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VOL.39 NOVEMBER 2006

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[障害者福祉論]
レポートを書こう ─「障害者福祉論」1単位めを題材として─

助手 平野 光洋

※『レポート課題集1?2年』を手元においてお読みください。

◆はじめに(慣れないレポートを書き始める方へ)

 これをお読みの方のなかには,「レポート自体を書いたことがない方」,「レポートを書いたが,不安で出せないでいる方」などがいらっしゃると思います。
 レポートを書いてといわれても,通信生の場合,相談するにも先生と関わる機会は少なく,同じ立場の学生との関わりもあまりなく,孤立して悩みを一人で抱え込んでしまうことも少なくありません。そんな方は,ぜひスクーリングを活用していただきたいと思います。スクーリングは,レポートを提出しなくても受けることができます。その中で先生や同じ科目を受ける学生と関わりをもっていただきたいと思います。またもうすでにご覧になっていると思いますが,通信教育部でみなさんにお渡ししている,『自立学習の手引き』や『学習の手引き』の中の第6章「レポート学習」にレポートの書き方が書いてあります。しかし,こうした本をしっかり読んでもあまりレポートを書いたことのない方は,レポートを実際に進めるとなるとやはりとまどいがでてしまうものです。
 レポートを書くことに慣れていないことは,恥ずかしいことではありません。特に出したことのない方は,書いて,恥ずかしくてもいいから提出していただきたいと思います。誰でも最初は,レポートを書くことにとまどいを覚えます。ただし一ついえることは,実際に駄文でもいいから,書いてみなければ先に進まないということです。自転車や自動車に初めからプロ並みに運転できる人なんてあまり聞きません。最初に補助輪なしで自転車に乗って転ばない人,マニュアル車で最初からクラッチ操作をスムーズにおこなえる方,駐車の時,スムーズにバックできる人なんてまずいません。この場合,自動車の教習本だけ一生懸命読んでも,自動車運転がうまくなることは,まずありません。これは,実際にやってみないとうまくならないものです。それと同様にレポートは,実際に書いて練習しなければ,うまくなりません。たとえ何冊もレポート学習に関する本を読んだとしても,上手にはなりません。
 教員は,最初から100点満点の完璧なレポートを求めているわけではありません。もちろん内容不十分であれば,再提出を求められます。みなさんの中には,実際に働いている社会人としての立場もあると思いますが,大学内においては,立場はあくまで学生です。多少のミスや間違いからでも,わからないことを聞いてみたりなどして,やり直しがきくのは,学生の特権です。提出したレポートが再提出になっても先生からの指導を踏まえて再チャレンジしていただきたいと思います。

◆どんなレポートから書くべきか?

 なれていない方が,レポートを書き始める時,どんなレポートから書けばいいでしょうか。
 まず社会福祉士などの資格がらみの場合は,当然,実習や演習科目の受講条件のからんだ科目を優先してください。その中でも興味のある面白そうなレポート,ワケがわからない難しいレポート,調べれば書けそうなレポートあると思います。さてみなさんどこから始めます?この場合,難しいレポートや面白そうなレポートからではなく,完成できそうなレポートから書き進めてください。難しければ,やる気がうせますし,面白そうなレポートは,時間をかけてしまいます。初心者の方は,あくまで完成できそうなレポートがお勧めです。

◆レポートにかける時間について

 レポートは,1科目に2?4単位分あります。卒業するために必要なレポート数は,1年生の場合は,124単位分の124レポート,3年次編入学者は62単位分の62レポートです。単純計算ですが1年間に平均31のレポートを書く計算となります。卒業するためには,あまり1つのレポートに時間をかけすぎるのも考えものです。
 特に資格絡みの場合は,短期間で多くのレポートをこなすことが求められます。期限付きのレポートがある場合もあります。特に社会福祉士や精神保健福祉士希望の3年次編入学の方の場合,2年以内に卒業?資格取得を考える場合は,演習科目や実習事前指導を受ける条件を満たすために,1週間に1つか2つのレポートを書きあげる必要があります。
 さて実際に,今日この場では,障害者福祉論の1単位目のテーマから,レポート作成の手順について,実際にお話していきたいと思いますので,よろしくお願いします。

◆レポート作成の手順

(手順1)「レポートのテーマを正確に理解する」

 レポートのテーマを正確に理解することは,もっとも澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】でここでまちがえると,見当違いのことを書いてしまい,下手をすると全てがダメになります。レストランでカレーライスを頼んだのに,スパゲティが出てきたら,どう思いますか。当然,カレーライスを再注文するでしょう。これと同じです。いくら一生懸命レポートを書き上げ,内容は上出来でも,テーマがずれていれば,再提出になる可能性は高いです。
 では,『レポート課題集1?2年』の94ページを開いてください。さて先生は,レポートをどのように評価するのでしょうか。ここで評価するのは,担当教員である阿部先生,横山先生です。どう評価するかは,私に聞かれてもはっきりいってわかりません。しかしそのヒントは,基本的にレポート課題集の中に書かれています。特に受講科目の部分は,基本的に全部読んで把握し,レポートでいきづまった時にアドバイスの部分を読み返してみるといいと思います。また「R or SR」と書かれていますから,スクーリング受講もできます。どうしてもレポートがいきづまった時は,スクーリングに参加してみるのもいい手です。先生が何を学んで欲しいか,何を評価したいか,何を求めているかなどは,スクーリングでお話する可能性が高いからです。またビデオスクーリング以外であれば,講義の後で先生に直接質問することも可能で,さまざまな疑問を先生にお聞きすることもできます。
 では障害者福祉論の1単位目の部分を読んでみましょう。あまりピンとこないかもしれません。では次に95ページのアドバイスの1単位目を読んでみてください(実際に読んで見ましょう)。
 まず最初に「ノーマライゼーション」の考え方と理念をまとめて,それが障害者福祉の中でどのように展開されているかを調べる必要があります。さらにもう1つのキーワード「リハビリテーション」の概念を整理?把握して,それが「ノーマライゼーション」の理念がどのように影響しているか書く必要があります。この2点が1単位目で先生が望んでいるということがわかりますね。さらにテキストだけではなく,それ以外の資料を参考にした方が先生の評価が高いという事がわかります。このアドバイスだけでも,かなりの情報です。

(手順2)「テキストや参考文献から調べていく」

 ここから,このアドバイスを踏まえて,テーマに基づいて,レポート作成を開始していきます。まずここで澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】な鍵となるキーワードはなんでしょうか。「ノーマライゼーション」「リハビリテーション」ですね。この2つの言葉がわからないと話が進みません。また「ノーマライゼーション」に沿った障害者福祉における具体的な視点や「ノーマライゼーション」が「リハビリテーション」へ与える影響についても調べる必要があります。
 ここで気をつけていただきたいのは,レポート内容がテキストや参考文献の丸写しになってしまうことです。この場合,ほぼ再提出になると思います。どうせこの本のことを先生は,知らないなと思って丸写しにする人もいるかもしれませんが,先生の読書量を侮ってはいけません。
 レポートは,ありがたいお経の写経やお習字することとは違います。他の本等から引用した場合,引用文献として著者や本の題名などを明確に書く必要があります。そうでなければ,盗作と同じです。出典を明確にしないで本を丸写しにすることは,はっきりいって,とても行儀が悪いことだと思ってください。これについては,『学習の手引き』のレポート学習の部分にも書かれていますので,後でご確認ください。
 また最近,インターネットの普及で,ホームページから調べる方も少なくないと思います。ここで気をつけて欲しいのは,厚生労働省や大学の研究者のサイトもあるのですが,特に著者が匿名の場合,その調べるサイトの著者がどれだけ知識があるかは,未知数ということです。基本的に匿名であるために一見もっともらしいことを書いていても,よく調べると研究不足の誤りの多い,とてもいい加減な情報だったり,個人の感情でなんの裏づけもなく断定的に書いているものもあります。こうした文章は,刺激的で面白い傾向があり,それなりに知識のある方が読み流す分にはかまわないのですが,逆に初心者が鵜呑みにして参考とするには,とてもリスクの高い情報源といえると思います。ですから情報の分別ができない初心者の方には,あまりインターネットによる情報はお勧めできない部分もあります。しかし通信生の場合,働いている方もいますから,日常的に図書館や書店に行けといっても制約がある方も少なくないと思います。その場合,インターネットはいつでも見れる最適な情報源でもあります。ですから見るなとはいいませんが,リスクを考えると可能でできれば,特に匿名のものは避けて,名前が表記されている厚生労働省のサイトや大学の研究者等によるサイトを調べてみるといいと思います。
 これは,私個人の意見ですが,「ノーマライゼーション」や「リハビリテーション」という言葉は,読む本が少ないほど,理解しやすく,逆に様々な本を読めば読むほど,逆につかみどころのなくなっていく奥の深い言葉です。むしろ様々な本を読みすぎて,逆に「ノーマライゼーション」や「リハビリテーション」の概念がわからなくなり,消化不良をおこしている方もこの中にいるかもしれません。こうしたとまどいから,こうした問いかけを見つけ,まとめてみたいとあれこれ考えてみたり,自分で立てた仮説を証明していこうとする行為こそ,まさに学問のすばらしさですけど,結局レポート自体が出せず,単位がとれず前に進まないというのも考え物です。こんな状態になった場合は,今までの様々な本で得た知識を捨ててでも,先生から指定されたテキストに立ち戻ってみてください。テキストに書いてある内容に沿って整理してみてください。それでも難しいというのであれば,自分の世界に引きこもるのではなく,スクーリングに参加して先生や同じ立場の学生と話してみるといいと思います。

(手順3)「テキスト等から得た知識からの自分の感想,そこから考察したこと等を箇条書きにする」

 まだレポート本文の作成に入るわけではありません。テキストや文献を読む過程は,料理でたとえれば,料理の材料を買い揃える段階と同じです。レストランでカレーライスを出してといわれて,材料のカレールーや丸ごとのじゃがいもやニンジン,生米を出されても困りますよね。その前に米を炊いたり,ニンジンやじゃがいもを切り刻んだり,煮込んだりして調理しなければなりません。まさにテキスト等から得た知識を,テーマに沿って箇条書きにして書くのは,調理の過程と同じです。慣れてくると実際に書かなくても頭の中でこなせるようになるですが,頭で処理できない場合,箇条書きに書いてみて,そこから体系的に整理するとスムーズにまとめることができます。

(手順4)「箇条書きにした文をテーマに沿って体系的にまとめる」

 レポートには,字数制限があります。当然,箇条書きにした中には,多くが削られるでしょう。まず削る対象として,テーマからはずれたことについて書いている箇所も少なくないと思います。しかも案外,書いている人間としてはその部分が興味ある範囲であることは,少なくありません。しかしこの場合,テーマから明らかに逸脱しているものは,はっきりと切ってください。そうでなければ,レポート内容がテーマから逸脱してしまうからです。カレーライスを作れといわれて,調理人の趣味がカレーではなかったとして,クリームシチューをご飯にぶっかけたらカレーライスを作ったことにはなりません。こうした部分は,削除してください。
 レポートの起承転結でまとめるためにどのように展開して,どのように結論を出すかをまとめてみてください。また自分の意見を書くのもかまいませんが,できればその根拠を明らかにする方がいいでしょう。特になんの裏づけもなく,断定的に書くのはよくありません。レポートには,書く人間の心情や感情を表現するエッセイや詩ではなく,与えられたテーマに沿って,体系化した論理的な文章が求められるからです。

(手順5)「まとめたら鉛筆で下書きをし,誤字脱字や文法や矛盾した表現など,おかしい変な文章を訂正する」

 当然,誤字脱字や文法的におかしな文章がないにこしたことはありませんね。ここでしっかりチェックしないと,レポートをペンで清書する際に泣きを見ることになります。

(手順6)「最後にレポート用紙にペンで本番の清書を丁寧に書く」

 清書は,読み手のことを考え,可能な限り丁寧に書きましょう。これでレポートは出来上がりです。

◆おわりに

 1つもレポートを書いていない方は,いかに日常生活の中でレポートを書く習慣をつけるかが課題になると思います。
 まだレポートに1つも取り組んでいない方は,これを読んだら今日中に(入学してまもない方は,テキストをもらったその日に)レポートを始めてみましょう。取り組む時間は10?15分くらいでもかまいません。明日があると思って先延ばしにしていると,気がついたら1週?1カ月?1年がすぐに過ぎてしまいます。そして仕事等のない方は,約1週間以内,仕事等のある方は,約1カ月以内に最初のレポートを提出できるよう計画してみてください。
 皆様のご健闘をお祈りしております。

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