2022/02/02 保育士?幼稚園課程

保育実習指導Ⅰ?Ⅱ

2月2日の3?4?5限では、GooglemeatとZoomを使用し、オンライン上での同時双方向型で「保育実践演習(3年ゼミ)合同発表会」が行われました。

澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】の「保育実践演習(保育士課程3年ゼミ)」は、保育にかかわる課題に関する分析、考察、検討をチームで行うとともに、子どもを援助するための技術、方法などについて学修し合う教科目です。

本日の「保育実践演習(3年ゼミ)合同発表会」では、3年生が保育所実習での出来事などについて事例検討し、学びの成果を各グループごとに発表します。今回は、3年生だけでなく2年生?1年生も参加し、お互いの学びの場として、また交流の場になることをも目的とし行われました。

本日の流れは以下のようになっております。

1)全体会…Googlemeatを使用し、発表会の概要を説明する
2)ゼミごとに発表…Zoomを使用し、5会場に分かれる
3)総括

たくさんのグループ発表の中から、以下、山崎ゼミ3班の学生の発表を紹介いたします。

〇山崎ゼミ3班 K君は悪い子?

〈事例〉
?実習1日目の様子
実習生がYちゃん(5歳児)と遊び始めると、K君(3歳児)が実習生に一緒に遊ぼうと声をかけた。実習生はまだYちゃんと遊び始めたばかりだったので一緒にK君も遊ぼうと声をかけた。すると、K君はYちゃんの作ったブロックを許可を取らずに解体してしまったり、繋げてしまったり、「貸して」と言わずにおもちゃを使い出してしまったりなどしてしまった。また、他の園児にも気に入らないことがあると手や足が出てしまっていた。

?実習2日目の出来事
K君と同じ年齢のS君がボタンを押すと動くぬいぐるみで遊んでいるところにK君が入り、電池がちょうど切れてしまったおもちゃに対して『動く.動かない』で言い合いになり、K君がS君を叩いてしまった。
S君は実習生に「K君が叩いた」と伝えにきて、周りの子どもたちも『いつも意地悪をしてくるK君がまた悪いに決まっている』となり全体でK君を責める言葉が出てきた。実習生は「ちょうど電池が切れちゃったんだね。どっちも悪くないしどっちも正しいよ。だけど叩くのは良くなかったよ。叩いちゃったのはごめんねしようか。」と声をかけて仲直りをするよう促した。
その後、2人が去ったあとに残っていた園児から「K君いつも意地悪する」「K君やだ」と聞こえてきた。実習生は、保育者がK君は今友達との関わり方の練習中で、相手の気持ちの考えること、またどう言葉をかけるのかをわかるように働きかけていると言っていたので、そのことを踏まえて「K君は今お友達との遊び方を練習中なの。ルールを覚えているところだからみんなで一緒にK君を応援してあげようね」と声をかけた。

〇問題の所在
〈子どもの視点から〉
?K君自身の問題→言葉で解決せずに行動に出てしまった
?子ども全体の問題→K君に対して偏見がある

〈実習生の視点から〉
?K君も周りの子ども達も納得ができる言葉掛けをすることができなかった
?子どもたちが自分で考えられる働きかけが必要だったのでは?
?実習生のKくんに対しての関わり方はどうしたら良かったのか

〇事例に関する子どもの発達についての文献調査
〈自己抑制の発達〉
3歳から6歳で急激な発達が見られる
※自己を抑制する能力には個人差がある。

〈乳幼児期の子どもの考え〉
自分の見方だけを事実と思い込み、ある事柄だけに焦点化しやすい
→他者の考えを理解できるようになるためには?
⇒情報を客観的に整理するような援助が必要!

〈3歳ごろまでの気持ち〉
?自由遊びから切り替えの場面
?自分の遊びを続けたい気持ちに葛藤して集まりに参加できないことがある
?子どもの関心を保育者に引き寄せる→子どもが気持ちを"おさめる"→子どもたちは実際に楽しいことを経験する→"次の楽しいことのために今は我慢する“
⇒見通し,気持ちへの対応を身につける,それができた子どもへの満足感が次の成長へと繋がる                               
???など
〇考察
〈K君自身の問題の対応〉
?自己抑制がまだ難しい、言葉よりも先に手が出てしまう、他人への理解が不十分
→K君の気持ちを受容する、周りの子どもたちの気持ちや思いを代弁して伝える、言葉で伝えることを保育者が見本を見せる
?自分の遊びを続けたい気持ちに葛藤
→友達が今使っているという客観的情報を保育者から伝える、「時計の長い針がここに来るまで」と見通しを持てる言葉がけ、代わりになるものの提案

〈周りの子どもたちの問題の対応〉
?K君をマイナスに捉えている、規範意識の育ち、他人の気持ちを理解することが十分でない
→「正しい」、「正しくない」をはっきりしたいのではないか
⇒子ども達の気持ちを受容する、どうしてそう思うのか聞く、K君の気持ちを代弁する(具体的に)

〇スーパーバイズ
〈山﨑敦子先生〉
?K君に対して
①手が出る「理由」を把握する
②気持ちや欲求を受容する
③具体的にどうすれば良かったのかを保育者(実習生)が、モデルとなって繰り返し示す
④できるだけ肯定的な言葉をかける
「好奇心旺盛、明るい、元気、活発な子」などプラス面がある
→自己肯定感へと繋げる
⑤スキンシップをとる
※自己抑制には個人差がある!

〈平川昌宏先生〉
?K君に対して
①記憶が難しい…何をするのかをその都度確認し、伝える
②K君を認める…K君は悪気が無いため、どうして怒られているか分からない
→丁寧な関わりが必要、K君の良いところを認める
③K君の良いところを皆に見せる…自由遊びやクラス活動の中でルール遊びをする
→K君が遊び込めることができる、周りにK君の良いところを見せることができる
?専門機関に繋げる
保護者が発達相談に反対する場合…保育所でK君自身が困っていることを話すと良いかも!
?K君を注意する際の注意点
①さりげなく、別の場所で伝える
②他の子ども達が気づかないくらい遊べている中で、注意する

〇以上から学生が考えたモデルパターン
〈S君?K君に対して〉
①K君とS君の二人だけで話せる環境を整理
②K君とS君の両方の状況を整理しながら、気持ちを聞きながら気持ちを代弁
③保育者はK君とS君のお互いの想いを共有できるよう橋渡しの役目をする
④保育者は自分の気持ちをどう伝えるべきだったかを例示する
⑤S君に対しK君と一緒に謝る
⑥K君に対しスキンシップを取りながら、謝れたことを認めることで成功体験につなげる

〈周りの子どもに対して〉
①子どもたちの気持ちを受容する
②K君のプラスなイメージを伝え、K君の気持ちを代弁

以上が山崎ゼミ3班の発表内容になります。

すべての発表が終了後、もう一度GoogleMeetを使用し、総括を行いました。
総括では、緑ヶ丘第二幼稚園園長の三塚薫先生から、「事実を考察していくことは、普段の保育の中でも大事です。保育は楽しいものだとして、子どもとかかわってほしいと思います」とお言葉を頂きました。

学生の頃のから何度も事例検討を重ねることで、多くの学びがあることに加えて、保育の現場に出た時にも「事例を検討する習慣」に繋がるのではないでしょうか。
今回参加した学生は学んだことをこのまま終わりにするのではなく、さらに他の学生と共有したりして、より学びの輪を広げていきましょう!

記事担当:島貫莉花子、森麻尋、佐々木彩