2024/02/01 医療経営管理学科

【コラム】元救急隊員の独り言(8)~冬場に多い救急事故①~(福田理絵)

脱衣場の挿絵

今年もいよいよ寒さが本格化してきましたが、今回は寒くなると増加する浴室での事故についてお話します。冬季に増えるのが浴室での救急要請です。「ヒートショック」という言葉は聞いたことがあるかと思いますが、寒い脱衣所から温かい浴室(浴槽)に入ることにより急激に血圧が下がることで脳血流が悪くなり意識を失います。実際に冬の夜間に多くある救急要請の一つです。意識を失った、動けなくなっただけなら命を失うことはありませんが、意識がなくなり口や鼻がお湯に浸かることで容易に溺水して亡くなってしまうケースがあります。

予防法として「脱衣所を温める」ことも出来ますが、「周りの家族が気に掛ける」ことが最も大切です。入浴の際には家族に「声をかけてから入る」、「時々様子をうかがう」これだけで家族の異変に早く気がつくことができ、浴室での溺水事故を防ぐことができます。大切な命を守るためにもちょっとした「コミュニケーション」が大切だと言うことですね。
 このお話は大学での授業を始め、学内で実施している救命講習などでも必ず学生に伝えています。寒くなる冬にほっとするお風呂の時間を安全に過ごすためにも多くの方に知っていただき、救急が少しでも減少につながることを期待します。
 

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