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VOL.34 MARCH 2006

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[卒業メッセージ]
おめでとうございます ??蛍の光窓の雪??

教授
阿部 裕二

 ご卒業おめでとうございます。澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】通信教育部として初めての卒業生を送り出すことになりました。皆さんはその第一期生となるのです。蛍雪の功成って,ここに卒業の日を迎えたことに対し,大いなる敬意を表します。

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 以前,本誌『With』(vol.09 April 2003,9頁)に以下のような内容を記述したことがあります。長くなりますが,再掲したいと思います。
 「(社会)福祉という分野は『人間』そのものを対象としますから,複合性が求められています。敷衍すれば,(社会)福祉を学ぶことは,究極的には人間理解であり,そのために哲学,心理学,そして生活や地域を分析する社会学などの学際的な学びが澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】であると言えます。
 しかし,学際的に学ぶといっても,単にそれぞれの分野の知識量を増やすことを意味しているわけではありません。(社会)福祉を学ぶことは知識や技術を学ぶだけではなく,その『理念?理想?考え方』を学ぶことであり,知識や技術とりわけ技術は『理念?理想?考え方』を実現させるために必要な手段に過ぎないということに留意すべきです」と。
 通信教育部での「学び」は「レポート作成による学習」と「スクーリングによる学習」から構成されていましたが,ご自身の学習を振り返っていかがだったでしょうか。学際的(総合的)な学びの中から自分なりの社会福祉観が醸成されたでしょうか。「木を見て森を見ず」あるいは「臓器を診て病人を診ない」という言葉があります。福祉は「人間」そのものを対象としますが,個別のニーズ(必要)にだけ着目するのではなく,生活全体ひいては社会全体のあり方にまで視野を広げることが求められていることを改めて銘記して欲しいと思います。

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 よく「福祉を学んでどのように役立てたらいいのですか?」という質問を受けます。特に「役立つ」ことを意識しなくともよいとは思いますが,敢えて言えば次の3点になるのではないでしょうか。
 まず1点めは,「利用者に対する側面」です。通信教育部で私は「社会保障論」「公的扶助論」「社会保険論」を担当していましたが,それらの科目に即していえば,サービス利用者から医療保険や公的年金などの相談(話題)があった場合,社会保障制度等の内容を理解しておくとともに,社会保険事務所や福祉事務所と連携をとっておくことは援助活動を立体的?重層的なものとすることが可能となります。
 2点めは,「社会に対する問いかけの側面」です。単に資格取得のための学ぶだけではなく,「社会保障とは?」,「社会福祉とは?」,「なぜ,私たちの社会や生活に社会保障や社会福祉が必要なのか」という「what」,「why」の視点から学ぶ(学んだ)ことによって,福祉制度?政策をよりよく改善していく推進者となり得ますし,社会保障や社会福祉の改革が進む今日,この本質ともいえる課題への取り組み(意識)は肝要です。
 そして3点めは,「自分に対する問いかけの側面」です。社会保障や社会福祉は第三者の問題ではなく,最終的には自分自身の問題でもあり,課題ともなります。自分自身はどのように生きていくのか,どのような自己実現を図りたいかがどこかで問われてくるからです。
 このような視点からいままでの「学び」を振り返ってみると,新たな発見や気づきがあると思います。

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 私たちはさまざまの出会いと別れを繰り返していきます。そしてその一つひとつの出会いと別れが私たちの人生をつくりあげていきます。皆さんは縁があり澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】と出会い,レポートやスクーリングを通じて多くの教職員,同じ通信教育生そして学問と出会いました。そして今,新たな出会いを求めて羽ばたいていかれます。
 卒業の意味は,言うまでもなく「業を終える」ということですが,それは,ひとつのステップを終えたということです。しかし,それは同時に「次なるステップの始まり」でもあります。アメリカの大学などでは,卒業式?学位記授与式を commencement とも言いますが,それが,「開始(始め)」(beginning)を意味することは,ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。もちろん,通信教育部で学ばれてきた皆さんはさまざまな世代の方々ですから,「次なるステップの始まり(開始)」もその人なりのスタートラインとなりますが……。

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 「人はみな,自分自身の幸運の鍛冶屋である」というドイツの古い諺があります。われわれは,誰しも,自らの幸運(不運も?)のプロデューサーなのです。先ほど「役立つ」側面として3点述べましたが,まずは「自分に対する問いかけの側面」つまり「自分自身の生活設計」あるいは「自分自身の人生のプロデュース」に,今までの「学び」が少しでも参考になれば幸いです。
 終わりに,卒業生の皆様の輝かしい前途を祝し,今後の大いなる活躍を心からお祈り申し上げます。

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