2019/11/28 保育士?幼稚園課程

保育実習指導Ⅱ

11月28日の保育実習指導Ⅱでは、「三法令の改訂(改定)~『養護の澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】性』を中心に~」と題しまして講義が行われました。

講義の流れは以下の通りです。
①前回の復習
②三法令改訂(改定)の背景について
③改訂(改定)の澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】ポイント?「養護の澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】性」を中心に?
④保育実践ガイドライン
⑤まとめ

前回の復習の後、三法令改訂の背景についての説明がありました。
前回の講義では、実際に現場で幼稚園教諭として働いている先輩をお招きしお話ししていただきました。その中で、劇遊びの場面で最後のポーズを「パーがいい」、「グーがいい」と子どもたちの意見が二つに分かれたというお話がありました。子どもたち自身の話し合いで、どっちにするかじゃんけんできめることになったようです。しかし、ある子が両方すればいいという意見を出し、「ぐっぱー」という方法できめることになったようです。
この事例は、どちらかの意見に偏らない「解のない問いに答えを見いだした」という例の一つです。
近年、答えが分からないことに答えを見いだせるような人材を育成するために、世界中で保育?幼児教育の澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】性が再認識され、瀬狂的な社会的投資も始められています。
「質の高い保育」は、「非認知能力」を育てることとなり、学歴や年収、雇用などで長期的に大きな影響を与えるとも言われています。非認知能力とは、学力などのように数値で表すことのできない能力(=情動?感情に関する能力)のことです。

非認知能力は幼児期の終わりまでに育ってほしい姿(10の姿)の一部にも繋がっていきます。対話タイムが設けられ、「実習先で非認知能力が育ってるなあと感じたエピソード」を紹介し合いました。
あるグループでは、「散歩の時間になっても、玩具で遊び続けていた男の子に、ある女の子「行こう」と声をかけた」という場面があったそうです。それは、社会情動的スキル(非認知能力)の「他者との協同」に当てはまるのではないかという話がありました。
非認知能力は大脳辺縁系や脳幹部と密接に関係しています。3歳になってから急に協同する力や思いやりの気持ちが育つわけではありません。乳幼児期からの積み重ねが大切であり、つまりは乳幼児期のアタッチメントの形成が澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】だということです。

次に、改訂(改定)の澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】ポイント「養護の澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】性」について説明がありました。
3法令改定のポイントは以下の通りです。

1「養護」の澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】性が強調されたこと
 ①子どもの貧困への焦点
 ②1?2歳児に5領域
 ③0歳児に3つの視点  
2「幼児教育」に新しい視点が導入されたこと
 ①資質?能力の3つの柱
 ②幼児期の終わりまでに育ってほしい(10の)姿
 ③アクティブ?ラーニング
3「保育の質向上」に力点を置いたこと
 ①カリキュラム?マネジメント、アセスメント
 ②研修の充実
 ③キャリアパス

3法令改定(改訂)において養護の澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】性が強調されたことについて、ポイントは以下の通りです。

①子どもの貧困への焦点
?経済的貧困→「保育料0円」家庭が全園児の何割にも及ぶエリアも=生活保護世帯かそれに近い状態
?愛情の貧困→無視、暴力など親の愛情不足による情緒的発達の遅れ
?言葉の貧困→適切な言葉かけを受ける機会、考える機会が著しく少ないことによる言葉
や思考力の遅れ
?体験の貧困→親の関わりが薄いことによる体験不足と知的育ちへの刺激不足
②1?2歳児に5領域
?1999年度版指針…3歳未満児の保育の「ねらい」「内容」に5領域の記述なし
?2008年度版指針…全年齢 5領域でまとめられた
?2017年度版指針…1、2歳児 5領域でまとめられた
※5領域とは、「言葉」、「表現」、「環境」、「健康」、「人間関係」です。
③0歳児に3つの視点
3つの視点とは、「健やかに伸び伸びと育つ」、「身近なものと気持ちが通じ合う」、「身近なものと関わりを感じ感性が育つ」です。これらの育ちには、手厚い養護が必要です。つまり、保育者の愛情を欠くことができないということです。愛着(アタッチメント)形成のために、
「特定の大人との応答的なかかわり」が必要となります。


続いて、保育実践ガイドラインについて【ミシュラン?プロジェクト】代表の橋本日菜さんから講義をしていただきました。
『「保育に答えはない」と言うが、それは実はなんでもありになっている実態の、都合のいい言い訳なのではないか。あるべき保育の実践を見出して、様々な園にもこれらの学びの成果を広めることで、保育の質も保育者の質も上がっていくのではないか。』
この思いが「保育実践ガイドライン」開発の動機になったそうです。

また、「保育実践ガイドライン」0歳児版のアタッチメントについて説明していただきました。

「アタッチメント」…くっつくという意味で、特定の他者との関係を求める欲求や行動
ネガティブな感情を特定の他者(保育者や養育者)にくっつくことを通して調整しようとする欲求です。子どもが何らかの危機に接した時、あるいは予想された時(転ぶなど)に生まれる恐れや不安などを感じた時に、活性化されるそうです。

「アタッチメントが形成される」ということは、子どもが特定の人(保育者?養育者)のことを「守ってもらえる存在」「何があってもこの人のところへ行けば大丈夫」という認識することになります。これは、安全感の輪につながります。安全感の輪とは、保育者が子どもにとって、Secure Base(安全基地、避難場所)になるということです。

安全感の輪の中で育つもの
①基本的信頼感
②自律性
③共感性(心の理論)
④感情調節機能
⑤自己効力感

次に、《授乳》について例に挙げて説明していただきました。
Point① 1対1でかかわる時間
?授乳時は保育者と乳児が1対1でかかわることができる時間である。そのため、同時に他の作業をしたり、他児とかかわったりすることは控えることが好ましい。
Point② 微笑みかける
?授乳中は乳児の目を見つめ、微笑みかけることで乳児は安心感をもって哺乳することができる。
Point③ タイミングのよい授乳
?空腹のタイミングをその子の1日のリズムから予測し、タイミングの良い授乳を行う。子どもが「おなかがすいた」と感じた時に満たしてあげることができ(生理的欲求が満たされる)、保育者に対する安心感や信頼感につながる。
?手がかりの1つとして、子どもの月齢に沿った授乳間隔を理解しておくこと     
Point④ 「おなかがすいたのね」 
?空腹のタイミングで「おなかがすいたのね」と声をかけてもらい、授乳されることで漠然とした空腹感を「おなかがすいた」という感覚であることを認識していく。

排泄でのポイントは以下の通りです。
Point① 語りかけ 
?淡々と取り換える(のではなく、語りかけやわらべうたなどを用いながら、1対1の関わりであることを保育者は意識してかかわる。
Point② 交換のタイミング
?乳児はオムツが汚れたら不快感を感じているため、速やかに交換するのが基本。
?オムツによっては排泄すると色が変わるなど、交換のタイミングの目安になるものもあるが、その子によって尿や便が出たサイン(もじもじする、泣く、股のあたりを手で掴む、保育室の隅に行く、その場でじっと動かなくなるなど)があるため、普段からの乳児理解が必要となる。

最後に、【ミシュラン?プロジェクト】の学生からお話がありました。
「ミシュラン?プロジェクトで学んだ1年間が4年間の中で1番楽しかった」や、「少しでもやってみたいと思ったことは挑戦することを大切にしていて、ミシュラン?プロジェクトは大変だと聞いていたけど、保育のことを学んで楽しい事しか覚えていない」とおっしゃっていました。そして、今回、講義を行った3年生の2人の姿を見て「学びの時間が1年もあるのは羨ましいし、学んでいる姿がキラキラしていて素敵でした」とのことでした。


和田先生からは、「保育を学んだ4年生、今回講義をした3年生の2人は、ややもすると一見面白くない、辛く面倒なことの中に面白さを見出すことができた。改めて、保育所保育指針、幼稚園教育要領をしっかり読んで理解することが大切」と教えていただきました。

TFU保育士課程で保育を学ぶことができるのは、残り1年となりました。
改めて、自分が何に興味を持っているのかを考え、今度から始まるプロジェクト活動に繋げられるようにしていきましょう。

記事担当:五十嵐廉、千葉早姫