2017/10/04 教育学研究科

【研究報告】特別支援教育担当教員 特殊教育学会で研究成果を発表

9月16日~18日、名古屋国際会議場で行われた日本特殊教育学会第55回大会において、本学大学院教育学研究科及び教育学部教育学科で特別支援教育を担当する教員が、日ごろの研究成果を発表しました。それぞれの教員の発表タイトルと概要は以下の通りです。

研究発表

川住 隆一 教授 (専門:重度?重複障がい)
「訪問教育対象児童生徒の学習環境に関する研究—家庭訪問教育の人的環境に係る調査結果—」
訪問教育とは、重い障がいがあるために通学することができない児童生徒に対し、支援学校の教員が家庭等を訪問して指導を行う制度です。今回の発表では、対象の児童生徒が学習場面において、担任教師以外の人々との交流機会やその頻度等について調査した結果を取り上げました。

庭野 賀津子 教授(専門:聴覚障がい?言語障がい)
「人工内耳装用幼児の語彙の発達的変化-難聴の発見が遅れた幼児への言語指導を通して-」
生後23か月の時に高度難聴が発見され、26か月より人工内耳の装用を開始した幼児に対して、2年間、手話と音声言語を併用した言語発達支援を行いました。その結果、先に手話で獲得した語彙を後に音声言語で表出する様子が見られ、手話を併用することの有効性が明らかとなりました。

和 史朗 准教授(専門:肢体不自由)
「肢体不自由特別支援学校の児童生徒を対象としたICT活用による遠隔スポーツ指導」
重い障がいのある子ども達はスポーツを楽しむ機会が限られています。できるスポーツの種類が少なかったり、指導できる人が少なかったりするためです。Skypeを活用した遠隔指導によって、このような課題を解決する試みを実践し、その成果を検証しました。

黄 淵煕 准教授(専門:発達障がい)
「軽度知的障害のある子どもの数字の読み書きと認知特性」
数字の読み書きに困難のある軽度知的障がい児を対象とし、数字の読み書きエラーの種類とそれに関連する認知特性について調べました。その結果、全般的には十の位の数字が0である3桁の数字の変換に困難を示す児童が多いこと、また、エラーの種類は児童の認知特性によって異なることが明らかになりました。

茂木 成友 講師(専門:聴覚障がい)
「聴覚障害児童に対する日記指導における指導内容の特徴-高学年在籍児童に対する指導内容の分析-」
小学校高学年段階の聴覚障がい児が書いた日記に対して、担任教諭がどのような指導を行っているのかを明らかにすることを目的としました。その結果、担任教諭は肯定的な表現を多く用い、児童自身の考え方や感じ方を表現するように促す指導を行っていることが示されました。

氏家 享子 助手(専門:発達障がい?スクールソーシャルワーク)
「ASD児へのソーシャルスキルトレーニングに関する実践研究-小集団のメリットを活かしたかかわり-」
家庭や学校で対人面の苦手さを抱える自閉症スペクトラム障がい(ASD)児を対象に、小集団でソーシャルスキルトレーニングを行った結果、セルフコントロールについて改善が見られました。その結果から効果的なかかわり方について考察しました。

自主シンポジウム

大西 孝志 教授(指定討論者として参加、専門:聴覚障がい?言語障がい)
「聴覚障害教育における日本語獲得?習得?運用に関する支援の実際を踏まえて-今後の日本語学習支援の在り方の検討-」
重度の聴覚障がいがある子どもの書き言葉の習得において澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】な点を整理し、コミュニケーションの手段(聴覚の活用や手話など)の違いだけで日本語習得が保証されないということ、発音指導の大切さ等を確認することができ、今後の論点が明確になりました。

樋口 一宗 教授(指定討論者として参加、専門:知的障がい?発達障がい)
「全ての児童生徒学生にとって自己実現に役立ち主体的に楽しむ「読み書き」や「学習」とは③-読み書き困難と評価?学習意欲やストレスの関係—」
障がいによる学習上の困難を有する児童生徒学生の学習上の課題(読み書き困難や学習のストレスの特徴等)について話題提供がありました。それに対して、社会と目標を共有するためには、どのような改善が必要か、合理的配慮との関係から助言をしました。 

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