2020/05/28 保育士?幼稚園課程

保育実習指導Ⅱ

5月28日(木)6限に行われた保育実習指導Ⅱでは、先週に引き続きオンライン上(Google Meetを使用)で双方向型授業として行われ、利根川智子先生に指導計画の作成についてご指導いただきました。

はじめに、計画の意義についてご指導いただきました。保育の現場では、子どもの活動が意識的であっても、無意識であっても、保育者には意図的なかかわりが必要であるという事から、計画を基にする保育が求められています。この計画は保育所保育指針や、幼稚園教育要領、幼保連携型認定こども園教育?保育要領とともに、子どもの育ち?発達を考え、各園の理念や保育(教育)目標をもとに計画を立てていくことが必要になります。

立てる計画には3種類あります。

1.短期指導計画(週指導計画(週案)、日の指導計画(日案))
2.長期指導計画(年間指導計画、期別指導計画、月間指導計画(月案))
3.全体的な計画?教育課程

このほかにも乳児期では特に成長が著しいことや、個人内の成長を個別に評価することから、個別指導(支援)計画を立案することもあります。種類は異なりますが、すべて結びついていることで、成り立っています。

また、計画は立てるだけではなく、PDCAが大切になります。保育におけるPDCAとは、P(Plan=計画を立てる)、Do(保育実践、観察、運営)、C(Check=記録、評価、振り返り)、A(Action=保育者間の共有、計画の再作成、自己評価)の略称です。PDCAを意識することで、子どもの様子を見ながら、計画と実践の差異を記録や評価し、次の計画や保育者間の共有へと繋がっていくという事になります。

続いて、「基礎的事項を知る」と題して、保育所実習の場合と施設実習の場合で分けて、指導計画の作成についてご指導いただきました。

最初に保育所実習についてご説明がありました。実習には段階があり、まず始めに保育実習Ⅰで参加?観察実習?部分実習を行います。観察実習は子どもとかかわりながら、または園によっては子どもとかかわらずに観察を行います。そして、部分実習では絵本を読むなど、短い時間ではありますが実際に子どもの前に立ちます。次に、保育実習Ⅱでは参加、部分実習、そして丸1日あるいは長時間行う全日実習を行います。このように、短時間から長時間実習を行うため、計画を立てるためにも事前に関連する法律や用語、施設の理念や方針を学習しておくことが大切になります。

保育所実習での指導計画を作る際に参考になる日誌について、ポイントを踏まえながらどのように書くと良いかを説明して頂きました。日誌を書く際のポイントには以下のことが挙げられます。

?園生活の1日の流れ?保育の流れ
?子どもの活動?姿?関係性
?保育者の配慮と援助?環境構成?言葉がけの工夫
?園の動き?行事(に向けた活動/保育者の準備)
?保育以外の場面?保育者の職務

また、さらに時間の流れに沿って、朝?遊び?昼食時?おやつ?午睡?降園時?延長保育(朝?夕方)と閉所のそれぞれのポイントの例もご説明して頂きました。

このように観察したことや、実習園の理念、保育方針、全体的な計画、長期?短期の計画、デイリープログラムを参考にしながら、指導計画を立てます。この際に注意をすることとして、指導計画の「ねらい」の欄を書く際に、「~が出来るようになる」などと書くと、子どもの能力評価になってしまうため、気を付けるようにしましょう。

次に、施設実習についてご説明がありました。施設実習の段階は、まず始めに観察実習を行います。その後、観察実習を続けながら、部分実習を行います。部分実習では、施設は乳児院や障害者支援施設など様々種別があるため、施設にあったレクリエーション(乳児院なら手遊びや絵本を読むなど)を行います。

各施設によっては異なりますが、保育所実習とは違い、1日全てを実習生に任されることは殆どなく、一部分を担う場合が多いです。一部分の例として、以下のものが挙げられます。

<養護系施設>
?日常生活場面…食事、衣類の整理整頓?洗濯、歯磨き指導、学習指導、自由時間、余暇活動での遊びや読み聞かせなど
?乳児院の場合…授乳、オムツ交換、沐浴、遊びなど

<障害系施設>
?日常生活場面の指導
?余暇活動でのレクリエーションなど(全員が参加できるレクリエーション)

施設実習でも同様に、施設の理念や方針、年間援助計画、月間援助計画、デイリープログラムを意識しながら、子ども?利用者の状態や背景を考慮し計画を作成しましょう。その際に、個別支援計画の閲覧は出来ないので注意しましょう。

最後に、学生からの質問に利根川先生にご回答して頂きました。


Q.観察ポイントがたくさんありますが、実習中に観察ポイントを忘れることなく、自分の中で整理して観察ができる工夫はありますでしょうか。
A.自分で立てた実習目標を踏まえ、その中でも今日は○○について見よう、など決めておくと良いと思います。

Q.実習前に年齢の発達を踏まえて、全日実習で行う活動を考えたり、あらかじめ内容を準備をすることは良いことなのでしょうか。それとも、実際に実習園での子どもの姿を見てから、活動の内容を一から考えた方が良いのでしょうか。
A. あらかじめ内容を準備をすることは、悪いことではありません。引き出しがないまま行ってしまうと、いざ子どもたちを見てどんな遊びをしたいかと問われ考えるときに答えられなくなります。そのため、候補として色々な活動を集めておくと良いのではないでしょうか。

今回の講義の中で、利根川先生に実習中の大変そうだった先輩のお話もして頂きました。しかし、「心が折れそうと思っても、皆様何とか全員乗り切っています」、「自分も出来る!悲しくなっても、楽しい瞬間も絶対あるから」と心強いお言葉を頂きました。先が見えない状況が続いておりますが、今回学んだことを生かし、子どもたちが自然に参加したくなるような指導計画を作成できるよう、引き続き、今できることを頑張りましょう!

記事担当:島貫莉花子 森麻尋