さまざまな分野の第一線で活躍する人を紹介するNHK総合テレビ番組の「プロフェッショナル 仕事の流儀」に、1997年度（平9）澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】社会教育学科卒の加藤忠相氏（42）が10月3日（月）22：25?23：15の放送に登場しました。タイトルは「介護施設経営者?加藤忠相」。2001年、神奈川県藤沢市で高齢者向け介護福祉サービスを提供する株式会社「あおいけあ」を立ち上げました。高齢者の能力を地域貢献に生かす取組が評価され、2012年11月に「第1回かながわ福祉サービス大賞」を受賞。施設の取組は“藤沢モデル”として全国から熱い視線を浴びています。

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「あおいけあ」は、小規模多機能型居宅介護「おたがいさん」、デイサービス「いどばた」、グループホーム「結」の3つの高齢者福祉サービスを提供する施設を経営している。敷地内を通る私道には塀や壁がなく、近隣住民や子どもたちが自由に行き来でき、施設内全体が温かな空気に包まれている。昼食時には利用者のお婆さんの膝の上に女性職員の赤ちゃんが託され、周囲に笑顔の輪が広がった。以前、問題行動を起こしていた認知症高齢者が、ここで過ごすようになってから問題行動が消えるなど、効果的な介護の一端を垣間見た気がした。

施設内に一貫して流れるのが自立支援の精神。利用者の方が元植木屋さんなら植木を、車屋さんなら車の修理を、女性なら得意な家事を頼りにされる。掃除を例に取れば、職員がするのは業務だが、一緒に行えば自立支援、近所の神社となれば立派な社会貢献になる。すべては職員がその人の個性、特徴を把握して対応するから、本人の居心地もよくなる。加藤氏の人を尊重する思いが成せる業である。

大学卒業後に勤めた特養を2年半で辞めたのも、介護の名の下で行われるお年寄りへの“支配”に対する反発心だった。「人にされて嫌なことは絶対にするな」と、可愛がられた祖父母から言われて育った加藤氏には介護に名を借りた“支配”に我慢がならなかった。施設が1963年施行の老人福祉法から旧態依然のままであれば、そこからの脱却が必然だった。

2000年に施行された介護保険法で示されたのは利用者の「自立支援」で“支配”ではなかった。加藤氏が職員に求めるのはほんのわずかだけ。介護保険法にうたわれる仕事の「自立支援」と「人にされて嫌なことは絶対にしない」をスタートに、ゴールを「より良い人間関係の構築」に定め、それ以外は職員の裁量に任せている。

そんな加藤氏は、本学でどんな学生時代を過ごしたのか。中高で続けた好きな吹奏楽を大学でも続け、学生指揮者も務めた。毎年春と秋には、硬式野球部の全国大会にチアリーダーと共に神宮球場に駆けつけた。当時は門倉健投手（元中日）や小野公誠捕手（元ヤクルト）らがいて、強かった時代であった。3、4年時は吹奏楽部の部長でもあった畠山英子教授のゼミに所属。現在も交流を持つ畠山教授は「何事にも非常に前向き。性格は優しくて穏やか。歴史好きで文化的な素養があった」と当時を懐かしむ。加藤氏は今でも畠山教授に教わった「望めば必ず達成できる」をモットーとして、実践に励んでいる。

良いものを積極的に採り入れるのも加藤氏の真骨頂。昨年3月に亡くなった大学の先輩?小山剛氏（昭51社福卒）が運営する新潟県長岡市の高齢者総合ケアセンター「こぶし園」を視察したりした。10月には新たにコミュニティー?レストランを計画している。１階は小規模多機能型居宅介護施設、２階は子どもの自習室と地域交流型アパートを併設するという。5月に台湾出張、11月にはフランスで認知症非薬物療法学会に出席する。土日は講演で全国を飛び回り、平日は年間300件にも及ぶ全国からの視察、見学の対応などに追われる。NHKの放送後は、多忙にさらに拍車がかかりそうだが、若くてやる気満々の加藤氏なら、ごく自然とこなしていくに違いない。

プロフィル
◇加藤　忠相（かとう?ただすけ）氏　1974年（昭49）9月2日、神奈川県藤沢市生まれ。神奈川県立野庭高から1浪後、澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】社会教育学科に進む。在学中は吹奏楽部に所属。パートはサックス。卒業後、特別養護老人ホームに2年半勤めたが、方針が合わず2001年に一念発起し「株式会社あおいけあ」を設立。共著に「あおいけあ流　介護の世界」（東日本ヘルスリサーチラボ）など。2015年から慶応義塾大学看護医療学部と同大学院健康マネジメント研究科の非常勤講師を務める。家族は夫人と子ども3人。