2018/11/29 保育士?幼稚園課程

保育実習指導Ⅱ

11月29日(木)の3年生実習指導では前回に引き続き、平成29年に告示された保育所保育指針、幼稚園教育要領、幼保連携型認定こども園教育?保育要領の改訂(定)に関する講義が上村裕樹先生により行われました。

今回の講義では、3法令の改訂の方向性と改訂のポイント、また3法令の共通する部分についてご教授していただいきました。講義の内容は以下の通りです。

?3法令の方向性と改訂(定)のポイント
【保育所保育指針】
●改訂の方向性
①乳児?3歳未満児の保育に関する記載の充実
②保育所における幼児教育の積極的な位置づけ
③子どもの育ちをめぐる環境の変化を踏まえた健康及び安全の記載の見直し
④保護者?家庭及び地域と連携した子育て支援の必要性
⑤職員の資質?専門性の向上
また、保育所保育指針は改定前に7章編成だったものが5章編成となりました。

●改訂のポイント
①幼稚園教育要領や認定こども園?保育所保育指針?保育要領に近づけるため、章立ても内容も変更
②「子どもの発達」の章がなくなる
③「保育の計画及び評価」の章は、第1章「総則」へ
④「保育の内容」の章にあった「養護」の記載は、第1章「総則」へ
⑤「保育の内容」は「教育」が中心に。「乳児」「1歳以上3歳児未満児」「3歳以上児に」にわけて記載され、3歳未満児に関わる記載が増加
⑥「乳児保育」は5領域ではなく、「健やかに伸び伸びと育つ」「身近な人と身持ちが通じ合う」「身近なものとの関わり感性が育つ」の3つの視点を新たに提示

【幼稚園教育要領】
●改訂の方向性
①資質?能力の3つの柱を踏まえ、幼児教育で育みたい資質?能力として「知識?技能の基礎」、「思考力?判断力?表現力等の基礎」、「学びに向かう力、人間性等」の3つを記載
②自己抑制や自尊心などのいわゆる非認知能力の育成など、現代的な課題を踏まえた教育内容の見直しを図るとともに、アズか李保育や子育て支援も充実
③5歳児修了時までに育ってほしい具体的な姿を明確にし、幼児教育の学びの成果が小学校と共有されるような工夫?改善
④幼稚園教育要領の改訂内容と保育所保育指針及び幼保連携型認定こども園の改訂(定)内容との整合性を図り、幼稚園教育全体としての質を確保?向上

●改訂のポイント
①改正教育基本法(2006年)を踏まえた「前文」の新設
②小学校との円滑な接続を図るために、学校と共有するものとして「育みたい資質?能力(3つの柱)」や「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿(10の姿)」を明示
③「主体的?対話的で深い学び」「カリキュラムマネジメント」など教育の方法や質向上、園運営に関わる新たな取り組みの導入
④計画についての記載は保育指針、認定こども園教育?保育要領と同様に、第1章「総則」へ

【幼保連携型認定こども園教育要領?保育要領】
●改訂の方向性
①幼稚園教育要領の改訂及び保育所保育指針の改訂との整合性の確保
②幼保連携型認定こども園として特に配慮すべき事項の充実
 ⑴在園期間や時間が異なる多様な園児がいることへの配慮
 ⑵2歳児から3歳児への移行に当たっての配慮
 ⑶子育て支援について
  
●改訂のポイント
①全体として保育所保育指針と幼稚園教育要領の内容と合わせ持ちつつ、「幼保連携型認定こども園として」の観点から配慮事項を追加
②指導計画については、「全体的な計画」や「評価」、「カリキュラムマネジメント」などについての記載と合わせ、第1章「総則」へ
③現行では第1章「総則」に入っていた「健康及び安全」「子育て支援」の内容を増やし、新たに章を立てて記載

?3法令に共通するポイント
①未来を見据えて子どもの力を育む
今後の社会では、AIに代表される技術革新の進歩やIOTの広がりやグローバル化、貧困格差の問題などの社会的な変化は速く、予測不可能とされています。また、今を生きる子どもたちが成長し、就職した際に6割近くが現在存在しない職に就くと言われています。そのような変化が著しい社会の中で、全く見たことないものに対しても試行錯誤し、自分で判断して、解決できる力がこれから子ども達に必要になってきます。

②日本の大切な教育施設としての位置付け
平成18年「教育基本法」改正、平成20年教育要領改訂?保育指針改訂により、子ども達がどの幼児教育(保育)施設に通っていても、同じ質やレベルの幼児教育?保育を受けられる基盤が整えられました。

?3つの幼児教育施設に求められること
①改めて、幼児教育(環境を通して行う教育)とは何かを考え保育を見直すこと
去年も行っていたから今年も同じ保育をするということではなく、その時の子ども達に合わせた保育をすることが求められます。また、同じことをするに当たる過程で本当に必要なのかをゼロベースで考えることが大切です。

②「3つの資質?能力」「幼児期の終わりまでに育って欲しい姿(10の姿)」を意識して計画?評価すること
「3つの資質?能力」「幼児期の終わりまでに育って欲しい姿(10の姿)」を元に計画?実践?評価をし、良い部分は向上を目指したり、改善が必要な部分は再計画をしたりすることが求められます。

③保育指針の「乳児?1歳以上3歳児未満児の保育」を理解し、乳児期の保育や子どもの育ちを捉えて、幼児期への学びの連続性を考えること
 
今回の講義で3年生は、3法令の改訂(定)の概要に加えて、保育者に求められる専門性について見直す機会になったのではないでしょうか。また、「3つの柱」や「5領域」、「教育」などの幼児教育を学ぶ上で欠かせないキーワードの関係性についても見直すことができたと思います。保育者として必要な知識を深め、専門性の高い保育者を目指せるよう頑張っていきましょう。

記事担当:西塚麻衣