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仏教専修科

学生インタビュー(工藤龍人さん)「大学院で街おこしを学ぶ」

工藤龍人さんは本学大学院の入試に合格し、四月から院生として地域福祉に関する研究を始めます。

— 大学院に合格して四月から院生ということで、まずはそのことについてお聞きしたいと思います。進学のことはいつごろから考え始めたのですか。

工藤 もともとは情報福祉の方の専攻だったんですが、いろいろ授業を受けているうちに街づくりとか地域福祉に関することに興味がわいてきて、大学院はそちらの方の専攻に進むことにしました。

— ご出身はどちらでしたかね。

工藤 気仙沼です。

— すると将来は気仙沼市で町おこしに携わっていきたいということなんですか?

工藤 そうです。学部は情報福祉マネジメント学科なので、本当はアプリ開発に関する卒業論文を書くはずだったんですが、地域おこしの方へ関心が移ってきたので、今は地域の活性化に関する卒業論文を執筆中なんです。その実証実験という形で、気仙沼市で夜市のイベントを企画して、商店街の人々に提案してこの八月に一緒にやりました。大盛況でした。来年も継続してやりたいと思っています。それでこの勉強を続けたいと思って、大学院に進学することにしました。

— (ポスターを見て)なるほど。「八日町ぱちぱち夜市」ですか。青龍寺というのが実家のお寺なんですか?

工藤 そうです。青龍寺のお祭りは長年続いている行事なんですけど、今回は隣接の商店街と合同開催になりました。お祭りの規模を拡大する形で、街の活性化につながるイベントをやりたいと思ったんです。

— 本山から帰って来てからのことも視野に入れてやっていくということですか?

工藤 ええ。本山へ行く前に継続のめどをつけておきたいと思います。

— なるほど。本山の方には大学院を修了してから行かれる予定ですか?

工藤 はい。

— 修行に行っている間はお師匠さんがおやりになって、帰ってきたらそこへ合流して一緒にやるというわけですね。

工藤 父だけではなくて、地域の人たちも一緒になって青龍寺のおまつりと夜市をやっていければ嬉しいと思います。

— それはいいですね。お寺は気仙沼の市街地の方ですか?

工藤 市役所があるあたりです。

— 中心部ですね。すると過疎地というわけではないですね。

工藤 ええ。でも、市役所が移転することになってしまったんです。それで、これからお寺の周辺の街が衰退していく可能性があるんです。それで、お寺が地域を支えていかないといけないと思って、地域の活性化をどうやって担っていったらいいか考えているところです。

— 工藤君は自分で、そういう町おこしのイベントとかのオーガナイズの仕事に向いていると思いますか?

工藤 どうでしょうかね(笑)。実践活動の経験がまだまだ少ないので、意見共有とかの場を主催したりするやり方というのもわからないような状態です。

— まあこれからということですね。実際にそういう場に出ることによって慣れていくというか…

工藤 今回は本当に分からない状態でやってきたんですが、やはりちゃんとした知識が必要だと実感しました。

— 夜市のプロジェクトは楽しかったですか?

工藤 はい。結構お客さんがいっぱい来られて、子供から大人、お爺ちゃんお婆ちゃんまで。楽しかったです。

— ポスターの方には「仙台銀行街づくり基金の助成金によって開催いたします」とありますね。仙台銀行との話し合いの場にも出られたわけですか?

工藤 最初はクラウドファンディングでやる予定だったんですが、商店街の人たちに計画の話をしたら、実は僕の知らないところで助成金の申請が進んでいて(笑)、それで助成金を頂けることになりました。八日町のまちづくりの代表をされている呉服店の店主の方と、市外から来てまちづくりに携わっている方で現在は商店街で喫茶店を営業している人が中心になって話が進みました。

— 工藤君がひとりで頑張っているというわけではないんですね。

工藤 はい。商店街の皆さんのご協力を得て、開催できました。

— 若い人が急に「何かやろう」と言い出しても、なかなか実行に移すのは難しいと思うんですけど、商店街の人たちがみんなで協力してくれたというのはよかったですね。その前から商店街の人々との付き合いはあったんですか?

工藤 そうですね。小さいころから商店街が遊び場でもありましたから。みなさん顔なじみで。それで今回「こういうことをやってみたいんです」っていったら、皆さん喜んで協力して下さいました。

— 工藤君が最初に言い出したのは、どういった機会だったんですか?

工藤 商店街の喫茶店で代表の方と会ったときに卒業論文の計画のことを少しお話ししたんです。その時に夜市のアイデアとかもお話しして。

— それがだんだん大きくなっていったということですか?

工藤 そうです。雪だるまみたいな感じで。

— なるほど。なかなかないことですね。ところで工藤君は、入学してきたときには大学院に行こうというつもりはまったくなかったわけですか?

工藤 まったくなかったですね。四年間ただ勉強して、卒業して上山するという予定でした。

— しかも別の学部に移るわけですよね。

工藤 ええ。他の院生とくらべて、社会福祉に関する知識については雲泥の差があります。これから、自分の勉強だけではなく社会福祉一般に関する勉強もしっかりやっていかなければなりません。

— でも、こういうイベントがあって、それに接続する形で勉強をやっていくということになると、モチベーションが違ってきますよね。

工藤 はい。

— 単に勉強のために勉強しているわけではなくて、実践があってその周りに自分の勉強を自分で構築していくということですしね。

工藤 そうですね。好きでやっているわけですから、勉強というよりは、楽しみながらやっているという感じです。入学した頃には地域のことにはそれほど強い興味があったわけではなかったんですが、勉強するにつれてどんどん面白くなってきました。

— するともう、上山もそのためにあるということですね。将来お寺の住職として地域を支えていくという。

工藤 地元に戻ることが確定している若者というのはあまりいません。自分が街の将来を考えて行かなければならないという思いはあります。

— なるほど、なるほど。ところで、工藤君の学部での学生生活はどんな感じでしたか?

工藤 いろんなサークルに参加していました。混声合唱団と、小さな人形劇の会ぺぺ、あとポケモンサークル「あまのがわ」、それと仏教専修科ですね。忙しい日々でした。

— 人と付き合うのが好きなんですね。

工藤 そうなんです。誰かと居たいなという気持ちが強いですね。人が好きなんです。今やっていることも、大学で出会った人たちのおかげです。

— 自分の道を見つけたわけですね。なかなか、四年間で自分の道を見つけることのできる人というのは少ないと思うんですが。

工藤 大学の環境と、それから人とのかかわりがあってこそです。

— 福祉大に来たことは、工藤君にとって大成功だったと言っていいですね?

工藤 そうですね。それはもう間違いなく言えると思います。

— 本当に素晴らしいと思います。大学院でもしっかりやって下さい。

工藤 ありがとうございます。

(2023年11月公開)