力、考え抜く力、クリティカルに思考する力、そして協働する力を培うため、ときにはペアで、多くはグループで、さらには大規模で、保育について「とことん」語り合う対話的学習が組み込まれたワークを、ゼミや実習指導の中で頻繁に行っています。対話の相手は同級生だけでなく、先輩?後輩、OB?OGの先輩保育者など、実に様々です。つまり、年齢や立場を超えて、保育について深く学び合うことができる貴重な経験の機会が用意されており、「縦のつながり」からの学びも大切にしています。
このように、学生による、能動的な学習を行っている?行えるようになることが、保育士課程の魅力の一つです。このようなサイクルを繰り返すことで、自然と多くの学生が保育の面白さや奥深さに気づき、自らの力量を高め、自らを成長させていく「反省的実践家」として、能動的に質の高い保育を目指す道筋をつくることが、本学の保育士養成の基本方針です。

保育士養成の充実した学び

実習経験

「保育実践演習」での模擬保育「魚釣り」
「保育実践演習」での模擬保育「魚釣り」
保育士課程では、3年次に保育実習Ⅰ(施設)、保育実習Ⅰ(保育所)、保育実習Ⅱ(保育所)でそれぞれ10日間の実習に取り組みます。

保育実習Ⅰ(施設)では、児童養護施設や乳児院、母子生活支援施設、障害児入所施設等の児童福祉施設のほか、児童相談所や障害者支援施設等、保育士資格を持つ者の設置が求められている施設?機関で実習を行います。施設等の役割や機能を具体的に理解するとともに、子どもや利用者との関わりを通して保育士に求められる役割、職業倫理について具体的に学びます。

保育実習Ⅰ(保育所)、保育実習Ⅱ(保育所)では、公立及び民間の保育所において実習に取り組みます。保育実習Ⅰ(保育所)では、観察や子どもとの関わりを通して、年齢や月齢による発達の違い、個人差など子どもへの理解を深めるとともに、子どもと直接関わること以外の保育士の業務、役割、保護者への支援等について総合的に学びます。また、保育実習Ⅱ(保育所)では、保育実習Ⅰの経験を踏まえ、子どもに対する保育に取り組みながら、保育の計画、実践、記録、自己評価等について実践を通して往還的に学んでいきます。

【学生の声 実習体験】

「保育実践演習」での模擬保育「カードめくり」
「保育実践演習」での模擬保育「カードめくり」
私は保育士課程で、3年次に施設実習と保育所実習の2つの実習を経験しました。どちらの実習でも、利用者の方々や子どもたちとの関わりはもちろん、日々、支援や保育に取り組んでいる職員の姿から、多くの学びを得ることができました。

●施設実習

施設実習では、障害者支援施設で10日間お世話になり、様々な障害の種類、利用者一人ひとりが持つ個性やこだわり、利用者同士の関係性等に関する理解を深めることができました。また、職員の利用者に対する援助の仕方や関わり方、声掛けの仕方、環境構成に至るまで、ひとつひとつに意味があるということを学ぶことができました。
なかでも特に印象的なのは、実習のまとめに際し職員から頂いた言葉です。それは、「実習の中で得た『特別』な体験によって、知らなかった世界を知ることで、『普通』の範囲を広げることができたのではないか」、というコメントです。私たちからすれば、「特別」であると感じる、利用者の意思疎通の方法や、実習の中での様々な体験そのものも、利用者からすれば、それは、私たちがこれまで経験してきたことと同列の「普通」であり、利用者にとっては「特別」の事ではありません。このことから、私は自分の中の「普通」の範囲を広げられるような体験をさせて頂くことができ、保育士として支援する「人」の捉え方の本質を理解することができました。

●保育所実習
保育所実習では、20日間の実習期間を通し、子どもに対する先生方の様々な配慮や援助を学ぶことができました。その中でも、落ち込んだ子どもの気持ちを受け止めつつも、子どものやる気や自信を引き出す声掛けはとても勉強になりました。実習の中で、そのような子どもの意欲を高められる声掛けを先生方から学び、それに倣って自分自身も子どもに対し声掛けを行っていくことで、子どもが自主的に「やってみたい」、「こうしたい」と思える気持ちを引き出すことができました。このように、子どもの気持ちに寄り添うことで、「自分を理解してもらえた」「受け止めてもらえた」という安心感がうまれ、次の活動への意欲につながるのだと感じました。また、子どもの事故やケガを防ぐための配慮として、午睡中やその他の活動中に子どもの見守りや子どもの状態の報告を保育士同士がしっかりと行い、子どもの安全を守る、保育のリレーションの澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】性についても学ぶことができました。

●2つの実習を振り返って
施設実習、保育所実習ともに、利用者や子どもと積極的に関わり、職員の援助や保育、職場内外の連携の様子等を間近で拝見することで、今までの考えや机上の理論だけではない、実践的な学びを得ることができました。また、職員の方々が実習生の質問に対し、丁寧にわかりやすく答えてくださったことで、新たな気づきや体験へとつなげることができ、有意義な実習とすることができました。この実習で学んだことを、将来、実践現場に出た際に生かしていけるよう、継続的に学んで行きたいと思っています。

就職先について

 澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】5年度に卒業した保育士課程の就職先
保育施設(保育所、小規模保育施設、認定こども園):9名 ※うち、公務員保育士1名
児童福祉関係施設(児童養護施設、児相発達支援事業所):7名
その他施設(特別養護老人ホーム、障害者施設):2名
一般企業:1名
公務員(行政職):1名

教員からのメッセージ

高野 亜紀子准教授
高野 亜紀子准教授
保育士は、子どもの人格形成の基礎となる時期にその健やかな成長を育むとともに、保護者が子育てにやりがいや楽しさを感じることができるよう、時に保護者とともに子どもの成長を喜びながら、子育てを支える専門職です。また、先般のコロナ禍では、エッセンシャルワーカーとして社会を支える澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】な役割を果たしました。社会福祉学科では、「保護者にたいする子育て支援の専門家になりたい」、「施設で生活する子どもの気持ちに寄り添い、支えてあげられるような専門職を目指したい」という志をもち、保育士資格と社会福祉士国家試験受験資格の二つの資格を目指し、頑張っている先輩方がいらっしゃいます。一人では難しいことも、互いに対話を重ねながら楽しい雰囲気の中で学び合える、高め合える、だから頑張れる保育士課程へ、ぜひお越しください。

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