「別室登校法」は、筆者の学位論文です。それから10年をかけてさらに実践を蓄積し、理論を精査して本著の刊行となりました。義務教育にホームスクーリング制度がなく登校が課される日本の教育制度は、アメリカやヨーロッパと「不登校」の概念や位置づけが異なるため、独自の支援システムが求められてきました。そのため、「別室登校法」の開発では長期不登校を回復させた名人芸の教職員を1都4県に訪ねました。そして、その経験則を分析する質的研究と実証研究とを抱き合わせた支援モデルを生成し、介入研究を繰り返して一般化に漕ぎ着けました。

2020年度から開始された宮城県教育庁の「不登校児童生徒等学び支援教室充実事業」では、その理論的基盤に「別室登校法」をご活用いただき、筆者のゼミの学生たちがその舞台での実践クルーとして活躍してくれています。本著が不登校支援の教育臨床や支援職の卵の皆さまのお役に立てたら幸いです。