【現場から現場へ】
OB MESSAGE [精神保健福祉援助実習]
大学生活を支えてくれたもの~卒業に際し今思うこと~
通信教育部社会福祉学科卒業生 新沼美奈子
私は,2年半前の4月に社会福祉学科3年に編入学いたしました。
初めてスクーリングに参加したのは,校庭の桜が葉桜となった6月でした。気がはやっていたのか,午後からの授業なのに11時頃大学に着いていました。レンガ色の校舎,葉桜の緑,空の青さに見入りながら初夏の風の心地よさと共に,これから向き合う勉強への不安や心の揺れを感じていたことを思い出します。
結婚後,家庭中心の生活だった私が47歳で大学で勉強しようと決意したのにはそれなりのことがあって,気持ちは固かったのですが,仕事と家事の終わった夜中に1人教科書に向かいコツコツとレポートを仕上げていく作業は,慣れていなかったこともあり難しく辛い作業でした。
気持ちが維持できたのは,交流会に参加したときに職員の方が挨拶の中で述べた言葉です。不安や心の揺れが落ち着き,とても勇気づけられたのです。「レポートは悩まず,まず提出すること。ねらうのは優じゃない可。たとえ再提出となったとしても,どこが悪いかコメントが書かれているので,それに沿って再作成すれば可までいける。レポートが通ったという結果が気持ちを高めてくれ,やる気を引き出してくれる。その結果と気持ちが大切で,コツコツ積み上げていくと進級していけます。」と,その言葉に励まされながら2年半頑張れたのだと思います。
気持ちを支えてくれたものの1つとして家族の紹介をします。「僕の妻は女子大生」50になろうとしているおっさんのブログに書いてあったものです。内容を知らない人は何を思ったことでしょう。(笑)もちろん女子大生は私,僕は夫です。当初夫は,私が大学に行くことを反対していました。いろいろなことを考えた上での,彼なりの思いやりだったのでしょう。が,亥年の私はもちろん直進です。入学して数ヵ月後の夫のブログに「僕の妻は?…」を発見し,反対していると思っていた夫が,自分の状況や私の状況をそれなりに楽しんでいることを知り,気持ちが楽になりました。もちろんその後も彼なりの励まし方で支えてくれたのですが…。
気持ちを支え励ましてくれたもう1つは,教室の中にいる幅広い年代の同級生でした。他職種の職業人との出会いは新鮮で,刺激になりました。メールでの励ましや情報交換は気持ちの支えになり,勇気をくれました。
そして実習先の施設や指導者の方には,忙しい中24日間もの実習を受け入れていただき本当に感謝しています。指導者は事前訪問などの関わりの中で,私がその実習先を希望していた意味や,なぜ精神保健福祉士の勉強をしているのかを感じ取り理解してくれました。
毎日,指導者と向き合う時間をつくってくださり問答をすることは,50年近い人生経験と看護師としての職業経験を経てきた私自身のものの見方や考え方を,目の前の机の上にさらけ出して見ていただいた感じでした。能力不足のため,迷い苦しんでいる自分に出会うことは辛いことだったのですが,なぜか幸せを感じていました。実習生としての私は,いろいろな発見や理解していく過程が楽しく,嬉しく,幸せを感じていたのですが,そこまで実習生と向き合ってくださった指導者ご自身も苦しかったことと思います。深く大きな考え方の中で大きな満足感と充実感を下さった指導者と実習部署の皆様に深くお礼申し上げます。ありがとうございました。
風のように過ぎ,気がつくと大きな宝物をたくさん残してくれた2年半でした。その間勉強にどう取り組み,モチベーションをどう維持してきたかを書いてみました。今勉強に立ち向かっている皆様の参考になればと思います。辛い苦しいこともいつかは抜け出ることができます。1人ではありません。傍に居る仲間とともに前進してください。
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