2019/11/07 保育士?幼稚園課程

保育実習指導Ⅰ

11月7日の保育実習指導Ⅰでは、4年生の発達プロジェクトと環境プロジェクトによる講義が行われました。

まず、はじめに、発達プロジェクトによる発達ミニレクチャーが行われました。
1998(平成10)年施行の保育所保育指針から、まずは6ヶ月から1歳3ヶ月未満と、1歳3ヶ月から2歳未満の保育士の姿勢とかかわりの視点について講義が行われました。
次に、前回講義を行った6ヶ月未満児の保育士の姿勢とかかわりの視点についての確認テストが行われました。

続いて、環境プロジェクトによる講義が行われました。
まずは、前回の振り返りとして、基本となる「環境構成の考え方」について確認しました。
次に、夏季保育所見学における「環境」を見るポイントについて以下の5つについてお話がありました。夏季休業明けに提出してもらった夏季保育所見学の環境構成の中から、いくつかを全体で振り返りながら、環境構成のポイントを見ていきました。
環境を見るポイントは以下の通りです。

〈環境を見るポイント〉
① 「人的環境」
保育者がどの位置にいるか。また、どんな意図をもって子どもを見ているか。
② 「物的環境」
子どもの発達に合わせた玩具や道具になっているか。また、安全に配慮した物(誤飲しない大きさ等)や配置になっているか。
③ 「空間的環境」
子どもが落ち着くことができる空間がつくられているか。また、目一杯動いたり、集中して活動するために、どのような環境構成を行っていくか。
④ 「園庭」
走り回るや止まるなどの動き、興味をもったことに挑戦する、集団で遊ぶ場等、様々な経験ができる場になっているか。また、自然と関わることができるか。
⑤ 「壁面製作や廊下」
保育室だけでなく、廊下や壁面も環境構成に含まれる。壁面製作にも、季節を味わう等の意図がある。

「壁面製作や廊下」のポイントで環境構成を振り返りの中で「どうして子どもの作品を飾るのか」という問いが設けられました。グループの学生同士で話し合いながら、考えている姿が見られました。学生から出た実際の意見は以下のとおりです。

〈学生から出た考え〉
?「自分が作った作品が目につく場所に飾られることで「こんなものを作った」という達成感を感じることができる」
?「親子で対話の機会ができる」
さらに、2年生が夏季保育所見学に行った際に保育者へ質問した事項とその答えについてお話がありました。
その中で、「保育室内のマットが一部分に敷いてあるのはなぜか」という問いがありました。ここでも、学生の対話タイムが設けられました。
プロジェクトメンバーの考察としては、イメージの世界に入りやすくて長く楽しむことができる、硬い床とは異なる動きを経験できる、ということを挙げていました。

最後に、「生活と環境構成」をテーマとしてお話がありました。
生活場面での環境構成についてです。園では家庭と比べて、子どもや大人の人数、その体制も異なり、専門的な知識と技術が不可欠となってきます。

【生活の構成の留意点】
① 子どもにわかりやすい環境を作る(子どもが自分でできる環境)
② 子どもができることは子どもに任せられる環境を作る
③ 集団保育の中でも一人ひとりの違いを大切にする環境を作る

こうした留意点に気をつけて保育者が行動のモデルを示し、子ども一人ひとりに対する丁寧な指導を行うことで、生活習慣の獲得につながっていきます。

生活用品の選択と空間の構成については、その子ども一人ひとりにとって、素材の特徴(種類や形、重さ、厚み、感触など)が適切な用品を選択することにより、子どものより良い発達が望まれます。養護(生命の保持と情緒の安定)については、〈子どもの情緒を支える環境〉〈集団での配慮〉〈大きな事故を防止し、安全を守る環境〉に分けてお話していました。ポイントは以下の通りです。

〈子どもの情緒の安定を支える環境〉
① 子どもの自己活動を充足できる環境
② 恒常性の高い環境
③ 環境に自然を取り組む
④ 休息ができる空間のある環境
※②の「恒常性」とは、「いつも同じ環境を保つこと」を言います。

〈集団保育での配慮〉
① プライバシーを確保すること
② 落ち着いた雰囲気作りをすること

〈大きな事故を防止し、安全を守る環境〉
① 空間の構成等による安全管理
② 玩具の選択等による安全管理
③ 保育者の不注意による事故防止

子どもは身体機能も認知能力も発達途上であるため、子どもが身を守ることのできる体づくりを行うとともに、子どもの発達過程に応じて安全上の配慮を行う必要があります。

3週にわたる学生による学生に対する特別講義も、来週で最後になります。
次回も長丁場になるとは思いますが、学びを深めていきましょう。
そして、今回の特別講義で学んだことを、今後のボランティアや実習に活かせるようにしていきましょう。

記事担当:大橋咲恵、上小路蓮