2017/05/13 保育士?幼稚園課程

2017年5月13日 4年生保育キャリア形成

2017年5月13日 4年生保育キャリア形成

本日はあいにくのお天気の中でしたが、林義仁先生にお越し頂き、「『しっくりくる未来や働き方』をつくるワークショップ」と題しまして、授業をしていただきました。まず、林先生は、今私たち4年生が向き合っている「就活」、そしてその先にある「就職」というものに対しての意識に問いかけました。

本題に入る前に…プロ野球の世界においての就職のお話をします。
「プロ野球選手を目指し、プロ志望届を提出した選手は10月のドラフト会議に向けて練習や試合に励み、スカウトにアピールします。そしてドラフト会議で選ばれた選手は晴れてプロ野球の世界に入り、2月のキャンプインからチームメイトたちとチームを優勝に導くためともに戦っていきます。プロ野球の世界では、採用担当者である各チームのスカウト自らが全国を駆け回り、気になる選手の練習や試合を自らの目で見て、将来性があるかどうか、即戦力であるかを判断します。」

残念ながら、保育界はプロ野球の世界とは違い、私たちが勉強やボランティア、実習をしている様子をスカウト(採用担当者)が見に来ることはありません。
したがって、私たちの努力や強み、やってきたことは自らの言葉や行動でアピールしなければなりません。そこで私たちは、採用側がどのような人材を求めているのか、どのような視点で私たちを判断しているのかを知っておく必要があります。
今回は、そんな私たちへ向けた、面接についてのお話をして頂きました。
1.採用の傾向を知る
新卒採用とは「今ほしい人材を採用する」ということではありません。10年後の経営や組織の変革を見据え、『新卒学生にこんな風に育ってほしい』という期待をもとに「求める人材」を決めます。そのため、まずは企業?法人側の選考の基準と傾向を知ることが大切です。

面接では、なぜ30分程度話しただけで人の評価を決めてしまうのでしょうか?採用面接で何が評価されるのか、知りたいと思いませんか?
では、ここで、みなさんに質問です。
「明るさ?社交性」、「真面目さ」、「落ち着き」、「頭の良さ」みなさんはこの4つの中で面接ではどこが評価されていると思いますか?(澤田:明るさ?社交性と真面目さかな~)
気になる結果は…「明るさ?社交性」「落ち着き」が高評価、らしいのです。真面目さ、頭の良さが低評価な理由は…。

「真面目さ」は、外見上の清潔感で判断します。就活生は同じような服装?外見をしていることから違いを見いだすことは難しいのです。
「頭の良さ」は、ある程度のレベルを満たしていれば、それ以上の評価がされません。また、応募者が回答を準備して臨むことが多いため、説明の的確さや論理性の差が現れにくいそうです。そのため、面接という緊張しやすい場面でも情緒が安定しているか(落ち着いている自分を見せれるか)、そしてその場面で明るさや積極性などの自己アピールをすることができているかどうか、を判断しています。そのため、面接では、「明るさ?社交性」と「落ち着き」が評価されるのです。
また、みなさんは面接で面接官の主観は評価に影響されるのか考えたことはあるでしょうか?面接では、面接官との相性、ではなく、「組織との相性」を重視した評価をします。

性格特性(異なる性格の組み合わせの方が補い合ってより高い成果がでる。)<<<価値観(組織の目標共有につながる。)

このように、価値観における相性の方が、仕事への満足感が高いのです。職員との性格の合う?合わないよりも、組織の理念?方針にどのくらい共感できるかが澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】です。そのため、for us(私たちのために)with us(私たちと)ができる人が欲しいのです。

2.面接官の視点を知る
面接への臨み方の前に採用側はどう挑んでいるかを知ることがスタートです。採用の傾向を知りたいならば、人事担当者が読む本を読むこと、これが結果的に良い面接ができるだろうと林先生はおっしゃいました。採用側、就活生、どちらも自分をよく見せようとする面接に挑むには、人対人の本質を見抜くことが必要です…。
面接の全体構造は、こうです。

面接官:どこでなにを見ているか?
①自己紹介→マナー、第一印象
②過去の実績、経験→応募者のキャリア、能力、強み
③志望動機→辞めずに続けられるか
④応募者からの質問→やる気
⑤全体を通して自社に合いそうかフィーリングをチェック
ここで、応募者は、どこでなにを意識するべきかを考える必要があります。ここまでのお話しを聞いて、具体的な面接のポイント、知りたくなりませんか?あるんです、面接のポイント。
面接のポイント、その①面接では結果よりプロセス(PDCA)を重視。
そうすることで、面接官は、本人の努力や工夫によって成し遂げられた結果なのかが分かり、応募者は結果の根拠となるプロセスを伝えることができます。
面接のポイント、その②5W1Hを重視。
When ?ひとつの企画で何回くらい打ち合わせをしたのか
Where ?そこでとくに心がけたことは何か
Who ?お客様はどんな方が多かったか
What ?何を売ってきたか
Why ?それはなぜか、どう工夫してきたか
How ?どのように商品を売ったか
応募者は5W1Hに矛盾がないように気をつけて話すことで、面接官は、応募者の経験を5W1Hに分解して確認することができます。

①自己PRはPDCAで組み立てる
(取り組んだことのプロセスを明確に)
②志望動機は5W1Hで組み立てる
(ストーリーを持たせる)

ここからはワークに入ります。

配布された資料“面接の質問例”から、答えにくい質問を3つ選び自分だったらどう答えるのか考えました。その中には『日本にある電柱の数を教えて下さい。』という質問も。この質問のミソは、とらえどころのない量を、いくつかの手掛かりを元に論理的に推論し、短時間で概算すること(フェルミ推定)ができるかどうかです…。(参考:WiKipedia「wikipedia:フェルミ推定」)
では、澤田陸くん、『日本にある電柱の数を教えて下さい。』という質問を、フェルミ推定を使ってどう答えますか?

澤田:「はい。私の知る町では電柱は約10メートル間隔で設置されています。このことと日本の面積から考えて、400万本であると考えました」ちょっとなに言ってるかわからないですね。(2014年10月時点で、約3300万本ほどあるそうです。)

3.保育現場の掘り下げ方「多角的に園を掘り下げる」
応募者:「離職率はどのくらいですか?」
この質問に対し、
園長:『昨年は20人の職員のうち4人辞めました。』

林先生が学生に「これを聞いてどう思う?」と尋ねると、
「4人それぞれがどんな理由で辞めたのかが分からないため、少なくとも多いともとれないと思います。」
その通りなのです。「4人辞めました」この言葉だけ聞くと、「離職率20%って高いな~???この園大丈夫かな???」と思ってしまうかもしれませんが、単純に判断してしまってよいのでしょうか?

他にも、
応募者:「行事前は忙しいですか?残って仕事をすることもありますか?」
この質問に対し、
園長:『うちの園は、日常の保育の流れを大切にしているから、行事も少なくて、準備はほとんどないの。でも子どもの記録は細かくとってる園だから、記録の整理のために金曜日は残業することもあるわ。』
 「残業はあるけど、『子どもの記録』のための残業なら、納得できる!」等、人によって納得できる理由は違います。単に「気になることを聞く」ではなく「なぜそれを聞きたいのか?」「納得できる理由はあるのか?」を整理すれば、的確に質問できる&どこを観察すれば良いかが分かります。
園を掘り下げた結果をどう受け止めるか?
園長先生への質問事例①
応募者:「理念を徹底したいけれど、現場でやりきれていないと感じることはありますか?」
A園長:『うちでは理念を徹底して、現場で実践しています。保育士も一生懸命ついてきてくれているので、やりきれていないことはありません。』
B園長:『保育士の経験によって、実践方法に違いがあることが課題です。もっと研修を充実させて新人の先生にも丁寧に伝えていきたいと思っています。』
「課題はない」という園と「課題はある」という園、あなたは、どのような印象を持ちますか?

A園長
?やりきれていないことはない
→現場を正確に理解しているのか不安。できていないことを認めたくないだけ?

B園長
?経験による違いが課題
?研修で新人育成をしたい
→自分の園の課題を理解して、真摯に受け止めている。課題に対して工夫しようとしている。

ここでの見極めPointです。現場を客観的に捉えられているのはどちらか?
質問事例②
応募者:「園長先生が現場の保育士の方とコミュニケーションをとるうえで、意識されていることや、工夫されていることはありますか?」
A園長:『うちでは報?連?相をちゃんとするように、保育士に話していますね。
あとは、毎回の職員会議で、行事の目標やどんな保育をしてほしいかを熱心に伝えています。』
B園長:『報告だけでは、業務連絡だけになりがちです。私は日常的に各クラスの保育に入り、子どもの様子を保育士から聞くように心がけています。
保育士も保育に迷ったときや、子どもの成長などを気軽に話してくれるようになりました。』

「園長の考えを熱心に伝える園」と「保育士の声を聞きこうとする園」、あなたは、どのような印象を持ちますか?

A園長
?報連相を徹底
?会議で行事の目標や理想の保育を伝える
→園長の考えを現場の保育士はどのように受け止めているの?

B園長
?日常の子どもの様子を共有
?保育士から相談しやすい状況をつくっている
→保育士の声が園長まで届きやすいような雰囲気づくりを心がけている

ここでの見極めPointです。園長先生の理想が一方的になってはいないか?
事例のように、現場の数だけ、園長の数だけ、保育士の数だけ、答えは違います。だからこそ、「ひとつの言葉」だけで判断せず、多角的な状況から見極めましょう。
さて、とてもとてもとても!盛りだくさんな内容でしたが、いくつかポイントがありましたね。林先生の貴重な言葉を受け止めるだけでなく、自分に置き換えてみて、採用側が「採用したい」と思える人材になれるよう、行動あるのみです。

余談ですが、
昨年、プロ野球のペナントレースを制した広島東洋カープの4番打者、新井貴浩選手は大学生時代の通算本塁打2本で守備にも難があり、ドラフト会議で名前を呼ばれるほどの実績や実力はなかったそうです。
しかしそれでもプロ野球選手を目指していた新井選手は、当時広島の監督だった野村謙二郎さんの自宅を訪れ「僕のスイングを見て下さい!」と庭で何百回と素振りをしたそうです。
その結果野村監督の強い推薦で新井選手はドラフト6位で広島に入団し、プロ18年目の昨年、ついには2000本安打を達成しました。
僕(澤田)も、そんな新井選手を見習って、自分を貪欲にアピールしてよりよい就活にすべく頑張ります。

記事担当:寄松 澤田