2019/07/19 保育士?幼稚園課程

「求められる人材」…経営者視点を知る/教育実習(幼?小)の事前事後指導

7月19日に行われた教育実習(幼?小)では、澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】の非常勤講師である壹岐美津子先生(社会福祉法人銀杏の会 バンビの森保育園園長)をお招きし、「就職活動について」お話をしていただきました。
今回の講義は、ファシリテーターの伊藤葵さん(教育学科4年)による進行を中心に、さまざまな学生からの質問に対して、壹岐先生から1つ1つお応えいただきました。

質問の内容と回答は、以下の通りです。
①壹岐先生が学生を採用する上でこだわる視点は?
各園で求めている人は違うかと思います。バンビの森保育園の場合は、試験内容そのものよりも、園に玄関から入った時の挨拶や複数人でいる時の話し方、試験会場に入るまでの立ち居振る舞いなどに着目しています。また、試験の内容として複数人で突発的に劇やゲームを考えるよう求めることがありますが、その中でのリーダーシップ性なのか補助的な役割をするのか、その人の人間性を見ています。

②保育で求められる人材とは?
これも園によって違うかと思います。バンビの森保育園の場合は、「柔らかい」ということを澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】視しています。柔らかいというのは、様々な学びを吸収するだけでなく、臨機応変な対応や、学んだものから自分の行動を変えられることを意味します。

③園内で意見を交換しあう場はどのような時か?
会議は沢山あります。しかし、本当の意見交換は会議でない時の方が良いと思っています。ちょっとした休憩時間の中で、自然と子どもの情報を交換し合えることが大切です。

④質の高い保育を見極めるためには?
園の中でも何を持って質が高い保育と言えるのか改めて考えてみました。園内の職員15人程度にランダムに“保育の質”について聞いてみました。その中で多かった回答としては、「子どもの情報をどれだけ共有しているか」、また「子どもに対してどれだけ応答的に応えることができるか」というものです。その他にも、環境面や教材、言葉がけの仕方など、職員によって様々な回答が出ました。
子どもにとっては、1つのことが色んなことに繋がっていきます。立派な環境があることに加えて、受け止めてくれる存在が沢山いることが子どもにとって大切であると思っています。

⑤受け止めるとはどういうことか?
大きく分けて、2つあります。
1つ目は「共感」です。まずは、子ども達が伝えてきた感情をそのまま受け止め、返すことが大切です。
2つ目は「ほめる」ことです。ほめることは相手を認めることですが、実は難しいのです。例えば、絵を描く場面で保育者が「上手に描いたね」と褒めてしまうと、「上手に描けないとダメ」とも捉えることができてしまいます。そのため、「この緑、先生すごく好き」などと具体的にどこがどのように良いのかを言葉に表してほめることが求められます。また、結果ではなく、プロセスを認めることが大切です。言葉以外でも、子どもの目を見たり、グッドサインを送ったり、ハグをしたりなど、多様な方法があると思います。

⑥子ども達が社会に出た時に身につけてほしい力とは?
それは相手の良いところを見つける力です。「自分はこれが得意」、「あの人はあれが得意なんだ」と見つけることができるだけで幸せだなと感じることができると思います。そのため、園内では子どもだけでなく、保護者との関わりや保育者間でも相手の良いところを尊重することを大切にしています。保育者が認め合う姿があると、それを子ども達はしっかりと見ており、自然に子ども間でも出来てくるものなのです。子ども達が社会に出て行く上で、相手の得意なことを認めることができてほしいなと願っています。

⑦就職活動をするにあたり「自分に合う園」「働きたいと思える園」の見極め方は?
まずは、自分の中で何を大切にして保育をしていきたいのかを持つことが大事です。その大事にしたいことが就職先で叶えることができるかどうか、また大事にしたいことを園ではどのようにしているかを見ることが澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】だと思います。

⑧園側はボランティアをする際にどんなところを見てほしいか?
ボランティアは目的を持って入るものです。見たいものや確認したいことは、自分で決めた方が良いと思います。目的意識を持つことは、自分のやりたい保育の方向性に繋がってきます。

⑨子どもの目線に立つとはどのようなことか?
子どもの気持ちを考えることだと思います。具体的には、子どもがこれをやりたいのではないかと思っている遊びを提供したり、先に子どもたちの思いを汲み取って環境を構成したりすることだと考えます。

⑩バンビの森保育園での未満児における応答的な関わりとは?
例えば、子どもが泣いている時、泣いている背景には空腹や排泄、環境が嫌であったなど様々な理由が考えられます。どうして泣いているのかわからない場合、考えられるものを全てやってみる、それが応答的ということなのではないでしょうか。
また、「あっち」と指さしをしている子どもがいるとします。その「あっち」はあっちに行きたいのか、あっちのものを見てほしいのか、あっちから何か来るのか、怖いのかなどなどが考えられます。子どもは言葉が話せない段階でも、「あっちに何か怖いのある?」と保育者が問うても、違った場合は反応しないものです。「あっち」の指さしの意味を考え、やりたいことをやれる環境を整えることが大切です。
子どもは受け止められて育つ体験をすると、自分もそれを相手にすることができるようになります。子どもは本当にされたことをするようになるのです。
最後に、学生へのメッセージをいただきました。
壹岐先生は「就職して終わりではなく、そこからが本番です。自分の良さがわかり、その良さを活かせるところはどんなところなのかを考えられるといいと思います。基本となるのは自分なので、自分自身をしっかり見てほしいです」とお言葉をいただきました。

就職活動が本格的に始まっていく4年生にとって、現場の先生の採用に関わるようなお話や考えを聞ける機会は大変貴重な時間だったと思います。
自分の強みを活かせるような後悔しない就職先を見つけられるように、これからがんばっていきましょう。

記事担当:西塚麻衣