VOL.05 NOVEMBER 2002 【学習サポート】 【現場から現場へ】 【冬期スクーリングのご案内】 【スクーリング時の宿泊情報】 【通信制大学院コーナー】 【お知らせ】 |
【現場から現場へ】[OB MESSAGE] 医療福祉の現場から塩竈市立病院医療福祉部 ●入学回想1969年春,福祉大のキャンパスは学園民主化を呼びかけるアジ演説と政治闘争の立て看板の中にありました。私は大学の「喜心寮」に入り,硬式野球部に籍をおきました。寮生活では,沖縄から北海道まで実にユニークな先輩等に囲まれました。クラブ先輩の説教の理不尽さは世の中の「必要悪」として少々のことではへこたれない精神を,寮内の政治的な議論から「権力」に媚びない反骨精神のようなものを学びました。 ●就職と恩師1973年の春に現在の職場に就職したのは恩師の足利量子先生(現澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】名誉教授)との出会いがあったからです。ケースワーカーの名称さえなじみ薄い時代でしたから,先生も「この道は一人雪山を登る覚悟で」と送り出してくれました。それはルバングで発見された小野田少尉の「命令を解かれる」まで降伏しないという心境に似ています。多かれ少なかれその当時の福祉大学卒業生に共通した社会へ巣立つ時の感情であったと思います。 ●塩竈市のこと 当院所在の塩竈は仙台市の北東に位置する歴史の古い港町です。周辺地域に日本三景松島,大和政権国府の多賀城市,ワールドカップ試合会場の利府町など二市三町に接しています。人口6万2千人,主たる産業はかまぼこ加工や年間550万トンの貨物商港,168億円の水揚げを誇る漁港,そして松島湾を臨む観光です。 ●医療福祉部の紹介当院は塩竈市の病院です。医療福祉部は1985年に創設され,診療部,薬剤部,看護部,事務部と並んで病院組織の大きな柱となっています。2000年1月には医療と福祉の統合化を目標に医療福祉情報企画室を新たに設置しました。同室は医療福祉科,介護保険科,在宅ケア科の3科から構成されMSW(医療ソーシャルワーカー)3名はいずれも東北福祉大の出身です。 ●仕事の回想 大きな柱となっている在宅ケアは1975年,院長とMSW,看護師による巡回診療としてスタートしました。時代は老人医療費無料化(1973年)制度で「福祉元年」といわれて間もない頃でした。福祉元年と謳われても,実際に在宅で療養する条件は皆無に等しく,施設はごく限られた高齢者のものでした。この小さな港町のMSWに寄せられる相談も貧しい我が国の福祉の縮図として例外ではありませんでした。 ●医療福祉情報企画室の現在 さて医療福祉情報企画室は,(1)居宅介護支援事業としてケアプラン作成件数月156件,(2)訪問看護サービスは月延べ件数323件,(3)医師による月訪問回数110件,(4)訪問リハビリテーション月10件,(5)当院療養病棟ショートステイ利用日数月平均190日,(6)MSWによる医療福祉科相談月平均相談140件等の業務を担っています。 ●最後に 介護保険制度がスタートして間もなく3年目を迎えます。同制度は従来の「措置」による福祉サービスを市場原理による「契約」へと転換させました。同時に医療サービスも利用者と家族の自己責任において選択的に利用される流れができました。それは医療費抑制策のなかで自治体立病院であることの役割を改めて問われる契機となっています。経済性にシフトすれば公共性が薄くなるし,公共性が強調されれば経済性が薄くなる。従来のシフト移動だけでは病院運営は成り立たないとう危機感があります。 |