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仏教専修科

学生インタビュー(田中貴道さん)「本山へ、そして故郷の町へ」

— 田中君は一時期、髪を金髪に染めていたり、派手なアロハシャツを着て授業に出てきたりしていて、いわば「チャラい人」みたいな雰囲気もあるんですが、その一方で受講態度の方は非常に真面目でした。その見た目のチャラさと実際の真面目さの間のギャップが強く印象に残っています。

田中 そうですか。まあ、基本的な挨拶とか作法とかいったものは家でしっかり教えられました。でもそれが受講態度と関係しているかどうかはちょっとわかりません。あまり関係ないような気もします。

— すると田中君の「意外な真面目さ」というのはどこから来ているんでしょう?

田中 たぶん高校で野球部だったことと関係しているんじゃないかと思います。野球部の監督が「学校での生活態度が野球につながる」という考え方の人で、授業中の態度とか課題の提出といったことについてすごく厳しい人だったんです。それで、高校時代は課題を遅れて提出したことは一度もありませんでした。

— なるほど。部活で鍛えられた態度だったんですね。この3月に卒業?上山の予定だったと思いますが、本山へ修行に行っても苦労しないかもしれませんね。

田中 そうだといいと思いますが(笑)。

— お寺の方はいわゆる過疎地の方でしたよね。

田中 まあそうですね。真室川町なんですが、一応「町」なんですけど、人口がどんどん減っています。

— 田中君がお寺を継ぐ予定なんですか?

田中 そうです。本山での修行が終わったら地元に戻ります。

— 過疎地でのお寺の経営はかなり大変だと思いますが、田中君はどういう覚悟とどういう見通しで真室川町へ戻って行かれるつもりですか?

田中 覚悟ですか???。中学生くらいの頃は、お坊さんにはなりたくないと思っていたんです。でも、年配の檀家さんたちからお盆などの時に「私のこと頼むね」なんて言われたりするんですよね。そう言われると、「やっぱりお坊さんになろうか」という気になって???。「見通し」ということで言えば、僕は社会福祉学科なんで、独立型の社会福祉士として活動しながらお寺をやっていこうと考えています。

— 「逃げる」という選択肢は考えたことがなかったんですか?

田中 師匠には「やりたくなかったらやらなくてもいい」とは言われていたんですが、でも檀家さんたちと色々な話をしていく中で腹をくくった???という感じです。

— 結局は「人とのつながり」が大事だということですか。

田中 そうですね。お寺というものは簡単になくなっていいようなものではありませんので。

— やはり逃げるわけにはいかないと。それで腹を決めて、地域のコミュニティを支えるために過疎の町に帰ってゆく。やっぱりここで田中君の「真面目さ」が顔を出していますね???。「社会福祉士」という将来設計は本学へ入学する時から考えていたんですか?

田中 そうです。こういう見通しがなかったら駒沢大学の仏教学部へ進んでいたと思います。福祉大では社会福祉学科で資格のための勉強をしながら仏教専修科で仏教の勉強もできるということで、福祉大へ来たんです。

— それは今から考えて、いい決断だったと思いますか?

田中 そう思います。

— われわれ教員の方でも、田中君が仏教専修科に来てくれてよかったと思っています。

田中 ありがとうございます。

— ではしっかりやって来てください。

(2021年11月公開)