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教員MESSAGE 心理アセスメント
「心理アセスメント」レポート作成のコツ
教授 渡部 純夫
■心理アセスメントの必要性と意義
- 「見立て」をおこなうために
心理的援助において,クライエントが自分自身の問題に気づき,その解決を目標とする方向に変化して行くためには,見立てが必要になります。行き当たりばったりの対応では,方向性を見つけ出すことが困難なだけでなく,クライエントにとって害になることさえあるからです。
クライエントの現状を把握し,潜在的可能性を理解していくために,セラピストとの人間関係に関心を払いながら,クライエントの全体的状況を見ていく「見立て」の基礎的情報としてアセスメントが欠かせないものになります。
- 「心理アセスメント」の方法
心理アセスメントの澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】な柱となるものに,「面接法」「観察法」「検査法」があります。
「面接法」は主に言語的コミュニケーションを通して行われます。主訴?来談動機?現病歴?生活史?家族構成などが明らかにされます。
「観察法」は主に非言語的コミュニケーションを通して行われます。クライエントの表情?姿勢?音声の高低や大小や硬軟?服装?面接者自身の印象?好悪の感情?空想?眠気などが観察されることになります。
「検査法」は心理査定法とも呼ばれ,質問紙法?描画法?投影法などから構成されています。
- レポート課題の1単位めについて
まず,なぜ心理アセスメントが必要なのか,その意義について整理してください。そしてクライエントを統合的?全体的に捉えるため,「面接法」「観察法」「検査法」のそれぞれが捉えようとしている項目についての説明と,どのような方法があるのかについて述べてください。このあたりのことを詳しくまとめれば,それなりの枚数になると思います。まだ余白がある場合は,具体的な事例のアセスメントについて,その過程について簡単にまとめるとよいと思います。
単位1では,心理アセスメントにおける「面接法」「観察法」「検査法」について理解を深めて,使えるようにしていくことが1番のポイントです。その点を忘れずにレポートをまとめてください。
■パーソナリティの理論と心理テスト
- パーソナリティとは
パーソナリティは,日本語では「性格」と訳されたり,「人格」と訳されたりしています。最近では,「性格」や「人格」では包括しきれないということで「パーソナリティ」という言葉が多く使われています。
「パーソナリティ」の考え方は,理論家の分だけあると考えられます。
オールポートやフロイト,ユングなどをはじめとして理論が展開され,「類型論」「特性論」「自我理論」「力動論」などの理論体系が提供されています。
フロイトの自我理論を考えたとき,自我は層構造を成し,「意識」「前意識」「無意識」に分けられます。それぞれの層が,どのような成り立ちをしているかを調べようとするとき,心理テストが意味を持つことになります。目的に応じて,どの心理テストを使用すればよいか,選択しバッテリィを組む必要があります。そのために,それぞれの心理テストを理解し,精通していることが必要になります。
- レポート課題の2単位めについて
「パーソナリティ」の定義を,何人かの理論家の理論を取り上げながらまとめて見てください。その特徴をよく理解し,違いを明確にし,自分の考えを入れてまとめていくと,レポートが出来上がると思います。クレッチメルやオールポート?ミッシェルなどの考え方と,フロイト?ユング?ロジャーズ?パールズなどの理論を比較すると,違いを理解しやすいと思います。
心理テストについてはたくさんあるテストの中から1つ選んでまとめてください。レポートを見ると「質問紙法」「投影法」などについてまとめられる方がいますが,これらは分類分けですので,必ず1つの心理テストについてまとめてください。
心理アセスメントを深め,的確な援助ができるように,学習に精進してください。あくまでも自分のための学習です。それが,将来クライエントのために生かされることになります。そのことを忘れずに,体に気をつけて頑張ってください。期待しています。
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