2019/02/02 保育士?幼稚園課程

保育キャリアデザインセミナー2019 in WINTER 第2部

TFU保育キャリアデザインセミナー2019 in Winterの第二部では保育の就職活動についてのシンポジウムが行われました。

シンポジウムⅠのファシリテーター、話題提供者は以下の通りです。
?フャシリテーター
 教育学科4年生 菊池海里さん 
?話題提供者
①教育学科4年生 小岩芽衣さん 社会福祉法人埼玉現成会 保育士内定
②社会福祉学科4年生 菅原優友さん 学校法人仙台みどり学園 認定こども園保育士 内定
③教育学科4年生 伊藤ほのかさん 文京区立お茶の水女子大学こども園 保育教諭内定

最初の話題提供者は小岩芽衣さんです。「これが私のキャリアアンカー」という題のもと発表していただきました。
はじめに、大学生活4年間を振り返りながら、お話をしてくださいました。大学1、2年生までは、授業とサークル活動の両立で精一杯の日々を過ごしていたそうです。3年生では、保育所実習での学びが大きかったとおっしゃっていました。また、キャリアセミナーでの堂々とした4年生の先輩方の発表を聞いて、落ち込んだこともあったようです。
4年生になると小岩さんは環境プロジェクトに所属しました。プロジェクトを通して、相手の考えを聞いたり、受け止めたりしつつ、自分の考えも発信する対話の大切さと楽しさに気づいたそうです。7月から保育士就活セミナーや就職活動ガイダンス等に参加し、就職活動を進めていましたが、その時は「ここで働きたい」と思う保育所は見つからなかったそうです。セミナー参加後から少し経ち、セミナー内で「新しく園ができる」という園があったこことを思い出し、「ゼロから保育所を作り上げていく」ということに小岩さんは強く惹かれたそうです。
また、新園に就職することの利点として、保育士の年齢やキャリアに違いはあっても、スタートラインは同じであり、現場で自分は何ができるのかという挑戦心が大きくなる、ということをお話されていました。その結果、小岩さんは、その園に就職することを決めました。その後、法人の方と何回かお話しさせていただいた上で、就職試験を受け、内定を頂いたそうです。
小岩さんは、第一部であった就活ガイドラインのような就活ではないため、ある意味「賭けのような就職」であるとおっしゃっていました。また、周りに流されずやりたいことをやってほしいという後輩へのメッセージもいただきました。

続いての話題提供者は菅原優友さんです。
菅原さんは就職先を決める上で、まずは収入が安定した公務員保育士を目指していたそうです。
6月には、法人内で異動がある園を見学し、保育士が異動することによって園に新たな環境が生まれるというところに魅力を感じたとおっしゃっていました。
7月には、澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】の青木一則先生に特色のある園をいくつか紹介していただき、そのうちの1つの園に魅力を感じたそうです。その後、2週間に1回程度のボランティアを行った上で、就職を決めました。
菅原さんが就職を決めた園は、認定こども園であるため、保育士資格と幼稚園教諭免許の双方が必要となります。菅原さんは社会福祉学科であるため、保育士資格のみの取得となります。そのため、11月の採用試験後、1年間の臨時職員として内定をいただいたそうです。また、菅原さんは働きながら通信制の大学に通い、幼稚園教諭免許の取得を目指すそうです。
シンポジウムⅠの最後の話題提供者は伊藤ほのかさんです。
伊藤さんは大学3年生までは単位を取得することに精一杯で、保育所にボランティアに行っても、行ったことに満足になってしまっていたとおっしゃっていました。
また、伊藤さんは「4年生の一年間は保育の学びのために使いたい」と思い、保育とは何かについて熱く語る先輩方に刺激を受け、ミシュラン?プロジェクトに参加しました。ミシュラン?プロジェクトの歴代の先輩方の様々な活動を通して、澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】保育士課程のイメージがお茶の水女子大学の先生方にも浸透していき、定期的に泊まり込みで保育参画をさせていただけるようになったそうです。伊藤さんは保育参画を通して、自分でやりたいと思ったことをすぐに挑戦する子どもの姿と、さらに選択肢が広がるような関わりを行う保育者の姿に魅力を感じたとお話されていました。また、保育参画を重ねていくうちに保育者の方々が日常的に子どもたちについて対話を重ねる姿も見られ、質の高い保育であると感じたとおっしゃっていました。
その後、和田明人先生の後押しを受け、履歴書を作成したそうです。11月の一次試験では履歴書と課題を提出し、一次試験合格後、指導案に沿った模擬保育と面接を行いました。そして、無事内定をいただきました。

3人のお話を聞いた後、対話タイムが設けられ、各グループで質問や意見を用紙に記入しました。その後、いくつかの質問に対して3人の話題提供者に答えていただきました。
その質問内容と回答については以下の通りです。

小岩芽衣さんに対しての質問
Q、新しい園に就職するからこそ、不安はないですか。
保育参画ができないという点で、不安はあります。しかし、それ以上に保育者としてどのような生活が待っているのだろうという期待の方が大きいです。その根底となるのはプロジェクトの活動があったからだと思います。

菅原優友さんに対しての質問
Q、臨時職員になってまでそこで働きたいと思った魅力は何ですか。また、園見学を重ねる上で感じたもの、学んだものは何ですか。
自然の環境が整っているからです。一般的な保育所ではブロック遊び等で製作したものはその日のうちに片付けてしまうことが多いですが、内定を頂いた園は自然が豊かであるため、ブロックのように片付けなくても明日まで環境が残ることに魅力を感じました。

伊藤ほのかさんに対しての質問
Q、保育参画に意欲的に参加している印象でしたが、その原動力は何ですか。
学びたいという意欲があったからです。また、保育の魅力に気づけたからです。
それまでは受け身だったのですが、先輩にコンタクトを取ってみたり、読んだことのない文献を読んでみたりしていくうちに、いろんな保育に触れて、素敵な先生に出会って、学びたいと思うようになりました。踏み出してみようという思いがこれからの自分に繋がっていくと思います。
続いてシンポジウムⅡです。
シンポジウムⅡのファシリテーター、話題提供者は以下の通りです。
?ファシリテーター 
教育学科4年生 宮川真大さん 
?話題提供者
①教育学科4年生 若井麻佑さん 公務員保育士内定
②教育学科4年生 菊地彩香さん 児童養護施設保育士内定
③教育学科4年生 石森愛望さん 企業保育士内定

シンポジウムⅡの一人目の話題提供者は若井麻佑さんです。
若井さんは地元に帰って就職したいという願望が強く、実習先を調べていると公立の園ばかりであることに気づいたことにより、公務員保育士を目指すことに決めました。しかし、公務員試験の勉強をするために参考書を買ってはみたものの、教科は多く、ほとんど手つかずだったそうです。また、公務員保育士に対して良いイメージを持ったまま過ごしていましたが、3年次の保育キャリアセミナーで4年生の先輩方の発表で「公務員保育士は安泰?安定ではない」という事実を知り、ショックを受けたそうです。公立の園は民営化が進み、公務員保育士の数が減ったり、給料が下がったりすることに加え、公務員保育士の数が減らされることにより、保育外の業務をする可能性もあることを知りました。それでも、岩井さんは公務員保育士になることを決断しました。
その理由は、公立園で行なった保育所実習で、読み聞かせをした時のことです。岩井さんが帰りの会で、子どもたちに絵本の読み聞かせをしたところ、子どもたちの反応が良くありませんでした。その後担任の男性保育士と反省会をした時に、「前後の活動を見据えて絵本を選んだほうが良かったと思う。しかし、僕も最初は子ども心を掴むことができず、先輩の先生にたくさんアドバイスをもらった。だから、実習中にたくさん読み聞かせできるように時間を作るし、アドバイスもするよ。」という言葉をいただいたそうです。このことから、若井さんは、公立園は標準的な保育が行われているため、保育の基礎が学べると考えました。また、実習先で幅広い年齢の素敵な先生方と出会えたことが若井さんにとって印象深い経験となったそうです。
その後、4年生になり公務員試験合格プロジェクトを発足し、7月の一次試験、履歴書提出、9月の最終試験に合格し、無事公務員保育士としての内定をいただきました。
若井さんは、公務員保育士の魅力は、「安定した働きやすい環境の中で、共通理念のもと安定した保育を行い、安定して成長し続けられることである」とおっしゃっていました。

続いての話題提供者は菊地彩香さんです。
菊地さんは幼少期から保育士の仕事に憧れを持っていたそうです。中学時代の夏休みの読書感想文がきっかけで「児童養護施設の子どもたち」という本を読み、衝撃的な内容に驚き、児童養護施設において、子どもの心に寄り添える保育士になりたいと思ったそうです。
大学入学後、菊地さんはサークル活動をきっかけに、児童養護施設のボランティアに参加するようになりました。2年生になると先輩の紹介で、児童養護施設の宿直のアルバイトを始めました。4年生になり、幼稚園実習の際に自分で考えた指導案を実際に行ってみて、子どもたちと信頼関係ができ、楽しいと感じていましたが、子どもたちと関わる時間には限りがあり、長いスパンで関わりたいと思うようになったそうです。そして、他の地元の児童養護施設を見学させていただいていたそうですが、園によって違いがあると感じ、その中で、どこで働くかよりもどうやって子どもと関わるかを重視したいと気づいたとおっしゃっていました。そして、アルバイトの経験で他の施設よりも多く職員と関わり、施設の概要についても知っていたため、就職しようと考えたそうです。

最後の話題提供者は石森愛望さんです。
石森さんは就活を始めるにあたり、「地元に帰り恩返しがしたい」という思いがあり、公務員保育士を目指していました。しかし、その夢は叶わず、当初はとても落ち込んだそうですが、その後すぐに、関東の園を探し始めました。6月に大教室で行われた発表で聞いた、「子ども主体の保育展開」についての事例の話が気になっていた石森さんは、その事例があった園を見学することに決めました。まずは本社で会社の説明を聞き、募集要項の詳しい内容の説明を受けた後、園を見学しました。ワンフロアがぶち抜きの保育室や園庭があり、すべてが子どもために作られていると感じたそうです。また、何よりもそこで遊んでいる子どもがとても楽しそうだったことが印象的だったそうです。その後、同じ会社の他の園も見学したところ、子どもたちのペースで生活できる環境や、どんな質問に対しても答えてくださる園長先生がいらっしゃったことで、「こんなところで保育ができたら」と思ったそうです。そして、幼稚園実習後も意思は変わらず、面接を経て内定の電話をいただいたそうです。
石森さんは、就職先を決断したのは直感であったとおっしゃっていました。また、就職したいと思う園に出会えたのは、澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】での授業がきっかけということもあり、保育士課程の学びがすべて就職活動に活きたとお話されていました。また、石森さんは保育に正解がないように保育の就職活動にも正解はないとおっしゃっていました。自分の弱さを受容し、向き合って就職することが大切であるという後輩へのメッセージもいただきました。

3人の話題提供者の発表を踏まえ、再度対話タイムが設けられました。
質問内容と回答については以下の通りです。

若井麻佑さんに対しての質問
Q、 公務員内容の試験の内容を教えてください。
二次試験では集団討論がありました。二次試験受験者は約12名で、約6名の2グループで行いました。集団討論の題は「ドラえもんのヒミツ道具を手に入れるとしたら何を選ぶか?」でした。そこで、この問いで求めているかを考えたところ、他者と違う意見があるなかで、それを相手にどう伝えるかであると考えました。また、大学でグループワークを何度もやった経験が役に立ち、メンバーが固定されていない状況下で、自分の意見を発信することに慣れていたため、グループワークをすることの澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】性を感じました。

菊地彩香さんに対しての質問
Q児童養護施設の情報や内容をどうやって知ったのですか。
私は、サークル活動や宿直のアルバイトをきっかけに情報を得ました。

石森愛望さんに対しての質問
Q、公立の保育所と私立の保育所、企業立の保育所の違いはあると思いますか。
子どもたちの違いはないと思います。
私の就職先の良い点としては、企業では保育所以外の事業も行っています。園で使われているものに、その企業内で作られたものがいくつかありました。そのため、現場の声が通りやすいのではないかと考えています。
最後に、社会福祉法人こばと会 こばとナーサリー園長の飯野幸江先生、学校法人啓朋学園 緑ヶ丘第二幼稚園園長の三塚薫先生、澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】保育士課程卒業生である社会福祉法人こばと会 こばとナーサリーで保育士をしていらっしゃる寄松彩乃先生の御三方から御講評を頂きました。
本学卒業生である寄松彩乃先生からは、「子どもの成長を感じられたときに保育士の醍醐味を感じることが出来ます。学生時代にやってきたことは、自分の自信になるので、福祉大の保育士課程を卒業しただけで誇りに思って欲しいです」とお言葉をいただきました。

先輩方の各々の就活体験記を聞いて、様々な就職活動のかたちがあることを学べる機会となりました。また、今回1年生は初めてのセミナー参加でしたが、これでTFU保育士?幼稚園課程の雰囲気が少しはつかめたのではないでしょうか。2年生も保育所実習に向けて、また3年生は幼稚園実習及び就職活動に向けて良い刺激になったと思います。今日の学びを活かし、残された大学生活の時間を各学年有効的に使っていきましょう。

記事担当:西塚麻衣