2018/10/12 保育士?幼稚園課程

教育実習(幼?小)の事前事後指導

10月12日(金)の実習指導は、『子どもの発達勉強したいプロジェクト』による第2回目発達特別講座でした。講義の流れは、まず前回の小テストの解説、次に本日の内容、その後15分間の自習時間を経て、最後に小テストを行いました。

まずは前回の解説です。
問1 1歳から5歳までの「いざこざ」に関する発達過程について
問2 0歳から5歳までの「模倣」の発達過程について
問3 1歳から5歳までの「自我」に関する発達過程について
問4 0歳から5歳までの「言語」の発達過程について
問5 パーテンが示した遊びの分類について

それぞれ回答だけではなく、専門用語を含める丁寧な解説をしていただきました。抽象的な用語には具体的な子どもの姿を例として挙げつつ、わかりやすく伝えるという工夫がありました。

次に、本日の本題である「0~5歳児の表現活動」について講義していただきました。講義内容は以下順で行われました。

1. 造形活動
2. 絵画の発達
3. 創造性の発達
4. 彫塑の発達
5. 音楽表現

まず、造形活動については、発達過程の流れを細かく解説していただきました。1歳未満では、「音」や「物」、そして自分自身の「手」に向けた興味?関心から始まり、その後、身の回りの物に自発的に触れたり、口に入れたりする様子が見られ、それがだんだんと複雑な行為(引っ張る、つまむ、打ち合わせて音を出す)となり、「相手のしぐさをまねする」という姿が見られてくるようになります。1歳以上になると、「破く」「丸める」「シールをはる」という行為や遊びが見られ、また、「描く」ことに関しては、1歳前期では方から振り下ろすように「点々」描きから、だんだんと肩とひじの二支点の協応による「なぐりがき」へ、その後左右の「往復線」、「円錯画」、「縦線と横線を組み合わせた十字」「始点と終点を組み合わせた丸」と徐々に発達していきます。また、「○○を描く」という意識もおおむね3歳前期から芽生えるため、保育者が子どもの気持ちを汲み取り十分に受容?共感することが必要ということでした。また、おおむね3歳前期からは、「はさみを使うようになる(一回切り、直線切り)」ということで、【はさみの使い方】について詳しく説明をしていただきました。はさみの基本の持ち方、切り方を改めて再確認することができました。はじめは大人が紙を持ち、子どもは前腕を机に付けたまま切りますが、だんだんと前腕を浮かせて切ることが可能となり、ゆくゆくは子どもが自分で紙を持ち一人で切れるようになります。月齢や年齢に合わせた発達の流れを保育者が理解することは、適切な援助や環境構成を行うことにつながるため、とても澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】です。プロジェクトの皆さんが作ってくださったパワーポイント資料には、写真やイラストがたくさん掲載されていてよりイメージがしやすくなっているので、これからの勉強にも活かしていきましょう。

絵画の発達については、1歳前半ごろから「なぐりがき(点)」が見られ、そこから「往復なぐりがき」、「回転運動なぐりがき」へと発展していくということです。これは手の運動の視覚的なコントロールが関係しています。その後、「なぐりがきの命名期(表象の始まり)」を経て「前図式期(3~4歳児)」、「図式期(5~6歳以降)」と発展していくそうです。5~6歳ごろからは何を描いているのか、よりわかるようになってくる時期で、子どもらしい特徴をもった楽しい絵が出現します。この頃になると、基底線を描いたり、奥ゆきを表現したりするようにもなります。「展開型表現」「カタログ画」「拡大強調表現」「レントゲン表現」などの専門用語が講義で出されました。例えば、「拡大強調表現」は、「感動したものや強調したいことなどを極端に大きく描くこと」だそうです。それぞれの表現の意味を知ることで、子どもたちの気持ちや視点が「絵画」に現れていることがわかりました。

次に創造性の発達です。創造性をはぐくむために、0~2歳で澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】なことは「養育者や保育者との信頼関係」です。それが情緒の安定につながり、いろいろなものに対する興味や好奇心につながります。そして自分の感覚器官を用いて確かめたり試したりすることがはじまります。この時期の創造力を育むためにおすすめの活動は、「音の出るおもちゃ」「人形やぬいぐるみ」「なぐりがき」「水や泥、砂遊び」ということです。また、それらの活動を保育者によって認められることで、子どもは自分の表現に自信を持ち「自尊感情」が高まります。よって、やはり改めて「温かい見守り」や「受け止めること」がこの時期は特に澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】であるということを認識させられます。2~4歳では「砂場遊び」「粘土」「積み木」「ブロック」などの活動、また「自然の中での遊び」がおすすめということでした。4~6歳では、造形活動を友達と共同で行い、イメージの共有をしながらスケールの大きい作品に挑戦したり、科学的な事にも興味を持ったりするそうです。発見の喜びが新しい造形活動を生み出していく態度を育むということでした。

次に彫塑についてです。「彫塑」とは、粘土遊びや砂遊びなどの素材を用い、遊びを通じた造形のことだそうです。発達段階としては、なにかをつくろうと意識しているのではなく、行為そのものを楽しむ時期(1~3歳)から、仲間同士で砂を盛り上げて山をつくったり、穴を掘る、大きなものをつくる、また「それらしい形や部分をつくる」という意図的活動時期(3?4歳)を経て、協調性が育ち、共同して活動したり、目的を持って活動するという創造活動期へと展開する。この時期になると、表現もだんだんと単純なものから、物と物の関係や全体と部分の関係を把握しながら表現するという造形活動の豊かさも現れてくるそうです。また、幼児のつくる活動においては、素材にふれ遊んでいるうちにイメージが浮かび表現することにつながるため、幼児の自発的な造形活動を支援することが必要ということでした。

その後、音楽活動について説明していただきました。音楽活動においては、運動機能はもちろんですが、「言葉」の発達と関係していることがわかりました。「歌」についてまずは保育者と簡単な歌の一部を歌うことからはじめ、一緒に簡単な歌やわらべうたあそびを楽しみながら、「一語文」から「二語文」や「多言文」へと発達するとともに、徐々に最初から最後までひとりで歌えるようになっていきます。また、おおむね2歳ごろからは気に入った曲を何度も聞いてイメージを膨らませ確認する様子が見られるそうで、この経験の蓄積により3歳児以降の表現活動の基礎が培われるそうです。おおむね3歳から、「簡単なリズム打ち」ができるようになり、おおむね4歳では「簡単な楽器の演奏」、そしておおむね5歳では「合唱や合奏」を楽しむ姿も見られるようになります。スキップやギャロップなどのステップを踏むこと、拍子を取ること、簡単なダンスをすることもできるようになっていきます。

それぞれの解説後、2つの事例を用いて発達の理解を深めました。事例は「Y志の食事場面」と「5歳児クラスの合奏?合唱の場面」についてでした。それぞれの事例でどのように考察したのか考える時間が5分程度設けられ、近くの席の人と「対話」を行いました。対話タイムの後に発達プロジェクトの皆さんの考察を解説していただきました。本日の講義で挙がった「肩と肘の2つの支点による協応」や「みんなで共通のイメージを持つ」「言葉で自分の思いを伝える」「他児と声やリズムを合わせる」などのキーワードが考察として挙げられました。講義を受ける学生も子どもの姿や対象年齢からヒントを得て、本日の講義を振り返りつつ考察できたのではないでしょうか。 
事例の紹介の後は15分間の自主学習時間を経て、10分間の小テストを行い、そして最後に答え合わせを行いました。前回同様、緊迫した雰囲気でテストは行われました。12月14日には本試験もありますので、今回間違った部分を中心に復習をきちんと行いましょう。
最後に、和田先生から「発達のプロジェクトのメンバーが時間をかけて作成した資料を使い、実際の姿に落とし込みながら総合的にアレンジしながら考え覚えていくことが大切である。例えば、友達同士で問題を出しながら、または対話をしながら勉強していくのも良い。子どもの発達を勉強することが子どもの実際の姿を見る視点や環境構成をどう設定していくかということにつながっていく。だからこそ、ただ単純に発達の様々な職面を順序性だけで記憶するのではなく、実際の多面的な子どもの姿に落とし込みながら考えることが大切である。」というお話をいただきました。ある園では、絵を描いていることを楽しんでいるという1歳児の姿から、保育室全体模に模造紙を引いて、子どもが思いっきり、思う存分遊べるような環境構成を行ったというお話も教えていただきました。

せっかく勉強した知識を保育の実践に活かせるように、繰り返し友人との対話などを通して考え語り合っていきましょう。テストが控えているからという理由ではなく、将来保育者になったときのことまで見据えて発達に関する基本的知識を再確認し、実践と関連づけて学んでいくことが、自分自身の保育の専門性を高めることになっていきます。
『子どもの発達勉強したいプロジェクト』の講義は次回も続きます。
次回もよろしくお願いします!

記事担当:岡田早希