2018/12/20 福祉心理学科

【学び】色や位置のメタファーが認知?行動に及ぼす影響を検証  / 2年ゼミ研究報告

2年生対象の社会心理学ゼミ(吉田:リエゾンゼミⅡ)では『身体化された認知(embodied cognition)』に関する研究に取り組んでいます。前期は、『身体化された認知』に関する研究を取り上げた本を講読し、各章の内容についてグループにわかれプレゼンテーションを行いました。後期は興味を持った研究論文を調べ、人々が知覚、接触する刺激のメタファー(隠喩)がどのように認知や行動に影響を及ぼすのかについて研究を行いました。

グループ1は、「赤い色を見た後に複雑な課題成績が上昇する」という先行研究の結果は、赤色が及ぼす影響について知らされた場合は生じないのではないかと予測し実験を行いました。29名の男女大学生を対象に実験を行ったところ、予測を支持するようなデータは得られたものの、統計的な有意差は確認されませんでした。

グループ2は、「見知らぬ言葉が画面の下よりも上に提示されると、(上=天国というメタファーの活性化によって)良い意味に評価される」という先行研究を踏まえて、このような位置の影響に加えて文字の色を操作した実験を行いました。見知らぬ言葉としてクメール語を選択し、クメール語をパソコン画面の上?下に、赤?緑?白色で提示される実験刺激を作成しました。大学生男女28名に実験を行ったところ、言葉の意味評価には、位置よりも、色の影響が大きく、赤色が白や緑よりも支配的?性的?攻撃的であると評価されることが分かりました。現在、なぜこのような結果が得られたのかについて、心理学研究における再現性の問題も踏まえながら考察を行い、レポートにまとめています。

学生の感想

「初めて本格的に実験をしました。先行研究を参考にしながら、仮説を立て、刺激を作成し、実験を行うことを自らの力で行うことに、とてもやりがいを感じました。」、「データを収集した後、統計を算出している時、自分たちの仮説が支持されたかどうかドキドキしました。初めて自分でやってみたい実験を体験することができて、心理学の学びや統計が楽しいものだと感じることができました。」などの感想が報告されました。

1年間のゼミ活動を通して、プレゼンテーションなど基本的なスキルの向上だけではなく、自分たちで考えた仮説を検証するプロセスを体験することを通して、専門分野の知識を深めるとともに、「新しい知を生み出す」研究活動について実践的に学ぶことができました。

最後に、突然のお願いにもかかわらず、実験に協力してくださったみなさん、ありがとうございました!

※講読した本
Lobel, T. (2014). Sensation: The New Science of Physical Intelligence , Icon Books Ltd. (タルマ?ローベル , 池村千秋(訳) (2015).  赤を身に付けるとなぜもてるのか? 文芸春秋)




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