2021/11/16 教育学科

【研究報告】科学研究費?基盤研究C「能動的学修を誘導する特別支援教育専攻学生のための障害理解授業の内容と形式の研究」(村上由則教授)

1.はじめに:病弱教育の特性について

感覚?情報系障害や運動障害では、手話や点字、車イスなどを活用することで、対象児の困難を多少なりとも擬似的に体験できます。しかし、病気の児童生徒の困難を知ってもらうための「病気体験」は、一般の健康な学生には難しいのが現実です。そこで大学の病弱関係の授業では、病院等の見学、病気や療養生活を扱った映像資料を活用し、児童生徒の困難を間接的にイメージさせる授業内容が中心でした。

2.研究の課題

私と共同研究者は、学生が「自作」可能で、作製過程や活用を通じて「体験」「体感」可能な教材開発と提案を行ってきました。扱った対象は、「喘息発作における呼吸困難」「血糖自己検査?自己注射等における不快感情」「血友病性関節症等における『痛み』」「人工透析」「てんかん発作」「不随意運動」「アレルギー」「重度運動障害のコミュニケーションの困難理解」などです。この研究には、「自作」と「体験」という二つの側面があります。

3.教材の「自作」について

学生は、私どもが提示する教材例を参考にWeb情報、専門的文献、時には病気の経験者の話なども積極的に収集するようになります。それらの情報を踏まえ、グループ内のディスカッションを経て自作教材を作製します。授業内で参加学生に、作製した教材についてプレゼンテーションを行い、グループ間ディスカッションへと進みます。つまり「物を作る」ために情報へ澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】し、相互ディスカッションを行います。さらに、「物」と関連する情報を全体に向けてプレゼンテーションする自然な流れが、無理なく生まれます。現在ときどき耳にするアクティブラーニングのひとつの例と考えています。

4.「体験」「体感」について

病気の児童生徒の困難は「痛い」「苦しい」といった身体感覚だけではありません。例えば定時服薬や自己注射なども困難と言えます。しかしこれらを学生に体験させることはできません。そこで、「忘れてはいけない定期的な行為」に着目し、1日4回(7?12?18?23時)1週間、特定の活動を継続する場面教材を提示します。その結果、学生は継続することの困難を「体験」できます。

5.児童生徒の理解のために

特別支援教育は「子どもを理解する」澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】性を心情的に語られることが多いです。この研究は、この心情を土台とし児童生徒の困難の「中味」の理解を促す具体的方法を明らかにしようとする試みです。

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