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VOL.29 AUGUST 2005

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[学生INTERVIEW]
社会福祉士国家試験にどのように取り組んだのか

 今回は社会福祉学科4年のK.S.さんに社会福祉士国家試験の受験勉強にどのように取り組んだのかについてうかがいました。Sさんは本学に入学前に働きながら社会福祉士の試験に挑戦し見事合格されました。現在,医療福祉の現場で働きながら,地元の大学等で「社会福祉士受験対策講座」の講師をされています。国家試験の受験勉強とは,どのようなものだったのでしょうか。


◆勉強の開始時期

Q 受験勉強はいつ頃から,どのように進められましたか。
A 受験日から約5カ月前の7月中頃から準備を始めました。8月?9月までは参考書を使って基礎固めを,10月?12月は問題集を解くようにしました。試験直前の1月に入ってからは,勉強してきたなかでわからない箇所を“つぶしていく”という勉強をしました。

◆出題範囲

Q 国家試験の受験対策と普段の通信教育の学習は,やはり違うものなのでしょうか。
A 通信教育におけるレポート作成を中心とした自宅学習と国家試験の受験勉強は全く別物と考えてよいでしょう。レポートでは,課題集のアドバイスに指定されている範囲を中心に学習すれば済みますが,試験勉強はテキストの1ページから最後までが出題範囲になります。

Q 初めて受験勉強に取り組む人は,広い出題範囲のどこから手をつけたらいいのか途方にくれてしまうでしょうね。
A 国家試験は出題範囲が限定されていないので,最近話題になっている法改正など,新しい“旬”のものから覚えるようにしたら良いと思います。障害者福祉の分野であれば支援費制度や身障手帳,児童福祉であれば児童虐待防止法,高齢者福祉であれば介護保険などです。出るか出ないかわからないところを覚えるよりは,出やすいところをまず押さえるのがベストです。全く初めてで,これから受験勉強を始める人は,取り掛かりとして最近の過去問題を0点でもいいのでやってみてください。

◆対策講座

Q まずは自分の実力を認識するということですね。受験勉強の方法としては日々の自学の他に,学校や業者が実施する各種対策講座などがあると思いますが,そういったものには参加されたのですか。
A 私は業者が実施する対策講座に参加しました。期間,日程は実施する業者によって様々です。受講料は1クルーで35,000?38,000円くらいです。毎年,受験費用や交通費をかけるのを考えれば,業者の対策講座につぎ込んで早く合格した方がいいと考えました。業者の対策講座の場合,過去の出題傾向の分析から,“とりあえずこの部分を覚えておくように”と教えられます。ポイントを教えてくれるので,まとを絞った勉強ができ,時間を有効に使えるというメリットもあります。自分でやるのであれば,過去3,4年の問題の傾向を見て,そこから問題集にあたるといいでしょう。もちろん大学で実施する対策講座も有効だと思います。

◆教材

Q 教材についてはどういうものを使ったらいいのでしょうか。
A 私のやり方は,問題集を1冊使って解いてみて,間違ったところを広告チラシの裏などにとにかく書いて頭に叩き込むというものでした。参考書は筒井書房の『必携 社会福祉士』を使いました。教科書は年々古くなっていくので,最新資料を集めて新しくしていく必要があります。穴埋め式に書き込んでいくワークブックがいいという人もいます。中央法規のワークブックは,同じ中央法規で出している参考書に沿って作られているのでわかり易いと思います。参考書は,自分で実際に手にとって読んでみて理解できるものを選ぶとよいでしょう。ミネルヴァ書房は,字数も少なく比較的柔らかい感じです。中央法規はこと細かくガチガチですが,この1冊をしっかりやれたら間違いなく受かるでしょう。他にもいろいろ優秀なテキストが出ています。自分にぴったりの一冊を探してください。

Q 何冊も必要ないということですか。
A 沢山の参考書に手をつけるよりは,1冊をしっかりやり込むようにしました。問題集も1冊に絞りました。いろんな問題集に手をつけると,問題集によっては法改正が反映されていないものがあったりして本番で迷うことになります。

Q 具体的に問題集はどのように活用したらよいのでしょうか。
A 問題集の解き方ですが,単元ごとに区切ってやりました。今日は○○論というように1?10問をまとめて解くといったやり方です。間違ったところの語句は,マーカーで目立つように黄色と赤の二重で囲みました。覚える意味でマーキングするのではなく,自分がどこを間違えたのか,どの用語がわからなかったのかを後でわかるようにするためにマーキングします。索引の用語にもマーキングすれば後で振り返るのに便利です。皆さん問題集をきれいに使われる方が多いのですが,私は間違った問題番号に直接×を書き込んでいきました。5択問題で正しい文章を選ぶような場合,たまたま答えが合っていたとしても,“何故この文章が間違っているのかがわからない”場合についても印をつけて後で確認するようにしました。この作業を地道に続けると,次に問題を見たときに,例えば“支援費制度は市町村が?”といった選択文章の場合,“都道府県?”という正しい答えが自然と浮かんでくるようになります。繰り返し解いて,どうしても間違う問題を絞り込み,試験直前の12月から1月にパソコンで打ち直したプリントを常に持ち歩き,目を通すようにしました。

◆過去問題について

Q 過去に出題されたものがまとめられた過去問題集もありますね。
A 私は過去問題集はやりませんでした。現時点の過去問題が,法改正等により本当の意味で“過去”の問題になっている場合があるからです。もし過去問題を解くのであれば,現行の『小六法』を脇において,間違った問題の解説に“○○法第○章による”とあれば,六法で必ず確認するようにします。何年か前になくなってしまっている法について出題されている場合があるからです。受験生の方には,この辺にうとい方が結構いて,いまだに2003年版の六法を使っている人がいたりします。ミネルヴァ書房ですと1,600円程度で手に入ります。具体的な勉強スケジュールは,夜の11時から3,4時まで勉強して,朝7時半には起きて仕事に行くサイクルを続けました。睡眠時間は2時間半です。途中で体を壊しましたが,このスケジュールはずっと続けました。体重は7月に勉強を始めてから本番までに6kg落ちました。仕事の付き合いで飲んだ日には勉強はできませんが,風呂に入って酔いを覚ましてから勉強する時もありました。土?日は対策講座に参加し,講義が終わった日は講義のノートを整理して書き直したり,テストに出そうなところを赤枠で囲う作業をしていました。

◆勉強の成果

Q 日々の勉強の成果はどのように現れてくるのでしょうか。
A うろ覚えでも,支援費制度や公的扶助とは“こんなもの”というイメージができてくればしめたものです。問題を見れば“何となく見たことがある”“何となくわかる”ようになってきます。

Q もう7月も終わりに近づきました。今年度受験される方は,そろそろ準備を始めないといけませんね。
A 本気でやる人は,もうやっていると思います。通信教育部の学生さんに中には危機意識を持っている人とそうでない人がいるように思います。安易に考えているのではないでしょうか。模擬試験を受けてみれば一発でわかります。模擬試験は1回3,000?5,000円位で,結果と解答がついてきます。私は実力判定の目的で8,9月頃,10月,12月の直前の3回の模擬試験を受けました。社会福祉士会の全国統一模試もあります。試験は基本的には150問中6割の90問がとれれば合格になりますが,年によって91点であったり85点であったり変動します。合格率は,受験者数の28%というのは毎年一定しているようです。

Q 合格率3割というのは狭き門ですね。効率の良い勉強が必要ですね。
A 自分の能力と勉強方法がうまく合致するかどうかがポイントです。特に仕事のある方はいかに時間を有効に使うかも澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】です。私自身も仕事をしながら資格をとりました。要は,自分自身どれだけ頑張れるかだと思います。朝2時間早く起きて,あるいは仕事が終わってから3?4時間勉強するなど,とにかく生活の中に勉強する時間を設けて“やる”しかありません。

◆“やる気”の持続方法

Q 本番までの数カ月間,“やる気”を持続させるにはどうすればいいのでしょうか。
A 試験に取り組む“やる気”を維持するには,将来,社会福祉士という資格によって“何をしたいのか”を自分自身の中で明確にすることです。福祉の現場で資格をもって働いていることは,自己の満足感と自負につながります。“周囲の仕事仲間が持っているのに自分は持っていない”というのもひとつの立派な動機です。
 受験勉強に通学,通信の違いはありません。要は“やる気”と実際に“やったか”です。私自身,医療福祉系の職場に勤務していますが,合格するまでに職場に言われて2回受験しましたが,全く準備しなかったのでだめでした。

◆受験のテクニック

Q 受験の際のコツやテクニックはありますか。
A 本番のテクニックとしては,設問の中で自分が見たことのある言葉をつぶしていく方法があります。○×の正しい組み合わせを答える問題の場合,確実にわかる選択肢が1つでもあれば,解答パターンから絞り込むことができます。ただしこの方法は,受験準備にゆるみが出て来るため,あくまでも本番のテクニックであり,問題集を解いていく段階の勉強にはお勧めしません。基礎固めをしっかりしないでこういう解き方をしていると,問題文章をじっくり読まなくなってしまいます。

Q やはり受験勉強は暗記でしょうか。
A 受験勉強は暗記だと思います。ただし,単に用語を暗記するのでは,すぐに忘れてしまうので,理解して覚えることが肝要です。主要な制度の改正などは,“改正されたから○○”と覚えるのではなく,“なぜ改正されたのか”という理由とセットで覚えると忘れにくいでしょう。例えば“ICIDHは医療的側面が強かったが,○○という理由から環境面も取り入れてICFになった”とかです。背景をきちんと押さえることが大切です。福祉の現場で働いている方は,業務として使っているので忘れにくいと思います。内容によって制度などは覚えやすいと思います。一方で,歴史系は暗記が必要になると思います。

◆心の支え

Q 試験前に不安はありましたか。
A 本番前は不安でしたが,受けた後“ああ,いったな”という実感がありました。試験当日は,かえって不安につながるので教科書は読みませんでした。前日までに覚える作業は済ませました。

Q 受験勉強には孤独な戦いというイメージがありますが,一緒に勉強する仲間はいましたか。
A 残念ながら,そういった仲間はいませんでした。じっくり一人で取り組めたのは,普段から一切テレビを見ないのと出不精なこと,そうした自分の生活スタイルと受験勉強が上手く合っていたからだと思います。

Q 周囲の応援や協力はありましたか。
A 家族の協力は不可欠です。勉強のために,まだ小さい子どもの世話をなかなかできないことはプレッシャーでした。資格を持っていないことによって,持っている人と一緒に仕事をする際,やりにくさや引け目がありました。自分がこの世界で食べていくためにはこのラインで行くしかないと決めていました。私には,今,駄目なのだったら,それを解消できる土台に自分を上げていく,そうして自分の目標をどんどん上げていく,という考えがあります。

Q 資格をとって何か変わったことはありますか。
A 国家資格を持っていることによって名刺にも名札にも資格の名称が入ります。社会福祉士に受かって自分の中に自信が生まれたことが一番の変化ですね。

Q ためになるお話しをありがとうございました。最後に社会福祉士の国家試験勉強を振り返っての感想をお願いいたします。
A 今までになく勉強しました。“もう一回しろ”と言われてもできないと思います。


(インタビューを終えて)
 「私のは,とても参考にはなりませんから」ということでしたが,他の学生さんのために是非にとお願いし,岡山から仙台に来ている間の貴重な時間を割いて頂きました。Sさんからは,謙虚で誠実な印象の中に“自信”を感じました。“力を尽くして狭き門より入れ”という言葉があります。苦しい努力の先には,相応の達成感が待っています。
 スクーリングや科目修了試験の際,どのような受験勉強をしているのか情報交換をされてはいかがでしょうか。
 通信教育部事務室にも国家資格を持ったスタッフがいますので,お気軽にご相談ください。

(聞き手 Y.O)

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