2017/04/21 保育士?幼稚園課程

2017年4月21日 4年生教育実習の事前事後指導

2017年4月21日 4年生教育実習の事前事後指導

みなさんこんにちは。今日は、春休みの課題だった事例について、利根川先生にじっくりと解説をしていただきました。
事例1と2は利根川先生が一人ひとりの答えを見て評価し、分かりやすく解説までつけていただきました。お忙しい中ありがとうございます、利根川先生。

それではさっそく事例検討の解説にうつります。

事例1「実習生の日誌から」
ここでのポイントです。わたるくんは、できるようになったことを、誰に見て欲しかったのでしょうか?何のために1段抜かしをしていたのでしょうか?
わたるくんには見て欲しい気持ちや、褒めて欲しい、認めて欲しい、という気持ちがあるのではないでしょうか? 
中学生や高校生の時に、「ねえねえ、テスト勉強やった?」と聞かれ時、一生懸命頑張ったとしても、「全然やってない???」と答えた経験、皆さん一度はありませんか?
それと同じで、「毎日たくさん練習頑張ったんだね。」という実習生の言葉に対し、「ううん。あまり練習してないの。」とワタルくんは答えます。ここでは、できるまでの過程ではなく、できたことが嬉しいのです。

事例2「貸して」5歳児5月
ここでのポイントです。いざこざは、それぞれの思いがあってぶつかります。5歳児の発達の特性から、相手が何を考えているのか理解する、学ぶ機会を逃してしまわないようにすることが大切です。
この場面では、けんかの最中に経験や理由を問う、落ち着くような働きかけをしてから経緯や理由を問うような対応が望ましいのではないでしょうか。
なぜなら、2人ともそれぞれのタイミングで悲しみ、怒り、腹立たしさ、悔しさを体験しています。子どもにとって「喜び」や「楽しみ」と対になる「悲しみ」「怒り」の両方を園生活で体験することは子どもが成長していくうえで、大切なことです。そのため、この場面で2人にとって大切なのは、自らの体験を通して、相手も同じ気持ちがあったのだと気付くこと、そして、理解できるようにすることなのです。
ここからは、3つの事例をじっくりと解説して頂きました。
事例3「場面緘黙(かんもく)」

3歳児の発達の特性として、第1反抗期が考えられます。この場面での明くんの言葉は、反抗しているわけではなく、言葉で伝えることは難しいため、行動で意志を示しています。物を投げる行為について考えてみると、明くんは他児に向けて物を投げています。これは危険な行為であるため、本来なら禁止されるべきものであるという考え方もあります。
ですが、明くんは「ボール」や「ぬいぐるみ」というやわらかいものを選択し、ニコニコしながら投げています。明くんからの物を投げるという「発信」について、先生は明くんの行為を「意味があるのだろう」と考えて見守りました。一見否定的に捉えられる行動や言葉を、「それはダメだよ」と言いたくなりますが、先生には明くんの反抗期の特徴が見えていたため、この子の今にとって何が大事なのか、悩みながらも関係が築けるようにしたのです。
この事例では、保育者が明くんのことを一面的に見ることをしませんでした。肯定的に受け止め、多面的な理解が必要だということを学ぶことができました。

事例4「モルモットが怖い?3歳児」

ここでは、Yくんの「怖い…けど触りたい、捕まえたい」という気持ちを保育者が理解してあげることが大切です。保育者はYくんの気持ちを汲み取って、言葉に加え、モデルを示すことでかかわり方を伝えました。このような機会の積み重ねや、子どもが小動物に興味を持ってふれ合うことにより、小動物とのかかわり方、小動物に対する興味?関心、小動物の生態、小動物にも心があること、小動物にも命があること等を知ることができたり、学ぶことができます。
例えば写真でモルモットを見て知るのと、実際に観たり触ったりしながらモルモットを知ることは、大きく違います。直接見て、毛並みや実際の大きさ、動き、脈うつ感じなど、触らないと分からないことがたくさんあります。幼児にとって直接体験は直接見る、触れる、嗅ぐ、味わうなどの感覚を豊かにしたり、直接体験から心が安らぎ、豊かな情緒、好奇心、思考力、表現力の基礎が培われます。また、身近な動植物に親しみを持ち、いたわったり、大切にしたり、大切にしたり、生命の尊さに気付き、大切にしようとする心が育ちます。
幼児にとっての直接体験がいかに大切なものであるのかを学ぶことができた事例でした。

事例5「僕もやりたいな」4歳児9月

ここでは、ヒロシくんの行動の本当の意味を汲み取ることができるかどうかがポイントになります。
ヒロシが3人の近くに来て見ていたり、帽子を取って投げたり、砂をぶつけたりする姿が何を意味していたるかに気を付けて考える必要があります。子どもの言動について、保育者が常に一方的に良し悪しの判断をする指導を行っていたら、子どもは「先生に叱られる」という基準でものを見るようになるかもしれません。もし、保育者が一人ひとりの気持ちを受け止めたうえで、どうしたら良いかを子ども自身が気付くような援助をしたら、子どもは自分と同じように、相手に思いがあることに気付くのではないでしょうか。

この事例では、4歳児が葛藤(事例では、遊びたいがうまくいかない)に向き合って解決していくためには、子どもの気持ちを汲み取り、子どもの支えになる保育者の姿や、子どもが自分の気持ちを整理できる時間を保障すること、そして子どもが他者(葛藤の相手)の気持ちを理解するような援助が必要だということを学ぶことができました。

「いーれーて」と素直に口にできないヒロシくんの気持ち、すごく理解できました。僕(澤田)も幼少の頃、好きな人に「好き」と伝えられずにいて枕を濡らしたことがあります。そんな時、友達に「お前ならいけるって」と背中を押されて告白に踏み出すことができました。
結果はさておき、第三者が背中を押すことで当事者はずいぶんと勇気づけられます。僕も事例に出てきた保育者や、僕の告白を後押ししてくれた友人のように、周りの人たちを勇気づけられるようなそんな保育者になりたいと思いました。

記事担当者:寄松 澤田