2021/04/16 保育士?幼稚園課程

教育実習(幼?小)の事前事後指導

4月16日(金)の5限に行われた教育実習(幼?小)の事前事後指導では、「TFU保育?就活の要訣」と題しまして、和田明人先生よりお話がありました。

講義をしている和田明人先生の様子
講義をしている和田明人先生の様子
はじめに和田先生は、本日のお話の「ねらい」についてお話してくださいました。
◇本日のねらい
1,「より望ましい保育施設に就職するための行動の切り口を持てるために!」
【和田先生の考え】〇学生として過ごす人生最後の1年をどう過ごすのか。
〇この1年間しかできないことをやってほしい。
〇保育者ということを基準とした自分で納得いくような保育の学びを味わってほしい。

2,「どんな保育施設ではたらきたい?」「どんな保育者になりたいのか?」を伝えられる言葉を持つために!」
【和田先生の考え】〇ちゃんとした言葉を持って伝えられるようになってほしい
〇「なんか…」ではなく、明確に、そしてその人自身の価値や意味を相手に言葉で伝えられるようになってほしい 
講義を受講する学生の様子
講義を受講する学生の様子
次に、以上の内容を含め本日の話の流れを伝えて頂きました。
【本日の内容】
1,保育観の確立
2、保育?就活に関する基本認識

1,保育観の確立
→和田先生は、「みなさんの保育観は何ですか?と問われたらどう答えますか?『保育観』とは確立すべきなのでしょうか。」と学生に問いかけ、以下の10のことを自分自身に問いてほしいと、「保育観の確立」を10の項目に分けてお話してくださいました。

①保育観が未確立なこと
→「保育観」が未確立なのはいけないことなのでしょうか。
【和田先生】
?「保育観を一生探究していきます」
『自分の保育観が正しいのか自信がない、保育観がしっかりしていなければならないのでは?という不安や焦りに支配されがちです。ですが、大丈夫。逆にがちがちの保育観があるとそれにとらわれすぎて、余計なことを考えるようになってしまい、むしろ園との出会いに妨げになってしまうこともあります。そのため、まずは、「保育観を確立せねば!」という固定観念から解放されましょう』

②なにを(どのような)?いつ?どのようにして確立する?
→では、「保育観」をどのように確立していくのでしょうか。
【和田先生】
?「学びにより溜め込んだ保育の専門知によって正確な評価や判断ができるようになる」
『漠然とした保育観は誰でも持てます。しかし、確固とした保育観は経験?体験を積み学びにより培われるものです。学びに終わりはありません。ですから、保育者になってからこそ仕事の中や、終わった後にも省察を通して学んでいってほしい。』

③そもそも保育観は確立してなくてはならない?
→「保育観」とは、現時点で確立していなければならないものなのでしょうか?
【和田先生】
?「呪縛から解放されて、標準的保育の力をつける」
『「理想の保育」と理想が高くなればなるほど、自分が苦しくなってしまいます。そのため、高い理想よりもまずは標準的保育の力をつけることの方が大事です。』

④保育観が未確立がゆえに公務員
→ここでは、卒業生であるKさん(公立保育所保育士)のお話がありました。
■卒業生Kさん(公立保育所保育士)
自分自身が「やりたい保育が漠然としている」
見学や説明会に行って民間は“理念”や“方針”を声高に言うが「どこを見てもぼんやり…」
→「1つの民間保育所に絞るのではなく、まずは転勤がある様々な保育所で経験を積もう」
と公務員保育士を目指す覚悟ができた。

⑤キャリアデザインをする
→ここでは筑波大学で「特別活動?キャリア教育の日仏比較」などを研究していらっしゃる京免撤雄先生のお話がありました。
「キャリアデザインは、その人がそれまで果たしてきた役割がつながってできていくもの」
「どのようにつないでいくか、その人なりの役割とつなぎ方がある」
「普段は、そんなに突き詰めて考えていなくても、節目の部分はきちんとデザインする」
【和田先生】
?学生生活最後で大切な節目である現4年生は「自分だけのキャリア?アンカーをみつけよう!」

⑥キャリアとは
→そもそも「キャリア」とはどういう意味なのでしょうか。
狭い意味では:職業、仕事、職務内容、業績、能力、進路など
広い意味では:個人の生き方や働き方を通した自己表現の仕方そのもの
生涯において個人が果たす一連の役割およびその組み合わせ

⑦キャリア?アンカーとは
→では、「キャリア?アンカー」とはどういう意味でしょうか。
意味:アンカーとは錨(いかり)であり、「キャリア?アンカー」は、キャリア開発の方向性を安定させる。

⑧ライフデザインから描く
→将来の生活を考えて就職を考えることもできるのでしょうか。ここでは東京家政大学の常務理事である岩井絹江先生のお話をしてくださいました。
「キャリアデザインの前にライフデザインを描こう」
「人として、そして保育者としての人生を考えよう」
「どんな人生を送ろうか、どう生きていきたいか」
「どこで誰と生活しようか」
「自分を知ろう(したいこと、大切にしたいこと、強みや弱みなど)」

⑨保育現場の特色
【和田先生】
?「公?私、東北?首都圏、保育所?幼稚園などの大きい括りでは一律に言えない」
『子どもの存在や、四季折々の保育などは理念?方法、保育者の構成、環境、雰囲気の特色から変化していくこともある。そのため、施設によって一定の傾向はあるかもしれないが、幼稚園だから保育所だからと大きい括りで言ったり、実習に行ったところだからと決めつけたりして就職先の特性を安易にきめつけないでほしい。』

⑩理想の職場とそうでない職場
→「理想の職場」と「そうでない職場」のどっちを先に経験した方が幸せでしょうか。
【和田先生】
?「身の丈にあったほどよいハードルの高さ」
『何かのきっかけで転職しても良いのです。理想とはちょっと違っても、別の職場でリスタートしても、その時の体験に基づいた保育観があるから、前の職場とはまた違った視点の保育所に行くようになるはずです。また、理想の職場で勤め始めても、1年は辛いものですし、泣くこともあります。4月は子ども達が泣くように私たちも泣くのです。しかし、1年目を乗り越えて2年目からは大学で学んだことの芽が出始めるのです。』 
最後に保育?就活に関する基本認識についてのお話をしていただきました。こちらも10の項目がありますが、本日は時間の関係上3つの項目についてお話してくださいました。

2、保育?就活に関する基本認識(まず心掛ける)
①就活=恋愛
【和田先生】
?「惚れ込んでもらえる人になるには?」
『就職先に考えているところから、自分に惚れ込んでもらうために、まずは自分の理想から解放されることが大切です。そのうえで、以下の内容を意識しましょう。
?短期間はダメ(→何回も通い職場の方との信頼関係を築いていくことが大切)
?履歴書=ラブレター(→保育は2,3枚同時に出すこともあります。もちろん内容はそれ  ぞれ違うもので1つ1つの園に心のこもったものを書き、自分から求愛するのです)
?相思相愛と一方的な思い込み など』

②ステレオタイプの二者択一思考で終わらない
【和田先生】
?「二者択一のどっちにも意味はある、どうしてそこなのかと言葉により、しっかりと説明できるように構造理解による深い思考と意味説明が求められる」
Ex:『正規?非正規(臨時?嘱託等)採用?』、『幼稚園?保育所?』、『東北?関東?』など

③大都市での保育者生活と地方(地元)での保育者生活
【和田先生】
『?電車文化と自動車文化の違い
→仙台と東京などで生活するとなると車か電車かが大きく異なる。
?可処分所得の実際(手取りの金額はどうなるか)※一人暮らしと家賃
 →数字でしっかり計算し選びの判断材料にしてほしい。
?新卒がほぼ正採用?では、全員が正職員?
→良いことをいう陰には悪いことがあることも考えよう など』

今回伝えきれなかったところは、また来週に大事なところを間引いてお話してくださるとのことでした。

本日から、いよいよ4年生の実習指導が始まりました。久しぶりに直接顔を合わせた学生たちは、どこか安心したような明るい笑顔のもと会話を楽しんでいる様子がありました。
4年生という学生最後の年、和田先生より良いスタートダッシュが切れるようにとのお話がありましたが、就活に向けて落ち着いて取り組み始めることができそうな心持ちに少しはなれたのではないでしょうか。
新型コロナウィルスの勢いに負けず、幸せな就職ができるように、みんなで日々精進し頑張って参りましょう!


記事担当:佐々木彩、島貫莉花子、大槻優希子