2018/04/27 保育士?幼稚園課程

4年生 教育実習(幼?小)の事前事後指導

4年生 教育実習(幼?小)の事前事後指導

本日の実習指導では、春季休業前に幼稚園実習の事前課題として配られた事例検討について、利根川智子先生より解説していただきました。

利根川先生は、学生一人ひとりの課題の解答についてコメントを書き込んでくださり、丁寧に解説をしてくださったうえに、事例検討では子どもの気持ちとなって考えることが大切であることを教えてくださいました。

事例は全部で5つありました。さっそく、それぞれの事例検討についての解説を紹介していきたいと思います。

事例1 
まず、「『今日は』○○ちゃんと遊びたくない」「他の子と遊びたい」などという言葉を発する子どもがいた場合、その友達同士の間で前日に何かあったのではないかと推測ができます。では、その根拠はどの部分になるのでしょうか。どうして他の友達と遊びたいのかを考える必要があります。

しかし、そこで友達のことを嫌いになったわけではないことに気づくことが大切であり、そのことを友達に伝えたのかどうかということも澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】になってきます。また、「他の子と遊びたい」という気持ちをしっかりと受け止めてられているかということも考えることが大切になります。その子にとって気持ちを受け止めてもらえたと感じることができる対応とは、どのようなものでしょうか。双方の子どもの気持ちをしっかりと受け止め、そのうえでどう対応していくことが適切であるかを考えることが大切になります。

事例2 
5歳児は、けんかは良くないから仲良く読むことが大切であることはわかっているはずです。そのことがわかっていても、子どもたちが奪い合いのけんかにまで発展してしまった理由には何があると考えられるでしょうか。まだ新しいクラスに慣れていない子どもにとって絵本を眺めることは安心したり、落ち着いたりすることにつながります。子どもの気持ちについて私たちは推測することしかできませんが、大人が子どもの気持ちを考えることが事例検討での目的です。

けんかをすることは良くないとわかっていても、けんかをしてしまう子どもへの対応については、どのように対応していくのか、どのように関わって成長へとつなげていくかなどを考えながら、順を追っていくことが大切になってきます。
事例3 
まず、場面緘黙という言葉について理解できていたでしょうか。場面緘黙とは、『発声のための器官や言語能力に障害がなく、家庭などの安心できる環境では話ができるにもかかわらず、学校など社会的な状況では他者と話せない症状が1ヶ月以上続くこと』です。特定の場所?状況になると、不安や緊張によって話せなくなってしまいます。発症する割合は数百人に1人程度で、不安障害の一つとされています。この場面緘黙の子どもに限らず、「だめ」や「ばか」という言葉は子どもにとってどういう言葉であると考えるでしょうか。利根川先生からのこの問いについて学生は、「嫌な気持ちを直接表す言葉である」と答えていました。

では、この言葉は、場面緘黙の子どもが自分の気持ちを表せている言葉であるとする場合、場面緘黙の子どもは自分の気持ちを表すことができていると捉え、良いとしましょう。一方、他の子どもに対しては、否定的な言葉であるため良くないと捉えるとしたら、二重の基準が生じてしまうのではないでしょうか。特定の子どもにとって良いということは、他の子どもがそのことについて納得できるようにすることが大切であり、自分がクラスの運営をする側であるならどうするかを考えることが澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】となってきます。2歳~4歳頃の子どもは「いや」と言っても大人との関係が壊れないことがわかっているため、反抗期に入ります。「だめ」や「ばか」という言葉は信頼関係ができているからこその試し行動であると考えられます。

また、やわらかいものをニコニコしながら投げるという行為など、何かを投げる行為そのものは危険であることをしっかり伝える必要があるが、場面緘黙の子どもにとっては言葉が出る前段階であると考えられるため、その「発信」そのものについては保育者の様々な選択によって見守ることが大切となってきます。

事例4 
子どもが小動物と触れ合う際、その小動物をわしづかみにする、逃げようとすると追いかける、「逃げるな」や「怖くないよね」という言葉を発する、小動物を強く握ったままでいるなどの様子があった場合、子どもが小動物を怖いと感じていることを推測することができます。しかし、そのような場合は、怖いけど触りたいという気持ちが強く、そのように小動物対して触れてしまったと考えられます。子どもにとって小動物と触れ合ったりする直接体験は、小動物に関する興味?関心だけでなく、小動物の生態や生命の尊さについても感じることのできるものです。

また、実際に触れ合うことで得る情報は、写真などで見るよりも多くなります。そのものの実際の大きさや毛並み、やわらかいのかかたいのか、においなども知ることができ、幼児期のこのような直接体験が、その後の体験の基礎となるのです。
事例5 
最後に、仲良しグループの子どもたちと一緒に遊びたいのに、うまくその輪に入ることができない子どもの事例です。グループの輪に入りたい子どもがグループの子のことを見ていたり、何かをその子どもたちの近くでしていたりした場合、その子は意地を張っている自分をどうにもできなくなってしまったのかもしれません。グループの子どもたちを含め、子どもたちに「やりたいならみんなにそう伝えてみたら?」などとグループに入れずにいる子どもの気持ちを代弁し、グループの子どもたちに他の子どもたちが一緒にやりたいみたいだけどどうしようか、とお互いが気持ちを公平に言うことができるように言葉をかけてみることが、まず対応の1つとして考えられます。

子どもたち一人一人の気持ちを受けとめたうえで、どうしたら相手に伝わるのかを考えることが大切であり、子ども一人ひとりが気持ちの整理ができるように、どう関わるかがこの事例では澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】となります。友達との関わりのなかで、葛藤や自己抑制などを経験し、自分たちで解決していくための土台作りができるように関わることが大切となります。
今回の事例検討を通して、子どもがどうしてその行動を起こしたのか、その行動にはどのような意味があるのかなど、子どもの気持ちになって考える必要があることを改めて感じました。また、子ども一人ひとりの発達に合わせて関わり、その子に合わせた関わりで成長を促していくことが大切になると感じました。

記事作成者 木村杏伽 阿部里美