2018/12/08 保育士?幼稚園課程

TFU教育フォーラム2018(幼保コース版) PARTⅠ 第1部

12月8日の3?5限に、「TFU教育フォーラム2018 PARTⅠ」が国見キャンパス大教室にて開催されました。第1部は、「主体的?対話的で深い学び」のテーマのもと、学生が実習を通して学んだことを、事例を紹介して共有したり、シンポジウムでは学生同士意見を述べ合い、質疑応答をしたりするなど、会場にいる全員が参加しながら進められた会となりました。

第1部は、本フォーラムの実行委員長である教育学科3年鷹觜柊子さんの開会宣言から始まり、続いて企画委員長の教育学科3年橋本日菜さんからは、「幼稚園教育要領」、「保育所保育指針」、「幼保連携型認定こども園教育?保育要領」の3法令の改訂のポイントと、本フォーラムの主題である「主体的?対話的で深い学び」の趣意について説明がありました。
その後、教育学科3年小野寺杏紀さん、同じく3年の菅原亜美さんからは、実習後の課題から、「主体的?対話的で深い学び」に関する事例についての発表がありました。
そして最後に、「実践にみる『主体的?対話的で深い学び(アクティブ?ラーニング)』」というテーマで、3人の学生が提供した実習での事例をもとに、学生同士が意見し合い、シンポジウムが進められました。
 
まず、橋本日菜さんより、3法令の改訂の背景やポイントについて、説明がありました。
以下、3法令の改訂の背景についてです。

3法令の改訂の背景は、世界各国が保育?幼児教育に投資し始めてきていることにあります。そもそも、なぜ世界の国々が「保育?幼児教育」に投資し始めたのでしょうか。
現在、地球上には、砂漠化や温暖化、貧困、難民問題など、誰も解を見出せていない困難な問題があります。これらのような答えの見つかっていない問いに対して、情報を集め、意見を交換しながら斬新な答えを出せる知性がある、またそれを共有しプレゼンできる能力などが21世紀では求められるようになりました。

ペリー幼稚園プロジェクトやジェームズ?ヘックマンの行った経済学的研究によって、質の高い保育?幼児教育の提供はその後の人生に大きく影響を与えることや、乳幼児の教育に投資したほうが大きく社会に還元されるとしたこと、さらには特に「非認知能力」の育成に焦点があてられるようになるなど、世界の関心は乳幼児教育へと移ってきています。このような世界の流れがあり、各国で「保育?幼児教育」に力を入れ始め、日本の教育施策もこの風潮に合わせ始めたのが、3法令の改訂の背景です。
 
「幼稚園教育要領」「保育所保育指針」「幼保連携型認定こども園教育?保育要領」の3法令の改訂で澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】なのは以下の3つのポイントになります。
①「養護」の澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】性が強調されたこと
②「保育の質向上」の力点を置いたこと
③「幼児教育」に新しい視点が導入されたこと

次に、「5領域」、「3つの柱」、「10の姿」についてです。まずは、指針や要領に盛り込まれている《ねらい》、《内容》、《内容の取り扱い》の意味を確認していきます。

《ねらい》…幼稚園生活を通して、子どもの発達する姿を踏まえ、幼稚園教育において育みたい資質?能力を、子どもの生活する姿から捉えたもの

《内容》…《ねらい》を達成するために保育者が子どもの発達の実情を踏まえながら指導し、子どもが身に付けていくことが望まれるもの

《内容の取り扱い》…《内容》に書かれている事柄を子どもたちが経験できるようにするために、保育者が援助や配慮を行うべきこと

この《ねらい》と《内容》を子どもの発達の観点から、「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」という5つの側面にまとめたものがいわゆる「5領域」です。

続いて、幼児教育において育みたい資質?能力(3つの柱)についてです。
①「知識?技能の基礎」…遊びや生活の中で豊かな体験を通じて、何を感じたり、何に気付いたり、何がわかったり、何ができるようになるのか
②「思考?判断?表現力の基礎」…遊びや生活の中で気づいたこと、できるようになったことなども使いながら、どう考えたり、試したり、工夫したり、表現したりするか
③「学びに向かう力?人間性」…心情?意欲?態度が育つ中で、いかにより良い生活を営むか
以上が3つの柱の内容です。これらは、5領域の保育内容を通して育てようとしている根幹の部分になります。

「幼児期の終わりまでに育って欲しい10の姿」については第2部で詳しく説明がありますので、そちらをご覧ください。


次に、教育学科3年小野寺杏紀さん、同じく3年の姿菅原亜美さんからは、3年生が保育所実習の振り返りとして行なった課題から、「主体的?対話的で深い学び」に関する事例を紹介していただきました。事例を紹介する前に、「主体的?対話的で深い学び」の意味をおさらいしていきます。

「主体的な学び」…子ども自身が身の回りのことに興味?関心をもちながら、見通しをもって粘り強く取り組むこと、そして、遊びを振り返りながら活動できるようにし、遊びと生活をより発展させていくということ

「対話的な学び」…大事なのは「伝え合い」で、子どもがそれぞれの思いや考えを言葉や行動で伝え合い、それをつなげ合って考えを広げたり、思考を深めたりすること

「深い学び」…子ども自身が対象の物や人と出会って、その関わりを深めること。物事の性質、関連、法則性などを子どもが捉えられ、さらに粘り強く取り組む力が育つようになること

以上、「主体的?対話的で深い学び」についてのおさらいでした。

次に、実習で見られた「主体的?対話的で深い学び」に関する事例がいくつか紹介されました。

その事例該当者である教育学科3年佐藤のどかさんは、
「今までは子どもの問題に気づき、援助することが大事だと思っていたが、何でも手を貸すのは子どものためにはならない、子どもの力を信じることも大事であるということに気付くことができた。子どもの力を信じて、子どもが本当に助けを求めてきた時に援助をすることで、子どもの主体性を伸ばせるようになりたいと感じた事例だった。」と事例を通しての学びについて話していました。

第1部の最後は、「実践にみる『主体的?対話的で深い学び(アクティブ?ラーニング)』」というテーマでシンポジウムが行われました。ファシリテーターである教育学科3年濱田汐里さんの進行のもと、学生が「主体的?対話的で深い学び」に関する実習での事例について発表し、学生同士で質疑応答を交えながら進められました。
事例は、
教育学科3年 長島 遥さん
社会福祉学科3年 千葉 彩夏さん
教育学科4年 飯田悠夏さん
以上3名の方々に発表していただきました。

話題提供者の3名のお話では、実習で見られた子どもたちの「主体的?対話的な学びだな」と感じられた事例が紹介されました。そして、事例から気付くことができた子どもたちに身についている力や、それに関わる保育者の役割の澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】性について話していました。また、普段から自然と行われている「環境を通した保育」があるからこそ、子どもたちの主体性?対話できる力が育まれているということに気づいたというお話もありました。
どの事例からも、子どもたちの「主体的?対話的で深い学び」が感じられ、とても興味深いものばかりでした。
3名の事例提供者の皆さん、ありがとうございました。
 
記事担当者:沼田真由