【現場から現場へ】
OB MESSAGE [精神保健福祉士]
地域包括支援センターに就職して
通信教育部社会福祉学科卒業生 川原 秀幸
◆はじめに
私は,認知症高齢者グループホームや訪問介護事業所での介護職員,視覚障がいを抱える方を対象としたガイドヘルパーをしていました。通信教育部を卒業後,精神保健福祉士や介護支援専門員を取得し,現在,福岡市地域包括支援センターで介護支援専門員として勤務しています。
卒業までの4年間は本当に忙しい毎日でした。睡眠時間を削ってレポートを書き,休みを利用して仙台や各地でのスクーリングを受けました。卒業までに戻ってきたレポートを積み上げると,何と12cmにもなりました。
在学中は多くの先生方や同じ志を持つ仲間と出会い,福祉についての基礎を学びました。卒業生として,また1人の現場職員として,つたない経験ではありますが,私がこれまで学んできたことを皆さんにお伝えすることができればと思い,筆を進めていきたいと思います。
◆地域包括支援センターについて
地域包括支援センターは高齢者の総合相談窓口であり,社会福祉士?保健師?主任ケアマネージャーの3職種が配置されています。私の職場にはこの3職種の他に介護予防を受け持つプランナーと呼ばれる介護支援専門員が3名おり,計6名の事業所で日々の業務に従事しています。
具体的な仕事内容としては,(1)介護予防ケアマネジメント,(2)総合相談?支援,(3)権利擁護,(4)包括的?継続的ケアマネジメントがあり,その他にも特定高齢者の把握,健康づくりに関する相談など,多岐にわたる事業を行っています。
社会福祉士を目指されている方も多いと思いますので,地域包括支援センターで実際に活躍している社会福祉士が,どのような役割を担っているのかについて簡単に紹介したいと思います。
多くの方が,権利擁護事業をイメージされるのではないかと思います。虐待への介入に関しては,行政?弁護士?警察等の機関と連携しながら家族と関わっていきます。虐待問題は,デリケートで難しい問題が多く,相談件数は年々増加しています。
他にも,成年後見?詐欺?相続?遺言などの相談も多くあり,これに加え,医療や介護保険,認知症についての知識も必要となります。これらの困った状態に陥らないためにも,公民館での啓発活動も行っています。
◆実習について
精神保健福祉士の実習では診療所(精神科デイケア),社会福祉士の実習では児童相談所を選択し,計48日間の実習を受けました。両者とも,「実習生としてどこまで接してよいのか」という部分にとても悩みました。相手のことを考えて慎重になりすぎると,言葉が詰まってしまうことがあり,ぎこちない話し方になってしまいました。分からないことはまず自分で調べ,素直に指導者に聞くことが大切だと思います。どの実習先にしても最初はコミュニケーションの取り方に悩むと思いますが,普段私たちが人と知り合うように,あまり肩に力を入れずに接することが必要だと思いました。肩に力が入りすぎると,短期間で全てのことを知ろうとしてしまったり,障がいや問題,病状ばかりに目が向いてしまい,その人の生活があることを忘れてしまうからです。
実習中は2か所とも体調を崩してしまいました。慣れない環境の上,対象者やスタッフ,実習指導者に気を遣い,毎日の実習記録にも悩まされました。実習は夏や冬といった厳しい季節に開始することが多いと思いますので,身も心も万全にして臨むことが必要だと思います。
◆社会福祉士を目指している学生さんへ
社会保障や公的扶助が苦手な人は多いと思います。私もその一人なのですが,就職して現場に出ると年金?生活保護?所得?税金?医療や介護保険に関する知識はとても澳门赌场app_老挝黄金赌场-【唯一授权牌照】だと痛感しました。
今,テレビや新聞では,不景気や派遣切りといった話題が珍しくありません。むしろ当たり前のような時代になりました。高齢者を支える家族の収入や本人の年金などによって,老後の生活が大きく変化することも事実であり,経済的な問題とは正面から向き合わなくてはいけない課題です。各種制度を知ることは相談業務の幅を広げます。自分のためにもなることも多いので,是非,身近な制度として実践的な勉強を進めていくことをお勧めします。
◆国家試験対策について
社会福祉士や精神保健福祉士の試験は,時代の変化に対応して難解になってきていると感じます。合格率も低く,簡単に合格できる試験ではありませんが,少しでも役に立てればと思い,私が行った勉強方法を紹介していきたいと思います。
(1)教科書を読む。(2)過去問と模擬問題を解き分からない部分を教科書に戻って復習する。(3)この2つをひたすら繰り返す。
この方法で,今年の精神保健福祉士試験を合格することができました。繰り返しているうちに,よく出る箇所が分かってきます。中央法規の受験ワークブックや,筒井書房の必携,用語辞典や福祉六法が手元にあると勉強がスムーズになります。また,社会や福祉の動向がつかめるように,新聞や白書に目を通すことも必要だと感じました。
◆おわりに
お恥ずかしい話ですが,入学して最初の1年間は全くレポートを提出することができませんでした。書かなかったというより,どのように書けばよいのか分からず,自分の取りたい資格や卒業にはどの科目が必要なのか,単位修得の制度がよく理解できていませんでした。
卒業や勉強のコツは,とにかくレポートを書いて出す,卒業までの単位数が分かるように表を作る,友達を作って情報交換することが大切だと思います。表を作り,戻ってきたレポートの単位に色を付けて塗りつぶし,視覚的に把握していきました。特に演習や実習科目には受講するための条件がありますので,課題集や手引きを何度も見直してよく計画してください。また,分からないことがあれば,通信教育部へ早めに質問することも必要だと思います。
通信の学生は全国から多く通っているので,なかなか情報が集まりにくいのではないかと思います。私は,インターネットで通信教育部の掲示板やSNS,メールなどを使って情報交換をしました。そこで交通機関の料金?時間や安価な宿泊施設の情報交換,レポートの内容を話すだけで頑張れる気がしました。私にとって勉強を続けることができたのは,素晴らしい先生や友人と出会えたおかげだったと思います。
福岡から仙台空港へ降りると,気候の違いから,いつも空気が引き締まったような冷涼さを感じました。卒業してしまうと,七夕,光のページェントが見られなくなり,牛タンも食べられなくなったのでとても寂しく思っています。
仕事を続けながら卒業することは辛く大変だと思いますが,自分のペースで無理しないよう,体調に気をつけて勉強を続けてください。応援しています。
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