2020/12/10 保育士?幼稚園課程

保育実習指導Ⅱ

12月10日(木)6限の保育実習指導Ⅱでは、保育所実習報告会をA、Bの2会場に分けて行いました。また、A会場には社会福祉法人銀杏の会バンビの森保育園園長の壹岐美津子先生、B会場には社会福祉法人青葉福祉会青葉保育園園長の木村智子先生にご参会いただき、お二人の先生から1グループずつ発表後にコメントをいただきました。

それでは今回はB会場のみとはなりますが、全7グループの発表の一部をご紹介させていただきます。

①テーマ「子どもの興味関心を見るためのコツ」
子どもの興味関心を活動へと反映させることで、子どもの活動へのやる気を引き出すことができる。熱心に活動できることで、子どもの自己肯定感?自信につながると考え、その経験を保障できるかどうかが大切であると考える。

〇興味関心を見るためのコツ
1)子どもの姿、表情を観察する:子ども同士の会話から少しの変化でも察する
2)きっかけづくり:子どもの動線を考えながら環境を構成し、子どもの関心へアプローチする
〇次回の実習に向けて
?余裕を持って子どもの関心を見たい(会話や自由遊びの時間など)
?興味関心を引き出せるようにたくさん準備していきたい
?テレビやアニメから子どもの話題になっていることを見つける
〇木村先生からのコメント
子どもたちが何かに没頭できるということは、成功か失敗かではなくその活動を満足するまでできるということ。その達成感を得られる経験を積むことは大切である。また、没頭している子どもを見て、他児が興味関心を持つこともあるため、実習では周りにも目を向けられるといい。

②テーマ「子どもの興味関心を見て実施する活動を決めるコツ」
グループでは特に“観察実習”が大切であると考えた。また“観察実習”では、どのようなところを見たらいいのかということについて、次のことが挙がった。
子ども:普段の遊び、友達との関わり、発達、生活の流れ等
保育者:言葉かけの様子、子どもとの距離感、保育者同士の連携等

〇どのようなことに着目するか
1)安全への配慮
(例)
?子どもの動線、発達に合わせた活動内容にする
?未満児クラスでは細かいビーズ等は使用しない
?物の配置、危険物、環境構成への配慮
2)子ども主体の活動
(例)
?子どもが選択できるように様々な色の折り紙を用意する
?活動の時間は多めに設定する
3)発達を踏まえる
(例)
?子ども同士、保育者と子どものやりとりに着目する
?子どもが挑戦しやすいような適度な難易度の活動を取り入れる
〇次回の実習に向けて
?ワクワクするような活動の導入(絵本、手遊び等)
?保育者との指示の出し方の確認
?子どもの発達を捉える
〇木村先生からのコメント
クラスの活動を決める時には、クラスの特徴を捉えて決める。人数が多ければ多いほど、全ての子どもの興味関心を同じ温度で反映できるわけではないが、できるだけ近づけるように工夫している。また、最初は興味がなかったことでも、やってみたら“楽しかった”という経験も子どもにとっては大切である。

③テーマ「指導計画の援助?配慮内容を考える際のコツ(遊び)」
目の前の子どもたちが興味を持っていること、楽しんでいることを観察し臨機応変に対応する、発達の差を考慮した配慮を考えることが必要と考える。

〇配慮すべき点
?目に見えるもの(健康状態など)+目に見えないもの(気持ちなど)
?指導計画に記している活動時間ばかりに囚われない
〇次回の実習に向けて
?事例検討を重ねる
〇木村先生からのコメント
目に見えない心の部分まで見ることに着目していることはとてもいいことである。指導計画で予想した子どもの姿と異なったとしても、子どものどういう姿にアプローチしてどのような姿を伸ばしていきたいのかの“ねらい”の部分は見失ってはいけない。

④テーマ「指導計画の援助?配慮内容を考える際のコツ(生活)」
このテーマについて、生活や発達の連続性を考慮した保育をすること、子どもの発達段階や個性に合わせた保育をすることが大切であると考える。園での子どもたちの生活は、ずっと連続していて、家庭から園生活へ、園生活から家庭へと場は変化しても生活は連続していく。

〇配慮すべき点
?時間で区切らず、次の活動がスムーズにいく働きかけを行う
?活動は“動”と“静”のバランスをとる
?子ども自身の性格、発達過程、園での生活の様子等、あらゆる点に着目する
〇次回の実習に向けて
?安心して過ごせる環境構成を自分自身で考える
?個別的配慮だけでなく全体的配慮にも目を向ける
?視野を広く持つ
〇木村先生からのコメント
遊びとは異なり生活は家庭と園での流れがあり、切り離すことができない。また、生活は安心できる先生との間で成り立つものであるため、実習生ではなかなかうまくいかないこともでてくるだろう。実習中は多角的に子どもを捉えるとよい。

⑤テーマ「子どもの興味を惹きつけるコツ」
子どもの興味を惹きつけることで、子どもが主体的に活動できるようになる、次の活動に見通しが持てる、想像力や発想が豊かになると考える。方法としては、手作りの文化財、手遊び、絵本、話し方、環境構成などが挙げられる。

〇配慮すべき点
?子どもの興味関心が向いているものを知っておく
?言葉かけは脅しではなく、次の活動に期待が持てるようにするため
→分かりやすく且つ前向きな言葉がけを行う
?保育者中心にならないようにする
〇次回の実習に向けて
?少しの時間で取り入れられる小技や知識、手遊びを覚える
?文化財の製作に勤しむ
?子ども間で話題になっているもの(こと)を知っておく
〇木村先生からのコメント
“言葉かけは脅しではない”という言葉が印象的であった。子どもに対しては、「こういう風に“やらない”ように」ではなく、「こう“する”といいよ」、「こう“する”とこれもできるかもよ」等と前向きな言葉かけを行うように意識するといいだろう。

⑥テーマ「子どもの個人差をどうとらえるか」
個人差はネガティブに捉えられがちであるが、“個性”であると捉えることが大切である。また、発達の連続性にも十分配慮する。

〇配慮すべき点
?発達区分にとらわれすぎず、個に応じた保育を行う
→他の子どもと比べず、個々の以前までの姿と比べる
?子どもの性格、特徴をそれぞれ理解する
→その子どもに合った援助ができる
〇次回の実習に向けて
?発達過程を改めて復習する
?すぐに援助するのではなく、子どものやろうと挑戦する姿を見つける
?「○○する?」「○○してみない?」といった前向きな言葉かけを行う
〇木村先生からのコメント
子どもの得意不得意、好き嫌いは多様である。保育者が多様な個性を引き出せるような活動を考えることは難しいことではあるが、それが保育の楽しいところであり、醍醐味でもある。

⑦テーマ「気になる子どもと一緒に活動するには何を見て何を考えるか」
“気になる子”というと障害や病気を想像することが多いが、それだけではなく子どもの家庭環境や保護者との関わり、性格や発達等の違いによることもあるのではないかと考える。例えば、感覚が過敏である、分からないことが多いと不安、皆といると落ち着かないなど、様々なことが考えられる。

〇配慮すべき点
?子どもの気持ちを受け止める
→「なぜそのような行動をとるのか?」「困っているのは子ども自身なのでは?」
?言葉かけの配慮
→劣等感が生まれないように。気になる子どもだけでなく、周りにも目を向ける
?可視的支援を取り入れる
(例)声の大きさをグラフにして示す、一日の予定を絵や図で示す、持ち物に同じシールを貼って目印とする
?環境の工夫
→集団に無理に参加するのではなく、遊び別に部屋を区切る
〇次回の実習に向けて
?一人遊びをしている子どもにも目を向ける
?他児と遊ぶことができるようなきっかけづくり
〇木村先生からのコメント
困っているのは子ども自身なのではないかという視点はとても大切である。保育者は“気になる子”が周りの子どもと関わる架け橋になれるといい。また、保護者に対して園での様子を伝え、子どものプラスの印象を与えることも保育者の役目であると思う。

各グループからのテーマ別発表を聞き、新たに見えた発見や視点があったかと思います。また、木村先生からは暖かいお言葉をいただき、これから実習を控える私たちへ助言やエールを送ってくださいました。来週には、保育所実習並びに施設実習の情報交換会が控えており、実習を行った3年生が2年生に向けて自身の経験を踏まえ情報を提供する場となっています。有意義な時間となるよう、積極的な発言をしていきましょう!

記事担当:島貫莉花子