2025/03/18 社会福祉学科

田中治和教授 最終講義「社会福祉学を求めて」を開催

最終講義での田中先生
最終講義での田中先生

2025年3月7日、澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】 総合福祉学部 社会福祉学科の田中治和教授が、同大学国見キャンパスにて最終講義「社会福祉学を求めて」を行いました。本学卒業生でもある田中教授は、1979年に大学院を修了後、社会福祉学の研究と教育に半世紀近く携わり、数多くの学生を指導してきました。

また田中教授は、『社会福祉原論』(法律文化社)や『社会福祉の原理と思想』(岩崎学術出版社)などの共著を発表し、社会福祉学の発展に寄与しました。

最終講義「社会福祉学を求めて」
田中教授は、森永ヒ素ミルク中毒事件や朝日訴訟などの社会問題が、自らが育った時代の背景にあったというところから講義をはじめ、社会福祉士資格制度や介護保険制度の導入による大学教育の変化、実学とは何か、学問の本質とは何か、人間観の問い直し、「専門家」とは何かなど、これまで「社会福祉学を求めて」深めてきた研究と思索の歴史を、豊富な文献の紹介とともに講義しました。

会場には多くの卒業生が駆け付け、教職員とともに真剣にメモを取りながら田中教授の最後の講義を受講し、終了後にはかつての教え子たちが列に並び、順番に感謝の気持ちを伝え、記念撮影をしていました。

田中教授の長年の貢献に感謝するとともに、今後もその研究と教育の精神が受け継がれていくことを願います。

 

講義をする田中治和教授
講義をする田中治和教授
花束贈呈の記念写真
花束贈呈の記念写真
講義終了後に記念撮影のために列に並ぶ卒業生たち
講義終了後に記念撮影のために列に並ぶ卒業生たち

最終講義に参加して(教員の感想)

  • 最終講義を通じて、社会福祉学が持つ奥深さと、その探究の果てしなさを改めて実感しました。この学問は単なる制度や支援の知識ではなく、人間の生き方、社会の在り方を問う「真実の学」であることを強く感じます。講義の中で印象に残ったのは、「安易に言葉を使わない」という姿勢です。社会福祉の現場では、「利用者」「共生」「自己決定」などの言葉が日常的に使われますが、それらの言葉が本当に意味するものを問い続けることが求められます。言葉に甘んじず、背景にある人々の現実や社会構造を深く理解しなければ、本当の意味での福祉は実現できないのだと痛感しました。 また、社会福祉学は単なる「正解」を見つける学問ではなく、絶えず「問い続ける」ことが本質なのだと改めて思いました。誰かの「当たり前」は、別の誰かにとっては不条理であり、一つの解決策が新たな課題を生むこともあります。その中で、目の前の現実を見つめ、問いを深めていくことこそが、福祉に関わる者の責務なのかもしれません。
    田中先生から最終講義というメッセージを受けて,私は社会福祉学の世界に足を踏み入れ「おそろしく深い」学問に向き合っている,でもその道を進みたいと真に思いました。 それは容易に答えが出せるものではなく、常に葛藤と向き合う道です。 しかし、その道のりの先には、少しでも誰かの生きやすさにつながる可能性がある。その希望を胸に、問い続けていきたいと思います。

  • 本学の教職員のみならず、実践現場の指導者や田中先生に薫陶を受けた卒業生が多く集いました。教室は満員となり、50年近くに渡る田中先生の研究者?教育者としての足跡は本当に凄いものだと理解しました。
    最終講義での田中先生のお言葉一つ一つに重みがあり、これから研究?教育を進める自分にとってまさに学びの場となりました。
    田中先生、本当にお疲れ様でした。そして、ご指導いただきありがとうございました。
  • 最終講義を聴講し社会福祉学の奥の深さを学びました.事例を取り上げたお話を聴いて「自分だけが真なるものとして,他との異を主張している限り,自分はかえって偽であることを露呈している.むしろ異なるものの中にも自分との同一性を認めようとするところに,自分自身の真理性が証示される」という言葉を思い出しました.田中治和先生の書を通した半世紀の研鑽を怠らない姿に感銘を受けました.いつまでもお元気でいてくださることを願っております.
  • 30数年ぶりに教室に座って田中先生の講義を聴かせていただきました。「研究は人のためにするのではなく、自分のためにするもの」というお言葉がとても深く、自身の研究者としての在り方を見つめる機会になりました。対話を通じて、研究の楽しさを教えてくださった先生に感謝いたします。
  • 一人ひとりの人生に対する向き合い方、他方で自分自身の人生を見つめ直す向き合い方、そのうえで教育研究に対する向き合い方、さらには自らを問い直しながら問いを立てて問い続けることの向き合い方について、最終講義「社会福祉学を求めて」でも考える時間と空間、人間関係をありがとうございました。少しずつ繙きながら展開して繋ぎたいと思います。「邂逅」に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

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