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VOL.29 AUGUST 2005

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平成16年度通信制大学院修了者からのメッセージ3

通信制大学院で学んで印象に残ったこと
社会福祉学専攻 J.W.

 通信制大学院で学んだ2年間は,辛いながらも忘れることのできない充実したものでした。温かく激励してくださった修士論文指導教員の小松洋吉教授,そして事務室の菅野陽子さんをはじめ,関係の皆様に心から厚くお礼申し上げます。
 私の場合,1年次は,どちらかといえば課題レポートを仕上げるのが精一杯で,本格的に修士論文の研究を開始することができたのは2年次に入ってからでした。正直言って仕事をしながら日々限られた時間のなかで課題レポートや修士論文の研究に取り組むことは,苦労の連続でした。通勤時のバスのなかや職場の昼休みといった時間は,文献を読むことに専念し,帰宅してからの夕食後の時間や土日などの休日は,課題レポートの作成や修士論文の研究に時間を費やしました。そのためか大学院生活の2年間は,殆どどこにも出かけずに家にいるといった具合でした。そして唯一の息抜きといえば,愛培している東洋蘭(風蘭,セッコク,春蘭)に水をやることで,学習で混乱した頭を休めるのに一番有効な方法でした。もし,私の大学院生活の2年間を何かに例えるとすれば,庭いじりをしているときに石の下から出て来た細く折り曲がった白い雑草のようなもので,光と出どこを求めて少しずつ地表に向かう姿がどこか似ていたような気がします。
 修士論文の研究課題は,障害者対策の発展に当事者運動が果たしてきた役割を検証することで,1970年以前の戦後の身体障害者運動史に焦点をあてて研究に取り組みました。なぜ1970年以前の戦後の身体障害者運動史に着目したかという点については,わが国の障害者福祉に関する文献では障害者対策の理念や施策が数多く記述されているにも関わらず,障害者運動の歴史は殆ど取り上げられておらず,記述されているとしても1970年以降の自立生活運動に限られている実状に疑問を感じたからです。そこで私は,わが国の障害者対策の起点となった1949(昭和24)年12月の身体障害者福祉法制定まで遡り,1970年以前の身体障害者運動の歴史的役割を検証してみることにしました。ところが,本研究では,序盤から身体障害者運動の資料収集に大変苦労させられました。しかし,資料が集まるのと並行して身体障害者運動史が浮き彫りになるにつれて,自らの「宿命」と戦うことを自らの「使命」と受け止めて,同じ「宿命」に苦しみ悩む者の幸福を具現化しようとする障害を持つ当事者たちの運動に強く惹かれるものを感じました。また,身体障害者福祉法の早期制定を求めた鈴木仙八(全国身体障害者甦生同盟),国民年金法における無拠出障害年金の支給を求めた駒沢文雄(日本身体障害者団体連合会),身体障害者福祉法の「更生法」から「保護法」への根本改正を求めた黒木猛俊(日本身体障害者団体連合会)の運動などは,わが国の障害者対策の定礎を築き上げたにも関わらず,あまりにも知られていないことに驚きました。近年,わが国の社会情勢は,急速に変化し,障害者福祉の分野においても今国会審議中の障害者自立支援法などに代表されるように,応益負担を中心とした障害者対策の必要性が議論されています。しかし,急速に変化する時代だからこそ,歴史を顧みることが大切であり,先人から学ぶ姿勢が必要であると感じます。そして障害を持つ当事者たちの運動の歴史を風化させないという意味において,本研究を続けていくことが澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】であると考えます。
 最後に,現在,通信制大学院で学んでいる皆様の学習や研究が実り多いものとなりますよう祈念いたしまして,私が通信制大学院で学んで印象に残ったことの紹介を終わらせて頂きます。ありがとうございました。

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