2018/11/20 保健看護学科

【研究】プレハブ仮設住宅では震災直後に「歯の痛み」が増加/土谷昌広准教授 共同研究

ポイント

  • 東日本大震災被災者(2,776名、年齢:18歳以上)を対象として健康調査を実施し、2011年6月から2015年2月までのデータを用いて解析を行った。
  • 居住住宅の種類を「震災前同様」、「プレハブ仮設」、「新築や賃貸など」の3群に分けた場合、プレハブ仮設住宅の居住者において、震災直後の時期に歯の痛みを訴える人が多いことが明らかとなった。
  • 歯科検診の結果と照らし合わせ、歯の痛みが虫歯や歯ぐきの問題と関連するものか検討したが、それによる影響は少なく、住居環境、特にそのストレスとの関連が予想された。

研究成果の概要

この研究は東北大学大学院医学系研究科(公衆衛生学分野:辻一郎教授ら)と被災自治体の共同事業である被災者健康調査に、澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】も研究協力を行い、その成果をまとめたものです。

宮城県沿岸部に居住する東日本大震災被災者(18歳以上、2,776名)の内、有効な回答が得られた2,398名を対象として、居住住宅の種類(震災前と同様、プレハブ仮設住宅、新築/賃貸などの3つに区分)と歯の痛みの発生の関連について検討しました。

歯の痛みは5年間の調査を通じて、延べで3.6%の人に認められました。プレハブ仮設住宅の居住者で最も多く、4.5%(181名/3,951名、震災前と同様:2.3%‐61名/2,674名、新築/賃貸など:3.3%-72名/2,161名)で、特に震災直後の第1回調査時(2011年6月~9月)に顕著(7.9%‐45/568名)で、リスクが約4倍高いことが示されました。また、参加者の中で歯科検診を受診した人(1,446名)で同様の解析を行い、歯の問題(虫歯や歯肉の出血の有無、治療の必要性)を考慮した場合でも、プレハブ仮設住宅居住者においては歯の痛みが多いことが認められました。

歯の痛みは一般的な歯の病気(虫歯や歯周病など)だけでなく、ストレスでも引き起こされることが知られています。本研究は、居住環境と関連したストレスで、「歯の痛み」が一過性に増加する可能性について、初めて報告したものとなります。震災直後のストレスは様々な問題を増加させますが、震災後には歯の痛みも同様に増えることを認識して対応する必要があることを示しています。

論文発表の概要

[研究論文名]High Prevalence of Toothache among Great East Japan Earthquake Survivors Living in Temporary Housing. (東日本大震災被災後の仮設住宅居住者における歯痛の増加)
[著者] 土谷昌広(澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】)、相田潤(東北大学)、渡邉崇(JCHO仙台病院)、篠田雅路(日本大学)、菅原由美(東北大学)、遠又靖丈(東北大学)、矢部裕(東北大学)、関口拓矢(東北大学)、渡邉誠(澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】)、小坂健(東北大学)、佐々木啓一(東北大学)、萩原嘉廣(東北大学)、辻一郎(東北大学)
[公表雑誌] Community Dent Oral Epidemiol., in press
[公表日] 2018年11月15日、doi: 10.1111/cdoe.12433.

本件に関する問い合わせ先

澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】健康科学部保健看護学科 職階:准教授
氏名:土谷 昌広(つちや まさひろ)
TEL: 022−728−6049
E-mail: mtsuchiya@tfu-mail.tfu.ac.jp